連載 サハロフ秋葉原経済研究所

第3回 「大きいことはいいこと」なのか、ハードディスクのおいしい容量

各種ハードディスクとCD-R/RWドライブの動向

サハロフ佐藤
2001/10/04

 まず最初にハードディスクを取り上げてみましょう。単体でエンドユーザー向けに市販されているハードディスクだけでも、いろいろな種類があります。大きく分けると、デスクトップPC向けの3.5インチIDEハードディスクと、サーバ/ワークステーション向けのSCSIハードディスクや、ノートPC向けの2.5インチIDEハードディスクとなります。以下、それぞれについて価格動向をまとめてみました。

デスクトップPC向けIDEハードディスクの全体的な動向

 主にデスクトップPC向けとして市販されているIDEハードディスクは、そのスピンドル・モータの回転速度*1で2つに分類できます。一方は7200RPM以上の高性能PC向けディスク、もう一方は5400RPM前後の低価格PC向けディスクです。次のグラフは、それぞれのIDEハードディスクで容量と価格がどのように分布しているかを表しています。

*1 (編注)スピンドル・モータとは、ハードディスク内部の記録用ディスク(円盤)を回転させるモータのこと。大雑把にいえば、このモータの回転は高速なほど、ハードディスクの性能も高まる。スピンドル・モータの回転速度は、「スピンドル回転数」「スピンドル回転速度」などと呼ばれる。
 
IDEハードディスクの容量と価格の関係
左グラフは容量と平均価格の関係を、右グラフは容量と1Gbytes当たりの単価の関係をそれぞれ表したものです → 拡大グラフへ

[高性能PC向けIDEハードディスク]
IBMとSeagateの製品に人気集中

 高性能PC向けディスクは、IBM製の「Deskstar 60GXP」シリーズ(10G〜60Gbytes)とSeagate Technology製の「Barracuda ATA IV」シリーズ(20G〜80Gbytes)の人気が高く、多数のショップが両シリーズの在庫を持っています。発売時期は後者のほうが新しく、1枚当たり40Gbytesの高密度記録プラッタ(表面に磁性体が塗布されたデータ記録用円盤)を搭載しているほか、スピンドル・モータの軸受け部分に流体軸受け*2を採用し、静音設計をうたっているのが特徴です。

*2 (編注)スピンドル・モータの軸受け部分には、これまでボール・ベアリングを用いるのが一般的だった。流体軸受けとは、金属製ボールの代わりに粘性のある油を利用した新しいタイプの軸受けのこと。静音性や耐衝撃性に優れるほか、軸のぶれも小さくなることから磁気ヘッドの位置決め精度も高まり、結果としてアクセス性能も高まるといわれている。

 Barracuda ATA IVシリーズは値動きも活発で、最近4週間の値下がり率は4.6〜12.6%に達しました。容量40GbytesのST340016Aは1万2000円台と安く、入手性も大変良好です。このほか、7200RPMで目下唯一の100GbytesモデルであるWestern Digital製の「WD1000BB」が大幅に下落し、中心価格帯が3万1000円台となっています。

メーカー名/シリーズ名 型番 容量 最安値 中心価格帯
IBM Deskstar 60GXP IC35L060AVER07 60Gbytes 1万4699円 1万7000円前後
IC35L040AVER07 40Gbytes 1万1999円 1万2000円台
IC35L020AVER07 20Gbytes 9999円 1万円台
IC35L010AVER07 10Gbytes 8750円 9000円前後
Maxtor
DiamondMax Plus 60
5T060H6 61.4Gbytes 1万7500円 1万8000円台
5T040H4 40.9Gbytes 1万2700円 1万3000円台
5T030H3 30.7Gbytes 1万999円 1万2000円前後
5T020H2 20.4Gbytes 9980円 1万円台
Seagate Technology
Barracuda ATA IV
ST380021A 80Gbytes 2万2799円 2万3000円前後
ST360021A 60Gbytes 1万7800円 1万8000円前後
ST340016A 40Gbytes 1万2470円 1万2000円台
ST320011A 20Gbytes 9780円 1万円前後
Seagate Technology
Barracuda ATA III
ST340824A 40.8Gbytes 1万2270円 1万2000円台
ST330620A 30.6Gbytes 1万1099円 1万1000円台
Western Digital WD1000BB 100Gbytes 2万9800円 3万1000円台
WD800BB 80Gbytes 2万950円 2万1000円台
WD600BB 60Gbytes 1万8000円 1万8000円台
WD400BB 40Gbytes 1万2700円 1万3000円前後
WD300BB 30Gbytes 1万1250円 1万1000円台
WD200BB 20Gbytes 9850円 1万円台
富士通 MPG3409AH 40.9Gbytes 1万1770円 1万2000円前後
高性能PC向けIDEハードディスクの価格

