ワークグループからバックエンドまで

スイッチング・ハブ最新動向

ギガビット・イーサネットスイッチ・カタログ


鈴木淳也(Junya Suzuki)
2004/11/6

 スイッチング・ハブ導入の勘どころでは、前編『まずはスイッチング・ハブの基本機能を知ろう』と後編『ギガビット・イーサネット・スイッチの選び方』で、企業システムへのスイッチング・ハブの導入に当たって必要となる基礎知識やスペックの読み方、導入のコツを解説した。

  今回はカタログ編として、スイッチ製品を中心に市場に投入するベンダのラインナップを、ワークグループ向けからバックエンド向けまで、幅広く紹介していく。

   スイッチング・ハブ最新動向

 スイッチのインターフェイス選びのポイントは、デスクトップPC側が必要とする帯域に依存する。その意味で、短時間に大量のデータ転送を行わない限り、パフォーマンス的には10/100BASE-Tクラスの速度で十分問題ないといえるだろう。一般に、バックエンドのサーバやデザイン用途などで大量のデータ送受信が発生する用途でない限り、特に必要ないという考えもある。

 だが、8ポート・クラスのギガビット・イーサネット対応スイッチが1万円強でPC量販店で販売されている現状を考えれば、いまの時点でギガビット・イーサネットをデスクトップPC用途に導入しておき、将来のニーズ発揚に備えておくというのも手だ。

 特に、ネットワーク・インフラの更新周期は4〜5年、長いと5〜7年くらいといわれており、現在のタイミングで刷新/拡張を行う予定のユーザーは、次の更新タイミングまでトレンドに乗り遅れてしまう可能性がある。ブームに乗れ、というわけではないが、近い将来にギガビット・イーサネットの帯域を必要とするようなアプリケーションが登場する可能性がないわけではない。

 実際、各メーカーからはこうしたニーズを汲む形で、アップリンク以外のポートがすべて1000BASE-Tベースのものであるという製品がリリースされている。

 例えばシスコのCatalyst 3700シリーズや、HPのProCurve Switch 2700シリーズなどは、こうしたデスクトップPCに広くギガビット・イーサネットを導入したいという要求に応えるものだ。その場合、バックエンド側がその負荷に耐えられるかという問題が発生するが、10ギガビット・イーサネットがまだ一般化しておらず、ポート単価が高いという現状を考えれば、ギガビット・クラスの速度のアップリンクでも大丈夫だろう(ギガビット対応アプリケーションが、バックエンドに負荷をかけないPtoPアプリケーションという可能性もある)。

 ここで、スイッチ・ファブリック側で10ギガビット・イーサネットへのアップグレードが可能なキャパを持っている製品を選択しておけば、将来的にスムーズに移行しやすくなる。

 このような将来的なインフラ事情の変化をふまえて、以下のカタログを自社の製品導入の参考にしていただきたい。

   ギガビット・イーサネットスイッチのカタログの見方

 今回のカタログでは、レイヤ4〜7スイッチと呼ばれる、いわゆる「ロード・バランサ」製品は扱っていない。一部ミッドレンジ製品やハイエンド製品の多くでレイヤ4〜7スイッチ機能を備える製品が存在しているが、それに関しての記載は特に行っていない。ハイエンド製品などでは、レイヤ4〜7スイッチングやSSLアクセラレータなどの機能は他社との差別化ポイントではあるが、興味のある方は各自研究してみてほしい。

 各製品ごとに、下記のような一覧表を用意している。それぞれの項目の見方を下記に示す。

製品名 ポート構成 インテリジェント機能 VLAN/QoS対応 レイヤ3スイッチ機能 備考
Catalyst 2950 10/100T×12〜48、GBIC×2 スタック対応

ポート構成

 ポート構成の欄は、下記のような仕様が含まれる。

10/100T 10/100BASE-T
1000T 10/100/1000BASE-T
Uplink 専用モジュールなどでのアップリンク・サポート
GBIC/SFP GBICとminiGBIC(SFP)
モジュールスロット 筐体前面の複数ポート(4〜8個)などをモジュール単位で交換可能
ラインカードスロット モジュール型筐体のインターフェイス・カード・スロット数、メーカーによって表記が違うが本記事では「ラインカードスロット」で統一した

●インテリジェント機能、VLAN/QoS対応、レイヤ3スイッチ機能

 上記の項目ついては、下記に具体的な内容を示している。

インテリジェント機能 SNMP/RMONサポート
VLAN/QoS対応 IEEE 802.1Qのタグ付きVLANとそれに付随するレイヤ2ベースのQoS制御機能サポート。基本的には802.1x対応を意味するが、詳細は各製品カタログを参照のこと
レイヤ3スイッチ IPルーティング機能サポート、対象プロトコル(RIP、OSPF、BGP4等)は製品によって異なるため製品カタログを参照のこと

備考

 備考欄では、下記のような内容を示した。

スタック スタック接続が可能、最大可能段数は製品カタログ参照のこと
PoE Power over Ethernetに対応、IP電話等に効果
10GbE モジュール等の追加で10ギガビット・イーサネット対応

 それでは、次ページから製品をそれぞれ見ていこう。


目次:ギガビット・イーサネットスイッチ・カタログ
スイッチング・ハブ最新動向/ギガビット・イーサネットスイッチのカタログの見方
  シスコ・システムズ/エクストリーム ネットワークス
  ファウンドリーネットワークス/ノーテル ネットワークス
  フォーステンネットワークス/エンテラシス・ネットワークス
  日本アルカテル/ファーウェイスリーコム・ジャパン
  日本HP/日本電気
  富士通/日立製作所
  アライドテレシス/バッファロー

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