第1回 @IT RFIDゼミナール
「ハンズオンで学ぶ、RFID導入ノウハウ」レポート
電波を捕らえた! RFIDがより身近になった日
宮田 健
@IT編集部
2006年12月28日
2006年12月18日、東京のコンファレンススクエアM+で第1回 @IT RFIDゼミナール「ハンズオンで学ぶ、RFID導入ノウハウ」(主催:アイティメディア株式会社 @IT編集部)が開催された。RFID+ICフォーラムとしては初となるイベントは、RFIDの導入に関心を持つ参加者で満席であった。今回はそのもようをレポートする。(編集部)
RFIDのシステムを構築することは、情報システム部門やシステムエンジニアが得意としてきたシステム構築とは異なり、縁遠いものと思われがちである。これはRFID自体の情報が少ないため、どのようなプロセスで導入を行えばいいか分からないからではないだろうか。今回のセミナーは講演とハンズオンで構成され、RFIDシステム導入のノウハウを体で覚えることのできるものであった。
人気連載の筆者が教えるRFID導入の基本
今回のセミナーは富士通の西村泰洋氏による講演「RFIDシステム導入・構築バイブル」よりスタートした。西村氏は富士通にてRFIDシステムにかかわるコンサルタントを行っており、当フォーラムでも「RFIDシステム導入バイブル」を連載していた、RFIDの専門家である(西村氏による新連載、「RFIDプロフェッショナル育成バイブル」もまもなくスタートする予定である)。
講師を務めた西村泰洋氏 |
西村氏はまず、RFIDシステム導入の流れを説明した。RFIDシステムは「あくまで業務システムの一部である」と位置付け、RFID部分だけを見るのではなく、全体のシステム構築に影響が出ないような設計を行う必要があると述べた。
RFIDを導入するには4つのフェイズがあり、
- 第1フェイズ:業務分析やフィージビリティスタディ
- 第2フェイズ:パイロットシステム開発、業務テスト
- 第3フェイズ:一部導入
- 第4フェイス:本導入
という流れで導入が行われる。その中でも初期フェイズの業務分析やフィージビリティスタディは重要で、利用シーンを想定してどのようにRFIDを使っていくのかといったことを考える必要がある。この点においては現場のユーザーとのアイデア出しがとても重要であり、この点に注力することがRFIDシステム構築の成功の鍵であるという。
【参考】 RFIDを利用した業務システム開発の心得 http://www.atmarkit.co.jp/frfid/rensai/bible/bible01/index.html |
早い段階から最適化を心掛けることが成功につながる
西村氏の経験では、RFIDの活用シーンの落としどころは以下の10種類程度にまとめられるという。
- バーコードからの置き換え
- バーコード+アルファ(棚卸処理や貸出/返却処理など)
- 複数バーコードを1枚に
- 商品情報/作業指示
- データを保有する作業指示書
- 在庫確認(リアルタイムに在庫情報を取得するスマートシェルフなど)
- 親子タグ(出荷検品など倉庫と店舗で1つのタグを使い誤配を防止するなど)
- 入退室管理
- 位置検知
- センサー利用
RFIDの使い方としてはこの10種類の活用シーンは一般的なものである。しかし活用シーンを決めた後の現場作業が重要で、それぞれの環境に合わせてアンテナの設置数や位置、角度などを調整するハードウェアの最適化、タグ読み取り間隔やデータレイアウトの調整によるソフトウェアの最適化が必要である。西村氏はフィージビリティスタディの時点からRFIDシステムの最適化を心掛ける必要があると述べた。
【参考】 RFIDシステム導入を成功に導く最適化作業 http://www.atmarkit.co.jp/frfid/rensai/bible/bible07/bible01.html |
高い参加者の意識
講演の途中では、タグの通信距離が環境によりどのように変わるか? という内容のRFIDクイズが行われた。ここでは金属や水分の影響を受けると通信距離が短くなることを確認する内容であったが、ほとんどの方が正解しており、参加者のRFIDに対する関心の高さを垣間見ることができた。
また、最近作られたオフィスでは、配線が行えるように床に空洞があるフリーアクセス床で金属板が入っている構造になっていることから電波の反射が発生し、若干通信距離が増えるという事例もクイズを通じて紹介され、環境の影響が大きいことが説明されていた。
途中で行われたRFIDクイズの様子。参加者は真剣に聞き入っていた |
1/2 |
Index | |
電波を捕らえた! RFIDがより身近になった日 | |
Page1 人気連載の筆者が教えるRFID導入の基本 早い段階から最適化を心掛けることが成功につながる 高い参加者の意識 |
|
Page2 体感こそ正しい理解の第1歩 活用シーンを想定したハンズオン RFID人材育成のために |
RFID+ICフォーラム トップページ |
- 人と地域を結ぶリレーションデザイン (2008/9/2)
無人駅に息づく独特の温かさ。IT技術を駆使して、ユーザーが中心となる無人駅の新たな形を模索する - パラメータを組み合わせるアクセス制御術 (2008/8/26)
富士通製RFIDシステムの特徴である「EdgeBase」。VBのサンプルコードでアクセス制御の一端に触れてみよう - テーブルを介したコミュニケーションデザイン (2008/7/23)
人々が集まる「場」の中心にある「テーブル」。それにRFID技術を組み込むとコミュニケーションに変化が現れる - “新電波法”でRFIDビジネスは新たなステージへ (2008/7/16)
電波法改正によりミラーサブキャリア方式の展開が柔軟になった。950MHz帯パッシブタグはRFID普及を促進できるのか
|
|
- - PR -