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マイクロソフト認定技術資格試験「MCP/MCSEラーニングブック」
70-293:Planning and Maintaining a Microsoft Windows Server 2003
Network Infrastructure 編
5-1.ネットワークプロトコルセキュリティ
宮本 寿夫/澤村 孝太郎
2004/2/5 |
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Windows Server 2003ではIPSec(IP Security)がサポートされています。IPSecを使用することで、コンピュータ間の通信を暗号化して盗聴などの不正アクセスからデータを保護したり、署名を施して通信の改ざんを防止したりするなど、通信のセキュリティを確保することができます。
IPSecの設定を行うには、MMC(Microsoft Management Console:Microsoft管理コンソール)から「IPセキュリティ」のスナップインを追加して設定するか、netshコマンドを使用します(図5-6)。また、Active
Directory環境ではグループポリシーを使用してIPSecの設定を集中管理することも可能です。
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図5-6 IPセキュリティスナップイン(拡大) |
IPSecの設定は、コンピュータにIPSecポリシーを割り当てることで行います。デフォルトでは3つのIPSecポリシーが用意されており、必要なセキュリティレベルに応じていずれかを割り当てます。またIPSecポリシーは既存のものをカスタマイズしたり、新規に作成したりすることも可能です。
既存のIPSecポリシーの内容は以下のとおりです(表5-1)。
IPSecポリシー
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説明
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クライアント(応答のみ) |
通常の通信にはIPSecを使用しません。通信相手がISPecによる通信を要求してきた場合のみIPSecを使用します。
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サーバ(セキュリティが必要) |
別のコンピュータからの通信の要求を受け付けた場合、そのコンピュータにIPSecの使用を要求し、IPSecでの通信を行います。ただし、相手がIPSecを使用できない場合は、IPSecを利用せずに通信を行います。 |
セキュリティで保護されたサーバ |
原則としてすべての通信でIPSecを使用します。IPSecを使用できない相手との通信は一切許可しません。 |
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表5-1 既存のIPSecポリシー |
IPSecを標準でサポートするのはWindows 2000、Windows XP Professional、Windows Server
2003です。Windows NTはIPSecをサポートしないため、Windows Server 2003コンピュータに「セキュリティで保護されたサーバ(セキュリティが必要)」のIPセキュリティポリシーを割り当てると、Windows
Server 2003コンピュータとWindows NTとの通信が行えなくなります。
また、Windows XP Professionalコンピュータには、必要な通信にのみIPSecを使用するよう「クライアント(応答のみ)」を使用するのが適切な構成といえます。
■POINT■
Active Directory環境では、グループポリシーを使用してIPSecポリシーを割り当てることができるため、同様の設定を行うコンピュータを1つのOU(Organizational
Unit:組織単位)にまとめ、そのOUに対してIPSecポリシーの設定を含むグループポリシーを適用する方法が有効です。ドメイン全体に同様のIPSecポリシーを割り当てるとネットワーク内で通信の際に大量のオーバーヘッドが発生するため、このような設定は一般的な環境では推奨されていません。
■KEYWORD■
IPフィルタ
IPフィルタは、どのような通信の際にIPSecを使用するのかを指定するためのフィルタです。
あて先のIPアドレスやポート番号、プロトコルなどの条件で構成できます。IPフィルタをカスタマイズすることで、通常はIPSecを使用しないが、特定の相手(IPアドレス)と通信する際にはIPSecを使用する、といった構成が可能となります。
IPフィルタは、IPセキュリティポリシーのプロパティから設定可能です(図5-7)。
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図5-7 IPフィルタの設定 |
マイクロソフト認定技術資格試験「MCP/MCSEラーニングブック」
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