実験 中古PC活用講座(前編) 1.設定を容易にするためのハードウェア選び
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ご存じのとおり、Linuxにはディストリビューションと呼ばれる配布パッケージがいくつも存在する。各ディストリビューションの構成は、OSのコアとなるカーネルは基本的に共通で、インストーラ、付属ツール、ローカライズ、そして初期設定値に違いがある。この部分の完成度で使い勝手や設定方法が大きく変化するので、Linuxを利用する場合、ディストリビューションの選択は重要な要素となる。本稿では、ローカライズの完成度を考慮してVine Linux 2.1.5を選択した。Vine Linuxの入手方法は、Vine Linuxオフィシャルサイトの「Vine Linuxの入手方法」に詳しく解説されているので、こちらを参照していただきたい。Linux系の雑誌などにも付録CD-ROMに収録されている場合もあるので、そういったものを活用すると容易に入手できるだろう。
Sambaは、Windowsネットワークにおけるファイル・サーバ/プリント・サーバ機能などを、Windows以外のOSで提供するために開発されているソフトウェアだ。Vine Linux 2.1.5にはSamba日本語版(バージョン2.0.7-ja)が付属しているので、本稿でもこれをそのまま使うことにする。
Linuxの設定を簡単にするためのハードウェア選び
中古PCをNASに仕立てる場合、簡単な初期設定のみで実用となる市販のNASとは比べようもないが、できるだけソフトウェア設定は簡単に済ませたいものだ。そのためには、最初に準備するPCのハードウェアをLinuxに合わせて慎重に選ぶことが重要となる。省くことのできるソフトウェア設定はハードウェア側で回避するのが、Linuxを初めてインストールする場合のポイントだ。
ここではベースとなるPCを、前述のようにMMX Pentium〜Pentium II搭載で、メモリは32M〜64Mbytes、ハードディスクは容量2G〜6Gbytesを備えているものと想定する。Windows XPのリリースが近付いていることもあり、このクラスのPCがリプレースの対象となっていることを考慮しての選択だ。このPCにIDEハードディスクを追加することで、ファイル・サーバに再活用する。
なお、古いPCのBIOSでは、大容量ハードディスクを認識できない場合がある(「PC TIPS:容量8.4Gbytes以上のIDEハードディスクを搭載しても、すべての容量が認識できない障害を直すには?」参照)。この障害は、Windowsの場合と同様、Linuxでもソフトウェア的に回避する方法もあるのだが、それよりは追加のIDEインターフェイス・カードを導入したほうが簡単に解決できる。この際に注意しなければならないのは、Linux(正確にはインストールするディストリビューション)が対応しているIDEインターフェイス・カードを選ぶことだ。
今回ベースとしたPC |
Pentium II-233MHzとIntel 440BXチップセット搭載マザーボードを組み合わせたPCを用意した(440BXは1998〜1999年にかけて広く普及したチップセット)。ハードディスク容量は2Gbytes、メモリ容量は64MbytesとWindows 2000クライアントとして常用するにはすでに少々つらくなっている。 |
■障害をあらかじめ避けるため、追加IDEインターフェイスを準備する
ファイル・サーバのハードディスクは、大容量と高速な転送速度を兼ね備えた製品が望ましいが、IDEインターフェイス対応であれば機種には特にこだわらなくてもいい。手持ちの余っているディスクを活用してもいいし、より大容量のものを用意してもかまわない。ここでは、IBM製Deskstar 60GXPの容量40Gbytesモデルを準備した。
今回追加したハードディスク「IBM Deskstar 60GXP」 |
Deskstar 60GXPシリーズは、IBM製Ultra ATA/100対応のハードディスク。ディスク・インターフェイスとの間の最大データ転送レートは40.8Mbytes/sに達する。 |
また、前述のように新たにIDEインターフェイス・カードを用意し、ここにファイル・サーバ用に追加するハードディスクを接続することにする。これは、ベースとなるPCが2年以上前に製造された製品の場合には、次のような問題が発生する可能性を考慮してのことだ。
- IDEインターフェイスの最大転送速度が、ハードディスクの転送速度より低いため、ハードディスクの最大性能を発揮させることができない
