実験 中古PC活用講座(後編)

6.動作を確認して簡易ファイル・サーバとして運用する


澤谷琢磨/デジタルアドバンテージ
2001/10/16

Sambaを起動して動作の確認を行おう

 ここまで設定できたらSambaを起動する。Sambaの機能は「smbd」と「nmbd」の2つのデーモン(デーモンとはWindows 2000のサービスに相当するプログラムのこと)が提供する。swatでは[動作状況]画面からsmbdとnmbdが起動できる。

[動作状況]画面
sambdとnmbdの2つのデーモンを手動で起動する。
  まず[smbd起動]ボタンを押す
  続いて[nmbd起動]ボタンを押す

■Windowsから共有資源にアクセスできるか確認

 smbdとnmbdの両デーモンが起動したら、作成した共有フィルダにWindowsクライアントがアクセスできるかどうかを、Windowsエクスプローラなどを用いて確認する。エクスプローラで表示されるコンピュータ名は、Vine Linuxのインストール時に指定したホスト名「nas」になるはずだ。なお、共有プリンタから印刷するにはWindowsでの共有の場合と同様、該当するプリンタのドライバをクライアントPCにインストールする必要がある。双方向通信を必要とするプリンタ機能(インク残量確認など)は利用できない。

Windowsエクスプローラの表示
Windowsエクスプローラからワークグループ名(ここでは「d-advantage」)のもとにコンピュータ名(ここでは「NAS」)と公開された共有フォルダ(「prj」と「pub」)および共有プリンタ(「lp」)が表示されるはずだ。共有フォルダ内に実際にファイルをコピーできることと、共有プリンタから印刷できることは最低限チェックしたい。

 なお、実験環境ではWindowsから印刷データを送ると余計に1ページ排紙され、プリンタの動作が不安定になるという障害に遭遇した。この問題は、/etc/printcapファイルに改ページを抑制するsfオプションを付けることで解決できる。同様の症状に見舞われた場合は、試していただきたい。なお、この設定にはエディタ(vi、emacsなど)を用いて設定ファイルを直接編集する必要がある。

sfオプションを付加した/etc/printcap
/etc/printcapにsfオプションを付けることで、余計に1ページが排紙される問題は解決可能だ。
  :sh:まではLinuxconfが作成したprintcap。余計に排紙される場合は続けて「sf:」と書き加える。printcapのオプションについてはマニュアル(#jman 5 printcapで表示される)を参照していただきたい。なお、「/dev/lp0」を「/dev/usblp0」に変更することで、USB接続したHP DeskJet 955Cプリンタにも出力できたことを付しておく。この場合もsfオプションの追加を必要とした。

■Sambaデーモンをシステム起動時に自動実行するよう設定

 最後にSambaデーモン(「smbd」と「nmbd」)がシステム起動と同時に自動実行されるようにシステムの設定を変更する。起動時にどのデーモンを自動実行するかは、/etc/rc.dにシンボリック・リンクを作成して決定するのだが、Linuxconfを用いると簡単に設定できる。

[smbサービス]の設定
[コントロール]-[コントロール・パネル]-[諸サービスの実行/停止制御]-[サービス制御]]画面で[smb]を選択すると、[smbサービス]画面が表示される。
  [起動]メニューでは[自動]オプションをチェック
  [レベル3]チェック・ボックスを選択し、有効にする
  [適用]ボタンを押す
 

Sambaについての情報
 
日本語によるSambaの情報は、日本Sambaユーザー会のページ(http://www.samba.gr.jp/)が最も充実している。ここではSambaの設定法を記した文書が複数公開されている。Linuxをインストールし運用した経験があれば、日本Sambaユーザー会の提供している情報だけでSambaを設定できるだろう。

 Vine Linux 2.1.5付属のSambaのバージョンは2.0.7-ja-1.3だが、すでに2.0系列最新版の2.0.10-ja-1.1がリリースされている。機能面はもちろん、セキュリティ上の理由からもできれば最新版に置き換えたほうが望ましい。Samba日本語版のインストール法については、Linux Squareの「特集:Sambaで快適ファイルサーバーを構築しよう! 第1回 いますぐSambaでファイルサーバ」でも紹介されている。

2時間でできる簡易ファイル/プリント・サーバ

 設定に手間がかかるという点では、市販のNASとは比べることもできないが、ここまでの設定は慣れれば2時間程度で行える。そのうえ、

1.条件付きだが低コストで構築できる
 今回新規購入したのは、ハードディスクとUltra ATA/100インターフェイス・カードだけであり、購入価格も合わせて2万円あまりだ(40G〜60Gbytesハードディスクの場合)。NASは確かに便利だが、市販製品は10万円以上するものがほとんどだ。流用できるPCがあり、かつ設定に手間をかける余裕があれば、低コストでNAS(みたいなもの)を手に入れることができる。

2.機能拡張の余地がある
 Samba/swatの運用に慣れてきたら、動作モードを変更してユーザー別のネットワーク・フォルダや特定のユーザーのみアクセス可能な共有フォルダを追加するなど、よりセキュリティに配慮した構成を選択することができる。また、LinuxのSoftware RAID機能を用いてディスクを2重化したり、DHCPサーバやDNSサーバとしての機能を付加したりするなど、ユーザーのスキルとニーズに応じて複数の機能を持たせられるのも特徴だ。

といったメリットもある。手元にある使われなくなったPCを再生し、NASモドキが低予算でできるので、これからさらに広まるであろうLinuxの勉強を兼ねて挑戦してみてはいかがだろうか。記事の終わり

  関連記事
特集:Sambaで快適ファイルサーバーを構築しよう!
第1回 いますぐSambaでファイルサーバ

  関連リンク
Samba日本語版の紹介ページ
 
 

 INDEX
  [実験]中古PC活用講座
    1.Vine Linux 2.1.5とSamba
    2.Vine Linux 2.1.5をインストールする
    3.cfdiskコマンドでパーティション作成
    4.初期設定はLinuxconfで行う
    5.Sambaの設定はswatから
  6.動作を確認して簡易ファイル・サーバとして運用する
 
「PC Insiderの実験」


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