第2回 読者調査結果
データで読むItanium/アプライアンス・サーバの受容性

小柴 豊
アットマークアイティ マーケティングサービス担当
2000/12/26

 第2回目を迎えたPC Insider読者調査では、テーマをサーバのトレンドに絞り、「Intel Itanium(IA-64)プロセッサ搭載サーバ」および「アプライアンス・サーバ」のユーザー・ニーズを調査した(PC Insider 第1回 読者調査結果)。さっそく、その結果を紹介しよう。

Itanium搭載サーバ:眠れる需要を覚醒させるには?

 すでにパイロット・リリースが開始され、2001年春にも正式出荷が予想されるItaniumサーバであるが、現時点での導入意向は盛り上がっているのだろうか?読者に勤務先での予定を聞いたところ、具体的な導入予定を持つ企業は未だにほとんどないという状況だった。ただし、約8割の読者がItaniumへの興味を示しており、潜在需要は大きいことが推測される。では、Itanium需要を喚起するような用途や要因とは何だろうか?

勤務先でのIntel Itanium搭載サーバ導入予定

 前設問で「Itanium導入に興味がある」と答えた読者(78人)に、勤務先導入を仮定した場合の主目的を聞いたところ、おおよそ4割が「大規模データベースやERP等のバックエンド・サーバ」を挙げた。やはり現在ハイエンドUNIXサーバが担っている分野をIAサーバで代替することを、Itaniumに期待しているのだろう。

Itanium搭載サーバを導入する場合の主目的

 次にItaniumサーバ導入検討時に重視される点を見てみよう。前問同様「Itanium導入に興味がある」読者に3つまで選択していただいたところ、

Itanium搭載サーバ導入時の重視点 (複数回答 %)

 上記のグラフのようなランキングとなった。ここからItanium普及のための条件を仮説的に整理すると、

  • OSとして、64bit Windows 2000 および Linux が稼動できること(逆に商用UNIXのItanium版はあまり急ぐ必要がなさそう)
  • RDBMSなど、前述のバックエンド・サーバに適用するようなアプリケーション・ソフトウェアが稼動できること
  • UNIXサーバ機との比較では、「コスト・パフォーマンス」が強調できる価格設定を行うこと

 これらは、あくまで今回の読者調査から導き出された仮説にすぎないが、あくまでも実用的な用途提案や、UNIXサーバとの大幅な差別化が、Itanium普及の鍵になることは間違いないだろう(「特集:Itaniumの登場でハイエンド・サーバ市場が変わる?」参照のこと) 。

アプライアンス・サーバ:用途拡大とユーザー・ニーズの方向性は?

 続いて今後急成長が見込まれるアプライアンス(特定用途向け単機能)・サーバについて、読者勤務先での「現在導入状況」と「今後の導入意向」の両面から見てみよう。現在導入が進んでいるアプライアンスは、「Webサーバ」を筆頭に、「メール・サーバ」、「ファイヤ・ウォール」などのセキュリティ・サーバ、「Proxyサーバ」といったインターネット・システムの基本的な役割を担うサーバ群である。

「勤務先で導入済み」、「今後導入したい/興味がある」アプライアンス・サーバ(複数回答 %)

 一方、まだ導入は進んでいないがこれから期待できそうな分野としては、「負荷分散サーバ(ロードバランシング・サーバ)」、「NAS(Network Attached Storage)サーバ」が挙げられる。負荷分散/NASについては、2000年夏以降からコンパック、IBM、日本電気、デルコンピュータなどの大手ベンダが続々と新製品を発表しており、今後アプライアンス・サーバの適用ジャンルを確実に広げていくだろう。

 ところで、こうしたアプライアンス・サーバを導入する際、ユーザーが重視するのはどのようなことなのだろうか?

アプライアンス・サーバ導入時の重視点(複数回答 %)

 この読者の回答結果を見ると、複数回答にもかかわらず以下の2点に意見が集中した。

  • 安い: 導入/管理コストが低いこと
  • 簡単: 設定/運用が簡単であること

 逆に考えると、「単機能ゆえの安さ/簡単さ」をぼやけさせるような付加価値は、この分野に求められていないといえそうだ。

 最後にアプライアンス・サーバ導入時に望まれる搭載OSについて見てみよう。結果を見ると、「Windows NT/2000」と「Linux」を希望する読者と、「特にOSにはこだわらない」読者がおよそ3割ずつ存在することが分かった。

アプライアンス・サーバ導入時の希望OS

 ここで前記アプライアンス・サーバの基本ニーズ(安い/簡単)の観点から、Linuxアプライアンスの可能性について考えると、簡単操作ができる設定・管理メニューが付けば、元々のコストがWindowsに比べて低いため、OSにこだわらない「浮動層」を獲得できるチャンスがあるといえるのではないだろうか? 今後のサーバOS市場シェアは、アプライアンス・サーバの成否に大きな影響を受けるかもしれない。記事の終わり

  調査概要
調査方法
PC Insider サイトからリンクした Webアンケート
調査期間
2000年11月10日〜12月5日
有効回答数
97件

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「PC Insiderの読者調査結果」



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