- BIOSの制限により、ディスクの全容量を正しく認識できない場合がある
特に2.の問題は深刻だが、PCにUltra ATA/100対応のIDEインターフェイス・カードを追加することで、1.の問題と一緒に解決できる。IDEインターフェイス・カードは、複数のベンダから販売されているが、Linuxに対応もしくはLinuxディストリビューションにデバイス・ドライバが添付されているものを購入しないと、設定が面倒になってしまう。そこで、今回はVine Linux 2.1.5にデバイス・ドライバが含まれていて、かつ量販店などでの入手性が高いという条件からメルコ製「IFC-AT100」という製品(下の写真)を購入した。
メルコのIFC-AT100 |
今回は一般のPCショップでの入手性を考慮して、メルコのUltra ATA/100対応インターフェイス・カード「IFC-AT100」を購入した。実売5000円未満で購入できるだろう。搭載されているUltra ATA/100対応のIDEコントローラは、HighPoint Technologies製のHPT-370である。HPT-370は、Promise TechnologyのPDC20267と並んで、台湾ベンダに採用例の多いUltra ATA/100対応コントローラで、ほとんどのLinuxディストリビューションがデバイス・ドライバを用意している。 |
■10/100BASE-TXのイーサネット・カードもLinux対応の製品を選ぶ
現在のLinuxは、10/100BASE-TXイーサネット・カードへの対応が進んでおり、極端に新しいコントローラを採用していない限り、ほとんどの場合、Linuxのインストール時に自動認識され、デバイス・ドライバも自動的に組み込まれてセットアップされる。高い負荷のかかる環境でないかぎり、どのイーサネット・カードでも性能差が生じることはまずない。今回はテスト用PCにもともと装着されていた、メルコ製「LGY-PCI-TXL」を用いた。新たに購入する場合は、IDEインターフェイス・カードと同様、Linuxで動作実績のある製品であることを確認しておこう。
メルコのLGY-PCI-TXL |
イーサネット・コントローラにMacronix MX98715Aを採用した10/100BASE-TX対応のイーサネット・カード。すでに後継製品に置き換わっており、店頭での入手は困難になっているかもしれない。ただ、Linuxのイーサネット・サポートは幅広いので、特にPCIカード・タイプなら、ほとんどのイーサネット・カードが自動認識されるはずだ。 |
リンク
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■接続するプリンタ
今回構築するLinux搭載PCには、ファイル・サーバとしての機能に加えてWindowsのプリント・サーバとしての機能を持たせることにする。テスト用のプリンタには、日本HP製の「DeskJet 955C」を用意した。Linux上のアプリケーションから印刷せず、最近のインクジェット/レーザー・プリンタでパラレル・ポート経由の接続が可能な製品ならば、設定は比較的容易だ。USBでも接続可能だが動作検証がまだ十分ではないため、PCとのインターフェイスがUSBのみの製品は避けた方が無難だろう。
接続テストに用いた日本HPのDeskJet 955C |
実験用プリンタは、カラー・インクジェット・プリンタ「DeskJet 955C」を採用した。接続インターフェイスは、パラレル・ポートに加えUSBも備えおり、本稿でのテスト環境ではどちらのポートからも、Linux/Samba経由で印刷できた。 |
関連記事(PC Insider内) | |
容量8.4Gbytes以上のIDEハードディスクを搭載しても、すべての容量が認識できない障害を直すには? |
関連リンク | |
Vine Linuxの入手方法 |
INDEX | ||
[実験]中古PC活用講座 | ||
1.Vine Linux 2.1.5とSamba | ||
2.Vine Linux 2.1.5をインストールする | ||
3.cfdiskコマンドでパーティション作成 | ||
4.初期設定はLinuxconfで行う | ||
5.Sambaの設定はswatから | ||
6.動作を確認して簡易ファイル・サーバとして運用する | ||
「PC Insiderの実験」 |
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