[BIOS] | ||
PCのBIOSをアップデートする方法は? |
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澤谷琢磨 2000/07/17 |
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PCのBIOSは、複雑な機能をサポートしているため、バグが入り込む余地が大きく、実際に複数の問題を抱えたまま、PCベンダやマザーボード ベンダから製品が出荷されてしまうこともある。また、たとえばACPI対応など、製品出荷後に機能を追加/改良しなければならないこともある。そのため、マザーボードに組み込まれているBIOSは、ユーザー レベルでアップデート可能になっている場合がほとんどだ。その場合、BIOSはフラッシュメモリあるいはEEPROMに納められており、ソフトウェアで書き換え可能になっている。
ただし、BIOSはPCの起動に欠かせないため、アップデートに失敗してBIOSのコードが破壊されると、PCは動作しなくなる。BIOSによってはアップデートに失敗しても、基本的な領域を保護する仕掛けを組み込んでいることがあるが、BIOSの全機能を保護するものではないため、結局マザーボードの修理や交換を必要とする。そのため、PCやマザーボードのマニュアルには「問題に遭遇していない場合は、BIOSのアップデートは行わないでください」という注意が書かれているし、BIOSのアップデートを行うと保証が切れてしまう場合もある。必要に迫られない限り、BIOSのアップデートは避けたいところだ。
ただ、最新のチップセットを採用したマザーボードの場合、BIOSアップデートを行うと、バグの修正はもちろん、互換性の問題や、性能も改善する場合が多い。そのため、一部のマザーボード ベンダの製品には、BIOSを書き込んだフラッシュ メモリを2つ搭載することで、片方のBIOS ROMの中身を破壊しても、もう片方のROMに切り替えるような仕組みを採用して、最悪の事態を回避できるようにしているものもある。このような製品の場合は、むしろ積極的に書き換えて、PCの動作の安定性向上を狙うべきだろう。
■まずBIOSのバージョン確認
まず、現在どのバージョンのBIOSを用いているかを確認する必要がある。BIOSのバージョンは、PCの起動時に表示される場合が多い。起動画面のままPCを停止させるためには、起動画面が表示された直後にキーボードの「Pause」キーを押す。
PC起動画面の例 |
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Aopen AX64 Proマザーボードを採用したPCを起動した画面。このように起動時にBIOSのバージョンが表示される。また、BIOSセットアップ画面でもバージョンは確認可能だ。 | ||
BIOSベンダの名前(Award Software) | ||
このBIOSのバージョン番号(R1.05) |
■BIOSアップデートの入手
BIOSは、Award Software、American Megatrends(AMI)、Phoenix Technologiesの3社のものを採用している場合が多い。しかし、PCやマザーボードごとにカスタマイズされているため、BIOSベンダから直接供給されることはなく、PCベンダ、あるいはマザーボード ベンダのホームページからBIOSアップデートをダウンロードする必要がある。先ほど確認したバージョン番号と比較して、より新しいバージョン番号のBIOSが提供されていれば、更新内容を確認のうえダウンロードする。BIOSダウンロードのページには、BIOSアップデートに関する重要な注意事項が記されているので、必ず目を通したい。
■リアルモードDOSフロッピーの準備
BIOSアップデートの方法はベンダによってまちまちだが、共通しているのは、リアルモードで動作するMS-DOS上でアップデート作業を実行することだ(つい最近、Intelが自社製マザーボードのBIOSをWindows 9x/Windows 2000上からアップデート可能にした。将来的にはWindows上からのアップデートが標準でサポートされるようになると予想される)。現状では、Windows 9xやWindows 2000上ではもちろん、HIMEM.SYSやEMM386.EXEなどのメモリ マネージャをロードしたMS-DOS上でも、BIOSアップデートを実行することはできない。MS-DOSをリアルモードで実行するためには、DOSの起動用にフォーマットしたフロッピー ディスクを使用するのが最も容易だし、BIOSアップデートではこの方法を推奨するベンダがほとんどだ。
フォーマット済みのフロッピー ディスクを1枚用意し、Windows 9x上でDOSプロンプトを立ち上げ、
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と入力すると、フロッピーに起動用ファイルが転送される。