[低価格PC向けIDEハードディスク]
MaxtorとSeagateの製品が大きく下落

 低価格PC向けディスクは、Maxtorの各シリーズとSeagate Technologyの「U Series 6」(20G〜80Gbytes)の下落傾向が目立ちます。容量別に見ると、40Gbytesが1万円台、60Gbytesが1万4000円〜1万5000円台となっており、100GbytesモデルのMaxtor製「536DX 4W100H6」は2万8000円台に下がりました。

 一方、Western Digitalは前述のWD1000BBを除き、最近になって値上がり傾向が出始めました。8月下旬から品薄続きだった80Gbytesの「WD800AB」は、9月下旬に再入荷したものの、最近4週間で平均価格が若干(1.2%)ですが上昇しています。ここ数カ月の間、他社より安値で販売されてきたWestern Digital製ハードディスクですが、現状ではやや高めの価格帯に移ったといえます。

メーカー名/シリーズ名 型番 容量 最安値 中心価格帯
Maxtor
DiamondMax D540X(D)
4D080H4 80Gbytes 2万440円 2万円台
4D060H3 60Gbytes 1万3900円 1万5000円台
4D040H2 40Gbytes 1万200円 1万円台
Maxtor
DiamondMax D540X(K)
4K080H4 80Gbytes 1万7700円 1万8000円台
4K060H3 60Gbytes 1万3460円 1万4000円前後
4K040H2 40Gbytes 9900円 1万円前後
Maxtor 536DX 4W100H6 100Gbytes 2万7980円 2万8000円台
4W080H6 80Gbytes 1万7980円 1万9000円前後
4W060H4 60Gbytes 1万4160円 1万4000円台
4W040H3 40Gbytes 9999円 1万円台
Maxtor 541DX 2B020H1 20Gbytes 8780円 9000円前後
Seagate Technology
U Series 6
ST380020A 80Gbytes 1万9800円 2万円台
ST360020A 60Gbytes 1万4380円 1万4000円台
ST340810A 40Gbytes 9960円 1万円台
ST320410A 20Gbytes 7999円 8000円台
Western Digital WD800AB 80Gbytes 1万9180円 1万9000円台
WD600AB 60Gbytes 1万4450円 1万5000円前後
WD400AB 40Gbytes 1万960円 1万1000円台
WD300AB 30Gbytes 9980円 1万円前後
富士通 MPG3049AT 40.9Gbytes 9970円 1万円台
低価格PC向けIDEハードディスクの価格

[超高速SCSIハードディスク]
Seagateの最新製品が入手可能に

 SCSIタイプは、スピンドル回転速度が1万5000RPMという超高速ハードディスク、Seagate Technology製「Cheetah X15」シリーズの最新モデルを、いくつかのショップで見掛けるようになりました。動画のリアルタイム編集といった高い性能が求められる用途に向けた、特殊用途向けともいえるモデルですが、秋葉原なら入手は比較的容易です。

メーカー名/シリーズ名 型番 容量 最安値 中心価格帯
スピンドル回転速度15000RPM
Seagate Technology Cheetah X15 36LP ST336752LW 36.7Gbytes 7万5800円 7万5800円
ST318452LW 18.4Gbytes 4万1000円 4万2000円台
スピンドル回転速度10000RPM
IBM Ultrastar 36LZX DDYS-T36950 36.7Gbytes 4万900円 4万1000円台
DDYS-T18350 18.3Gbytes 2万980円 2万1000円台
DDYS-T09170 9.1Gbytes 1万7080円 1万8000円前後
Seagate Technology Cheetah 73LP ST373405LW 73.4Gbytes 9万2800円 9万2800円
Seagate Technology Cheetah 36XL ST336705LW 36.7Gbytes 4万4800円 4万5000円前後
ST318405LW 18.4Gbytes 2万4980円 2万6000円前後
ST39205LW 9.2Gbytes 2万680円 2万1000円前後
スピンドル回転速度7200RPM
IBM Ultrastar 36LP DPSS-336950 36.9Gbytes 2万4800円 2万6000円台
DPSS-318350 18.3Gbytes 1万4800円 1万5000円台
DPSS-309170 9.1Gbytes 1万980円 1万2000円台
Seagate Technology Barracuda 180 ST1181677LW 181.6Gbytes 19万5000円 20万円前後
SCSIハードディスクの価格

[ノートPC向けハードディスク]
9.5mm厚で40Gbytesの大容量モデルが登場

 ノートPC向けの2.5インチIDEハードディスクでは、9月下旬に容量40Gbytesの東芝製「MK4018GAP」が発売されました。1枚あたり20Gbytesのプラッタを2枚搭載しており、9.5mm厚のモデルとしては容量が最大です。また、日立製作所からは流体軸受け採用の30Gbytesモデル「DK23CA30F」も出回り始めました。店頭価格は通常モデル「DK23CA30」より15%ほど高めに設定されています。両者は型番末尾に付加された「F」で区別することができるので、購入時には型番をよくチェックした方がいいでしょう。

