2025年の世界のセキュリティ支出は12.2％増加、支出が増加する業界は？ IDC：2025年に成長するセキュリティ分野とは

IDCは「Worldwide Security Spending Guide」を発表した。2025年のセキュリティ支出は2024年比で12.2％増を見込んでいる。地域別、業界別の支出動向や分野別の成長率も予測している。

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　IDCは2025年3月21日（米国時間）、「Worldwide Security Spending Guide」を発表した。それによると、2025年のセキュリティ支出は2024年比で12.2％増となる見通しだ。

　生成AI（人工知能）などAIの普及に伴い、サイバー脅威の複雑化や攻撃頻度が増加する中、世界中の組織はより高度な防御策を採用しつつある。セキュリティ支出は2023年から2028年まで継続的に増加し、2028年には3770億ドル規模に達する見込みだという。

セキュリティ支出は全ての地域で増加　分野別、業界別に支出が増加するのは？

　地域別に見ると、米国と西欧は2025年も引き続き、世界のセキュリティ支出の70％以上を占めている。2025年は全ての地域においてセキュリティ支出が増加すると予測されており、特にラテンアメリカ、中東欧、中東、アフリカ（MEA）地域で最も高い増加率が見込まれるという。

　IDCデータ＆アナリティクスのシニアリサーチマネジャーであるエマン・エルシュウィ氏は、「MEAや、湾岸協力会議（GCC）諸国におけるDX（デジタルトランスフォーメーション）の進展と新興技術の導入により、進化する脅威の状況に対処するためのセキュリティソリューションの需要が大幅に増加している。MEA地域では、政府と企業の両方が、サイバー脅威の増加に対応するために多額の投資を推進しており、組織を攻撃から守るためのサイバーセキュリティ教育や研修プログラムの重要性に対する認識も高まっている」と述べている。

分野別のセキュリティ支出

　セキュリティ支出を分野別に見ると、2025年に最大の技術分野となるのはセキュリティソフトウェアだ。全世界のセキュリティ市場の半分以上を占めると同時に、2024年比14.4％増と、最も急成長する分野となる。特に、クラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォーム（CNAPP）、IDおよびアクセス管理ソフトウェア、セキュリティ分析ソフトウェアの成長がセキュリティソフトウェア市場をけん引する。これらは、企業が組織全体を対象に、サイバー脅威を効率的に検出し、迅速に対応するための統合的な対策に重点を置いていることを反映している。

　2番目の技術分野はセキュリティサービスだ。マネージドセキュリティサービスの継続的な拡大が成長をけん引している。あらゆる規模の組織は、新たなセキュリティ課題に柔軟かつ効率的に対応する手段として、同分野への投資を強化すると考えられる。最後に、セキュリティハードウェアは3番目の技術分野として、1桁台の安定した成長を遂げる見込みだ。

業界別のセキュリティ支出

　2025年にセキュリティに最も多く支出する業界は、銀行、連邦政府、中央政府、通信、資本市場、医療提供機関となる見込みだ。最も成長率が高い業界は、資本市場（19.4％）、メディア・エンターテインメント（17.1％）、ライフサイエンス（16.9％）と、IDCは予測している。

　IDCデータ＆アナリティクスのリサーチマネジャーであるステファノ・ペリーニ氏は「AIと生成AIによって強化されたサイバー脅威からの保護は、あらゆる業界の組織にとってますます戦略的な課題となる。特に、石油、ガス、通信などの重要インフラを管理する組織、航空宇宙、防衛、ライフサイエンスなど重要な資産を開発する組織など、重要なサービスを提供する組織では喫緊の課題になりつつある。多くの企業は、セキュリティ対策を長期的な競争優位性を確保するための重要な要素と認識している」と述べている。