実験 中古PC活用講座(後編)

5.Sambaの設定はswatから


澤谷琢磨/デジタルアドバンテージ
2001/10/16

 次にWindowsクライアントから共有フォルダをアクセス可能にするため、Sambaの設定を行う。Samba自体は、Vine Linuxをインストールする際にフル・インストールによって行われているので改めてインストールする必要はない。

[全体設定]画面
SambaはWebブラウザ経由でアクセスする「swat」からすべて設定できる。ヘルプを含め日本語化されていることもあり、特別な理由のない限りSambaの設定は、このツールを使って行った方が楽だ。
  [全体設定]まずここで基本設定を行う
  [共有設定]共有フォルダはここで指定する
  [プリンタ]共有プリンタの設定
  [動作状況]テスト時には、Sambaはここから起動
  [設定表示]「/etc/smb.conf(Sambaの設定ファイル)」の内容を表示

■全体設定

 まず、[全体設定]画面で、Sambaの動作モードとWindowsネットワークのワークグループ名およびセキュリティ・レベルを設定する。セキュリティ・レベルはもっとも緩い「share(共有)」を用いる。今回は、共有フォルダ/プリンタをパスワードで保護せずに運用するためだ。

[全体設定]画面
ここでは「ゲスト アカウント」項目を変更する必要があることに注意していただきたい。デフォルトでは「smbguest」と設定されているが、Linux側にsmbguestアカウントが存在しないため、作成した共有フォルダにアクセスできない。Linux側にsmbguestアカウントを作成するか、ここで設定するように「ftp」など、コンソール経由でのログインが禁止されている既存アカウントを流用する。設定は[設定変更]ボタンを押すことで反映される。
  ワークグループ名を入力する。Windowsクライアント側の設定と同じものにする
  セキュリティ・レベルの選択。デフォルトでは「user」だが、ここでは「share」を選択する
  ゲスト・アカウントの名前。ここでは「ftp」を選んだ
  IPアドレスによるフィルタリングを設定できる。この設定では、「192.168.0/24」ネットワークからのアクセスのみ許可している

■共有フォルダの作成

[共有設定]画面
ここでは共有フォルダを作成する。あらかじめLinuxのファイル・システム上に作成しておいた、/mnt.hde/prjディレクトリを共有ディレクトリ「prj」として、ネットワークから読み書きできるように設定する。なお画面サイズの都合上割愛しているが、以下の5.で設定する[ゲストのみ(guest only)]オプションは、[詳細表示]ボタンを押して設定画面を詳細表示に変更しないと表示されない。いったん有効(「Yes」を選択)すれば標準表示モードでも表示されるようになる。
  作成する共有ディレクトリの名前を入力し、[新規共有作成]ボタンを押す。画面は[新規共有作成]ボタンをクリックした後の状態である
  Samba日本語版では、共有ディレクトリに日本語による説明を追加できる
  共有ディレクトリにマッピングするLinux上のディレクトリ名(ここでは「/mnt.hde/prj」)を入力
  [書き込み可]を「Yes」に設定
  [ゲストのみ]を「Yes」に設定
  [ゲスト可]も「Yes」に設定

■共有プリンタの設定

 続いてSamba経由でのプリント・アウトを有効化する。Vine Linux 2.1.5に付属するSambaでは、初期状態ですでに共有プリンタのエントリを備えている。このエントリはプリンタが「lp」として登録されていることを前提としている。そのため、「lp」以外の名前でプリンタを登録した場合は、デフォルト設定を変更するか、あらたにエントリを追加する必要がある。また、印刷時にユーザー名/パスワードを要求されないようにするには、[guest ok]オプションを有効にしなければならない。

 本稿ではすでに「lp」としてプリンタを登録しているため、あらたにエントリを登録する必要はない。

[プリンタ]画面
プリンタを共有する場合、この画面で設定を行う。[セキュリティオプション]の[guest ok]のみを設定すればよい。
  [comment]では日本語が使用可能
  [guest ok]を「Yes」に変更
  [printer driver]セクションのデフォルト値は「NULL」である(詳細表示画面でのみ確認可能)。画面では、「HP Deskjet 955C Series」と入力してあるが、これはWindowsクライアントがプリンタの種類を自動検出するためのものであり、「NULL」でも実用上問題がないので、そのままにしておいてもよい

■[設定表示]画面で設定を確認

 ここまで設定を行ったら[設定表示]で設定内容を確認してみよう。設定ファイル(/etc/smb.conf)の内容が表示されるだけだが、よく見れば設定内容が正しいかどうか確認できるだろう。

# Samba config file created using SWAT
# from 192.168.0.11 (192.168.0.11)
# Date: 2001/10/15 22:23:14

# Global parameters
[global]
coding system = euc
client code page = 932
workgroup = D-ADVANTAGE
netbios name =
server string = Samba %v
security = SHARE
encrypt passwords = Yes
socket options = TCP_NODELAY SO_RCVBUF=8192 SO_SNDBUF=8192
os level = 1
dns proxy = No
guest account = ftp
hosts allow = 192.168.0.

[prj]
comment = 書類はここ
path = /mnt.hde/prj
writeable = Yes
guest only = Yes
guest ok = Yes

[pub]
comment = ほかのファイルはここ
path = /mnt.hde/pub
writeable = Yes
guest only = Yes
guest ok = Yes

[lp]
comment = HP DeskJet 955Cカラープリンタ
path = /var/spool/Samba
guest ok = Yes
printable = Yes
printer driver = HP DeskJet 955C Series
設定の結果生成された設定ファイル
設定ファイル(/etc/smb.conf)の内容は、[設定表示]メニューから確認できる。
 

 INDEX
  [実験]中古PC活用講座
    1.Vine Linux 2.1.5とSamba
    2.Vine Linux 2.1.5をインストールする
    3.cfdiskコマンドでパーティション作成
    4.初期設定はLinuxconfで行う
  5.Sambaの設定はswatから
    6.動作を確認して簡易ファイル・サーバとして運用する
 
「PC Insiderの実験」


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