メーカー名/シリーズ名 型番 容量 最安値 中心価格帯
IBM Travelstar 48GH IC25T048ATDA05*3 48Gbytes 4万9500円 5万円前後
IBM Travelstar 30GN IC25N030ATDA04 30Gbytes 2万1800円 2万2000円台
IC25N020ATDA04 20Gbytes 1万4780円 1万5000円前後
IBM Travelstar 20GN DJSA-220 20Gbytes 1万3800円 1万4000円前後
DJSA-210 10Gbytes 9600円 1万円前後
東芝 MK4018GAP 40Gbytes 2万9800円 3万円前後
MK2018GAP 20Gbytes 1万2800円 1万4000円前後
MK3017GAP 30Gbytes 1万9400円 2万円前後
MK1517GAP 15Gbytes 1万1980円 1万2000円前後
日立製作所 DK23CA30F 30Gbytes 2万2580円 2万3000円前後
DK23CA30 30Gbytes 1万9400円 2万円前後
DK23CA20 20Gbytes 1万3700円 1万4000円前後
ノートPC向け2.5インチIDEハードディスクの価格
*3 これのみ12.5mm厚でスピンドル回転速度5400RPMです。ほかはすべて9.5mm厚で4200RPMです。

[CD-R/RWドライブ]
16〜20倍速に買い得感、コンボ・タイプも一部が値下がり

 ここ1〜2カ月の間に、CD-R/RWドライブは非常に安くなりました。9月下旬の時点でCD-Rの最大書き込み速度が24倍速のモデルの中で、代表的なプレクスターの「PXW2410TA」が1万9000円台で販売されています。またメルコの「CRW-24FB」は、比較的価格が高めに設定される大手ショップでも1万3000円台で見つけることができます。

 主流といえるCD-Rの書き込み速度が12〜20倍速のドライブでは、リコーの20倍速モデル「MP7200A」が1万1000円台、アイ・オー・データ機器などの16倍速モデルが1万円台と、速度による価格差はいまやほとんどありません。DVD-ROMの読み出しが可能な、いわゆるコンボ・タイプの製品は、12倍速モデルが1万4000円台に値下がりして、手ごろな価格帯になってきています。

メーカー名 製品名 最大速度 最安値 中心価格帯
DVD-ROMとのコンボ・タイプ
アイ・オー・データ機器 CRWD-AB20J 20/10/40 2万3500円 2万4000円前後
CDRWD-AB1210J 12/10/32 1万4499円 1万4000円台
リコー MP9200A 20/10/40 2万2450円 2万4000円前後
MP9120A 12/10/32 1万3800円 1万4000円台
通常タイプ
アイ・オー・データ機器 CDRW-AB24B 24/10/40 1万3200円 1万4000円前後
CDRW-AB16J 16/10/32 1万600円 1万円台
アドテック ADRW2410B 24/10/40 1万1790円 1万2000円前後
ソニー CRX200E*4 12/8/32 2万6800円 2万9000円台
TDK ICD2410A 24/10/40 1万3480円 1万3000円台
ティアック システム クリエイト CDRW516EKB 16/10/40 1万300円 1万円台
プレクスター PXW2410TA 24/10/40 1万8795円 1万9000円台
PXW1610TA 16/10/32 1万3800円 1万4000円台
PXW1210TA 12/10/32 1万1980円 1万2000円台
メルコ CRW-24FB 24/10/40 1万3499円 1万3000円台
ヤマハ CRW2200EVK 20/10/40 1万6800円 1万8000円前後
CRW2100EVK 16/10/40 8979円 9000円台
リコー MP7200A 20/10/40 1万990円 1万1000円台
MP7125A 12/10/32 7750円 7000円台
ATAPI内蔵型CD-R/RWドライブの価格
*4 DDCD-R/RWにも対応しています。

 今回は、ハードディスクとCD-R/RWドライブの価格動向を見てきました。ハードディスクは、これまで値下がり一辺倒であったのが、製品によっては若干値上がりが見られるなど、少々不安定な状況になってきています。今後、どのような動きとなるのか、継続的な調査が必要でしょう。

 一方のCD-R/RWドライブは、これまで価格が下がり始めると、書き込み速度が向上するなどして、ドライブ単価としては比較的安定した動きを続けてきていまいた。しかし、ここ数カ月は24倍速モデルが登場しながらも、値下がり傾向にあります。DVD+RWドライブなどの書き換え型DVDドライブの登場によって、CD-R/RWドライブがどのような影響を受けるのかも興味が尽きないところです。記事の終わり

 
 
 INDEX
  [連載]サハロフ秋葉原経済研究所
  第3回 「大きいことはいいこと」なのか、ハードディスクのおいしい容量
  各種ハードディスクとCD-R/RWドライブの動向
 
「連載:サハロフ秋葉原経済研究所」


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