第7回 RFIDシステム導入を成功に導く最適化作業


西村 泰洋
富士通株式会社
ユビキタスシステム事業本部
ビジネス推進統括部
ユビキタスビジネス推進部
担当課長
2006年11月18日


 システム全体最適化

 ここまでRFIDシステム最適化として、ハードウェア最適化、ソフトウェア最適化、そのほかの最適化について解説してきました。ここまでで解説した項目はRFIDシステムを最小構成で見た場合です。

 システム全体として考える場合には、PCやサーバのタスク管理やゲートウェイ、ネットワークなど、視野を広げて全体最適化を考える必要があります。対象物やデータ量が大量である場合にはもちろん検討が必要ですので、意識はしておいてください。また、RFIDシステムの活用に合わせて、業務プロセスを変更するという視点もありです。

 RFIDシステム導入に際しての“ものの見方”

 RFIDシステム最適化とは、基本的にはフィージビリティスタディの時点から心掛けることであって、「システム構築の終盤にきて適用するものではない」ということが理解いただけたことでしょう。もちろん、ソフトウェア最適化の場合は、どうしてもデータ項目とレイアウトの確定が遅れてテストフェーズに入ってから対処することもあります。

 本連載の最後に当たって、筆者が申し上げたいのは、業務分析やフィージビリティスタディあるいはRFIDシステム構築の全体工程において、どうしても目が行きがちになってしまう対象物だけではなく、業務や利用環境、そして関連システムも含めた全体に目を配ることで、最適化作業の準備と実施ができるということです。

 従って、RFIDシステム導入・構築の際に心掛けたいのは、

木を見て森を見る、さらに木の根・幹・枝・葉も見て、また森を見る

というものの見方です。

 システムの導入に際しては、現場でのテストなどでさまざまな気付きがあります。しかし、その気付きだけにとらわれず、振り返って全体的な状態にも目配りをしてほしいのです。

 そして、さらなる気付きも出てくるでしょうから、個々の関連性も含めて、全体を見るようにしましょう。このようなものの見方を習慣付けることで、より性能と精度の高いRFIDシステムが実現できます。

 今回のRFIDシステム最適化の解説を持ちまして、「RFIDシステム導入バイブル」は終了となります。本連載を読んだだけでRFIDシステムの導入が簡単にできるということはありません。しかし、「RFIDシステムの導入は決して難しいものではない」ということが実感いただけたかと思います。

 新しい技術へのアンテナの高い方は早期に実践してみたいと思っていることでしょう。また、連載中に読者から「どうしたら本連載で解説しているようなことを実践できる人材になれるのか」という質問を受けました。その回答は新連載の「RFIDプロフェッショナル育成バイブル」でじっくりと取り上げたいと思います。

 皆さんには、RFIDシステムの導入や構築の現場で、ぜひ、リーダーとなっていただき、このファンタスティックな技術の適用をけん引していただきたいと考えます。皆さんとともにRFIDシステムについて考える時間を共有できたことをうれしく思います。7カ月もの間、ご愛読ありがとうございました。

3/3
 

Index
RFIDシステム導入を成功に導く最適化作業
  Page1
システム最適化は避けては通れない作業
最適化手法ごとの作業時期は異なる
  Page2
ハードウェア最適化
ソフトウェア最適化
そのほかの最適化
Page3
システム全体最適化
RFIDシステム導入に際しての“ものの見方”


Profile
西村 泰洋(にしむら やすひろ)

富士通株式会社
ユビキタスシステム事業本部
ビジネス推進統括部
ユビキタスビジネス推進部
担当課長

物流システムコンサルタント、新ビジネス企画、マーケティングを経て2004年度よりRFIDビジネスに従事。

RFIDシステム導入のコンサルティングサービスを立ち上げ、自動車製造業、流通業、電力会社など数々のプロジェクトを担当する。

著書に「RFID+ICタグシステム導入構築標準講座(翔泳社)」がある。

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