「透明性向上が狙い」 Mozilla、「Firefox」に利用規約を導入した理由を説明FAQから「データを決して販売することはない」削除で懸念広まる

Mozillaは、「Firefox」ブラウザにおける利用規約の初導入と、「プライバシーに関する通知」の更新を発表した。新しい利用規約は2025年2月25日に発効している。この利用規約の文言や、FAQの更新を巡る不安や懸念の声に対し、Mozillaが意図を説明した。

» 2025年03月04日 08時00分 公開
[@IT]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

 Mozillaは2025年2月26日(米国時間、以下同)、「Firefox」ブラウザの「Terms of Use」(利用規約)の初導入と、「Privacy Notice」(プライバシーに関する通知)の更新について紹介したブログ記事の更新版を公開した。

 新しい「Firefox利用規約」と「Firefoxのプライバシーに関する通知」は、いずれも2025年2月25日に発効している。一方、この利用規約の文言や、MozillaのFAQから「私たちはあなたのデータを決して販売することはない」という文言が削除されたGitHubのコミット履歴を踏まえ、「Firefoxで入力したりアップロードしたりしたデータに対する権利をMozillaに与えるのではないか」「ユーザーのデータが販売されるようになるのでは」と、不安視する声が上がっていた。

 Mozillaは「ライセンスに関する文言についてやや混乱が見られた」とした上で、「Firefoxの基本的な機能の一部を実現するには、ライセンスが必要だ。ライセンスがなければ、例えば、われわれは、Firefoxに入力された情報を使うことができない。ただし、ライセンスは、ユーザーのデータの所有権や、プライバシーに関する通知に記載されていること以外にデータを使用する権利を、われわれに与えるものではない」と述べている。

1.0公開から21年後に利用規約を導入、「データを販売しない」削除の意図とは?

 Mozillaは、Firefoxの利用規約を初めて導入し、プライバシーに関する通知を更新した理由について、「Mozillaは従来、Firefoxのオープンソースライセンスと、ユーザーに対する公的なコミットメントに依存してきた。だが、今日では、われわれはこれまでとは大きく異なる技術環境で開発をしている。われわれは、これらのコミットメントを明確にし、アクセスしやすくしたいと考えている」と説明している。

 また「データを決して販売することはない」という文言をFAQから削除した理由を次のように説明している。

 「一部の地域で『販売』が法的に広く定義されるようになったため、FAQを更新した。カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)など米国の複数の州で導入されているプライバシー法では、『販売』を『販売、賃貸、公開、配布、利用可能にする、転送、またはその他の方法で口頭、書面、または電子的その他の手段で消費者の個人情報を他のビジネスや第三者に対して行うこと』と定義している。Firefoxは幾つかの場所でパートナーとデータを収集および共有している。これには、新しいタブに表示される広告や検索バーで提供されるスポンサー付き提案が含まれている。Mozillaは、ほとんどの人が考える方法でデータを売ることも、データを購入することもない」(Mozilla)

利用規約の承認を求めるステップ

 MozillaはFirefoxで、新機能の追加、既存機能の改良、新しいアイデアのテストを常に継続していき、Firefoxをオープンソースとして開発することに引き続き尽力すると述べ、「その上で、公式の利用規約を設けることで、Firefoxを使用する際のユーザーの権利と権限について、より高い透明性をユーザーに提供できる」との見解を示している。

 Firefoxの新規ユーザー向けには2025年3月上旬、既存ユーザー向けには2025年中に、標準的な製品体験の一部として、この利用規約の承認を求めるステップを組み込む計画だ。

「プライバシーに関する通知」はより詳細に

 Mozillaは、プライバシーに関する通知の更新版では、Mozillaのデータ慣行のより詳細な説明を提供するという。

 「われわれは常にユーザーのプライバシーを優先しており、今後もそうしていく。Firefoxを機能的で持続可能なものにするため、ユーザーの利便性を向上させるため、ユーザーの安全を守るために、データを利用している。Firefoxの一部のオプション機能やサービスは、動作させるために追加のデータを収集する必要があるかもしれない。だが、その場合でも、ユーザーのプライバシーはわれわれの優先事項だ。われわれは、どのようなデータを収集し、それをどのように使用するかについて、明確にするつもりだ」(Mozilla)

 Mozillaは最後に、ユーザーが主体的に管理できることを強調している。「『責任あるデフォルト』に基づき、ユーザーが使い始めに確認したり、いつでも自分で調整したりできるようにしている。こうしたシンプルだが強力なツールにより、ユーザーは自分のデータを思い通りに管理できる」としている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

4AI by @IT - AIを作り、動かし、守り、生かす
Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。