Omdiaによると、ネットワークセキュリティ市場は2024年第4四半期に前年同期比で5.1%成長し、2024年通年では3.1%成長した。
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Omdiaは2025年3月26日(米国時間)、ネットワークセキュリティ市場が2024年第4四半期に前年同期比で5.1%成長し、2024年通年では3.1%成長したと発表した。
ベンダー別ではPalo Alto Networksが28.4%のシェアを獲得し、2024年も市場リーダーとしての地位を維持した。セキュリティアプライアンスへの安定した需要と、ソフトウェアおよびSASE(Secure Access Service Edge)コンポーネントの導入拡大が追い風になったとしている。
Omdiaの報告では、ネットワークセキュリティ市場には統合セキュリティアプライアンス、セキュアルーター、SSL VPNゲートウェイ、VPNおよびファイアウォールソフトウェア、ネットワークベースのIDS/IPS(侵入検知システム/侵入防止システム)などが含まれる。
「Palo Alto Networks(以下、Palo Alto)、Fortinet、Cisco Systems(以下、Cisco)、Check Point Software Technologies(以下、Check Point)の4社は、いずれも5年連続で2桁のシェアを握り、ネットワークセキュリティ市場をけん引し続けている」と、Omdiaのインフラセキュリティ担当シニアアナリスト、ケタキ・ボレード氏は説明している。
「SASEアーキテクチャの導入拡大がネットワークセキュリティ市場の成長の原動力となっており、市場成長がソフトウェア統合を促進している。また、脅威状況の進化に伴い、次世代ファイアウォールと他のセキュリティソリューションのシームレスな統合が必要になっている。AI(人工知能)と機械学習(ML)は、より先を見越したプロアクティブなセキュリティアプローチを実現する上で、今後も重要な役割を果たすだろう」(ボレード氏)
Omdiaのサイバーセキュリティ担当シニアプリンシパルアナリスト、リック・ターナー氏は、次のように付け加えている。「ファイアウォールベンダー上位4社の市場支配は、この市場が成熟していることを明確に示している。それだけでなく、まだ初期段階にあるSASE市場で各社が戦略的に適切な位置取りをすれば、今後長年にわたってネットワークセキュリティの主導権を握り続ける可能性があることも示している」
「4社のうちCheck PointとCiscoは、クラウドネイティブセキュリティ(CNAPP:Cloud Native Application Protection Platforms)製品の自社開発から撤退し、Wizの製品をOEM/ホワイトラベルで提供することを選択している。これは、市場リーダーのPalo Altoにどの分野で対抗するかを、両社が慎重に選択していることを浮き彫りにしている。SASEへの注力は、ファイアウォールに関する両社の専門知識、ノウハウや、企業におけるSaaS利用の急速な拡大から見て、理にかなっている」(ターナー氏)
Omdiaは、ネットワークセキュリティ市場の主要ベンダーの過去5年間における市場シェアランキングを示す下の図を紹介し、以下のように説明している。
Omdiaは、今後2年間のこうした更新サイクルを踏まえ、ファイアウォールベンダーの好調な成長を予測している。ただし、ボレード氏は、「上位4社は全て、2025年の見通しを2024年時点の見通しよりも下方修正している。これは市場成長に関する懸念材料だ」とも指摘している。
この慎重な見通しに影響している可能性がある要因には、企業のコスト削減、必須サービスの優先順位付け、クラウドおよびSASEソリューションへの移行などがある。この移行は、従来のハードウェアファイアウォールの需要に影響を与えそうだが、その一方で、ソフトウェアファイアウォールや“プラットフォームとしてのファイアウォール”には追い風になるという。
Omdiaは、2024~2029年のネットワークセキュリティ市場全体の年平均成長率(CAGR)を2.8%と予測している。ファイアウォール分野はこの期間に年平均5.0%のペースで成長する見通しだ。
「市場は成長を続け、製品統合の増加とSASEの導入拡大が、今後もその進化を形作るだろう」(ボレード氏)
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