第3回 読者調査結果 小柴 豊 |
PC Insiderフォーラムでは、2001年2月から3月にかけて第3回目の読者アンケートを実施した。今回のテーマは、「職場のPC/サーバの障害対策」。ITエキスパートである読者がどのように大切なマシンやデータを守っているのか、主な結果を紹介しよう。
PCのバックアップは、とりあえずファイル・サーバへ
まずは勤務先で使用しているPCのバックアップ状況を集計した結果である。おおよそ3人に1人が「定期的にバックアップを取っている」ほか、「気がついたときに重要なファイルはバックアップしている」人も45%に上り、全体的にデータ保護意識の高さが表れている。
勤務先の個人PCのバックアップ状況 |
ではPCのバックアップをする際、具体的にどんな方法が使われているのだろうか。バックアップ先の主なメディア/場所について、「現在使っているもの」、「今後使いたいもの」の両側面から聞いてみた結果、現状では「LAN接続ファイル・サーバ上のディスク・スペース」の活用度がほかのメディアを大きく上回っていることが分かった。最近では、専用機(NAS)の登場も話題になったように、LAN環境が普及した今日、ファイル・サーバは最も使いやすいバックアップ先になっているようだ。
PCバックアップ用の現在使用メディア/今後使いたいメディア |
また今後使いたいメディアとしては、「DVD-RAM」を挙げる人が最も多かった。ここでバックアップの問題点について読者のコメントを見ると、
- LAN接続のディスク・スペースの各個人に割り当てられている容量が少ない(100Mbytes)
- ハードディスクの容量が大きくなり、MOやCD-Rでは追いつかない
- ハードディスクの大容量化とテープドライブの進化のバランスが取れていない
- 最近の大容量ハードディスクに保存してあるデータを、分割せずにバックアップできない
というように、クライアント・レベルでもギガバイト級が一般的となってきたローカル・ハードディスク(および肥大化したデータ)に対し、今までのバックアップ方法では対処が困難になりつつある状況がうかがえる。DVD-RAMなどの大容量ストレージや、大規模データを効率的にバックアップするツールへのニーズは、今後ますます高まると予想される。
サーバ保護 3種の神器:UPS、テープドライブ、RAID
続いてPCサーバの障害対策についても見てみよう。下のグラフは、回答者の中から勤務先でPCサーバを利用している121人の読者に聞いた、耐障害機器の導入状況である。現状では「UPS(無停電電源装置)」、「バックアップ用テープドライブ」、「RAID」の導入率が5割を超えており、これらがPCサーバ保護の基本構成となっているようだ。また今後の導入意向では、おおよそ4人に1人が「サーバ本体のクラスタリング」を挙げている。今後 e-Business関連など、より可用性が重視される領域でPCサーバの利用機会が増えれば、クラスタリング/ロード・バランサなどの機器への需要も高まりそうだ。
勤務先PCサーバの耐障害機器導入状況/今後の導入希望(複数回答可) |
前項でRAIDを導入していると答えた53人に、その構成を確認してみたところ、該当者の約60%が「RAID 5(分散データ・ガーディング)」を採用していることが分かった。耐障害性/高速化/大容量化を兼ね備えた特性により、現在はRAID 5がRAIDの標準となっていることが確認された。
現在利用している主なRAID構成 |
調査概要 | |
調査方法 |
PC Insider サイトからリンクした Webアンケート |
調査期間 |
2001年2月26日〜3月16日 |
有効回答数 |
143件 |
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