■BIOSアップデートイメージをフロッピー ディスクにコピーする
次に、BIOSアップデートのイメージと、BIOSをアップデートするためのソフトウェア(書き換えソフトウェア)を用意する。BIOSアップデートは、ほとんどの場合ZIP形式で圧縮された状態で配布されている。そのため、WinZIPなどの解凍ツールが別途必要になる。画面の例に採用しているAopen AX64 Proの場合、BIOSアップデート ファイル「AX64p105.zip」を解凍すると、AX64P105.binとAX64P105.EXEが展開された。このうちAX64P105.binがBIOSイメージ、AX64P105.EXEが書き換えソフトウェアである。なお、マザーボード ベンダによっては、BIOSのイメージとBIOS書き換えソフトウェアを別々に配布している場合があるので、ホームページのインストール方法をよく確認したい。
展開されたファイルを、先ほど準備したフロッピー ディスクにコピーする。
■フロッピーディスクを用いてPCを再起動する
準備したフロッピー ディスクを用いてPCを起動すると、リアルモードのDOSが立ち上がる。DOSの日本語キーボード ドライバを組み込まないため、キーボードは英語101キーボードとして認識される。そのため、記号キーのほとんどが日本語106キーボードとは異なる配置となってしまう。ただ、BIOSのアップデートでは記号キーを用いることはないので、問題とはならないだろう。
■BIOS書き換えソフトウェアを立ち上げ、BIOSの書き換えを行う
起動後表示されるコマンド プロンプトで、
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と入力すると、BIOS書き換えソフトウェアが立ち上がる。
Award Software Easy Flash ROM Utilityを起動した画面 |
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同じAward BIOSでも、書き換えソフトウェアの表示や扱い方は、ベンダごとに微妙に異なる。Aopenの場合は、各BIOSイメージごとに専用のアップデート パッケージを用意しているが、ベンダによっては共通の書き換えソフトウェアを用いることもある。そのような場合、起動後のこの画面で、BIOSアップデート イメージのファイル名の入力を求めてくる。 | ||
Message行に「Are you sure to Program new BIOS(y/n)?」と表示される |
画面下のMessage行に、「Are you sure to Program new BIOS(y/n)?(新しいBIOSに書き換えてもかまわないか?)」と表示された後、「y」と入力するとBIOSの書き込みが始まる。BIOSの書き換え中は絶対にPCの電源を切ったり、リセットをかけたりしてはならない。さもないと、BIOSの内容が壊れてしまう。書き換え作業自体は数十秒で終了する。書き換え作業終了後、以下の画面が表示される。
BIOS書き換え終了時の画面 |
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BIOSアップデート終了時に表示される画面はBIOSベンダによりまちまちだが、たいていは電源を切断するか、リセットを行うよう求められる。 | ||
Message行に「Please Power Off or Reset System!」と表示される。 |
このようにMessage行に、「Please Power Off or Reset System!(PCの電源を切るか、リセットしてください)」と表示されたら、指示に従い、PC本体の電源スイッチ、あるいはリセットスイッチを押し、電源を切るかリセットを行う。この後、再起動が無事に行われれば、BIOSアップデートは終了だ。このとき、表示されるBIOSのバージョン番号から、正しくバージョン アップが行われたことを確認する。
■再起動後はBIOSの再設定が必要
BIOSアップデートを行うと、それまでBIOSに設定されていた内容の一部が失われる。そのため、再起動後はBIOSセットアップを実行し、BIOSを再設定しなければならない。特に時刻やハードディスクの設定が不正確だと悪影響も大きいので、確認作業を必ず行うこと。
Award BIOSのセットアップ画面 |
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Award BIOSの場合、PC起動後、画面が最初に表示されたときに、「DEL」キーを押すと、このセットアップ画面が表示される。どのような項目が用意されているかはハードウェア ベンダごとに異なるので、付属のマニュアルで確認する必要がある。 |
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