Security Tips | ||
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syslogサーバの限界を確認する りょうわ あきら |
UNIXやLinuxなどのログのリモート転送には、syslogを使用する方法が広く用いられている。しかしsyslogは、通常ログメッセージ転送にUDPを使用するため、転送中にパケットが失われたりサーバが高負荷状態に陥りパケットを破棄してしまうような事態が生じた場合、ログサーバに記録されるべきメッセージが残らないという状況が発生し得る。
では、実際にはどの程度の量のログ転送が発生したときにメッセージ欠落が発生し得るのだろうか。大量のログメッセージが発生する状況をあらかじめテストするためには、syslogテストツールであるKiwi
SyslogGenなどのテストツールを使用するとよいだろう。
kiwi SyslogGenを使用すると、ターゲットサーバに対して10~2000msの任意の間隔で連続的にメッセージを送出したり、10秒間に100あるいは500といった大量のメッセージを一度に送出するといった簡単な負荷テストを実行できる。kiwi
SyslogGenはほかにも、任意の内容のテキストメッセージを送出したり、ランダムに不正なsyslogメッセージを送出するなど、syslogサーバの各種機能テストに有用なオプションを備えている。
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図1 Kiwi SyslogGenの設定画面 |
しかしながら、kiwi SyslogGenでもメッセージ同時送出のタイミングなどを細かく設定できるわけではなく、syslogサーバのメッセージ受信能力もそのときどきのネットワークの混雑度合いやサーバの負荷状態などによって変化するため、syslogメッセージを漏れなく受信可能な正確な閾(しきい)値をはじき出すことまではできない。この点には注意が必要である。しかし、ログサーバを設置するに当たっては、こうしたテストツールを使用して、おおよその受信能力の限界を検証しておく必要があるだろう。
取りこぼしを避けなければならない場合、信頼性を上げるためにTCPを使用したり、あるいは転送量を抑制するため転送対象としているメッセージを見直すなどの対策を考慮する必要がある。
重要なログメッセージを取りこぼしていることに、後になってから気付くという事態は避けたいものだ。
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Security Tips Index |
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Windows 10が備える多彩なセキュリティ対策機能を丸ごと理解するには、5つのスタックに分けて順に押さえていくことが早道だ。連載第1回は、Windows起動前の「デバイスの保護」とHyper-Vを用いたセキュリティ構成について紹介する。 - WannaCryがホンダやマクドにも。中学3年生が作ったランサムウェアの正体も話題に (2017/7/11)
2017年6月のセキュリティクラスタでは、「WannaCry」の残り火にやられたホンダや亜種に感染したマクドナルドに注目が集まった他、ランサムウェアを作成して配布した中学3年生、ランサムウェアに降伏してしまった韓国のホスティング企業など、5月に引き続きランサムウェアの話題が席巻していました。 - Recruit-CSIRTがマルウェアの「培養」用に内製した動的解析環境、その目的と工夫とは (2017/7/10)
代表的なマルウェア解析方法を紹介し、自社のみに影響があるマルウェアを「培養」するために構築した動的解析環境について解説する - 侵入されることを前提に考える――内部対策はログ管理から (2017/7/5)
人員リソースや予算の限られた中堅・中小企業にとって、大企業で導入されがちな、過剰に高機能で管理負荷の高いセキュリティ対策を施すのは現実的ではない。本連載では、中堅・中小企業が目指すべきセキュリティ対策の“現実解“を、特に標的型攻撃(APT:Advanced Persistent Threat)対策の観点から考える。
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