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TCPポートをノックしてコマンドを実行するknockd 宮本 久仁男 |
knockdは特定の順序でTCPポートやUDPポートをノックすると、あらかじめ設定してあるコマンドを実行するプログラムだ。これを使うことで、簡易的ではあるが、sshのポートを開けたり閉めたりということができる。
knockdのソースコードは、http://www.zeroflux.org/knock/から入手可能である。コンパイルにはlibpcapが必要だ。しかし、
- 古いlibpcapに実装されていない機能を使う
- Linuxに依存した内容のコードになっている
という理由で、Linux系OSでかつ比較的新しいlibpcapが使える環境でのみ使える。
筆者の環境はDebian GNU/Linuxだが、woodyではlibpcapのバージョンが古く、コンパイルできない。なお、sargeではknockdのパッケージが用意されている。このように、古い環境で使う場合には注意が必要となる。
配布されているtar.gzファイルには、設定ファイルのサンプルが付属しているが、iptablesのルールを操作するような内容のため、ごくごく単純なスクリプトを使ってテストしてみてほしい。例えば、/tmp/knockd.confに以下のような内容を設定して、knockd -d -c /tmp/knockd.confを実行してみよう。
[options] |
/tmp/mogeは、
echo $1 > /tmp/mogelog |
/tmp/hogeは、
echo $1 > /tmp/hogelog |
という内容で、実行権限を与えておく。
knockdは、デフォルトではeth0をlistenするので、自分以外のホストからknockしてみよう。
knockコマンドは、単にSYNフラグが立ったパケットを指定したホストの指定したポートに送るだけなので、別にtelnetを順序よくかけてもいい。なお、knockdはL2レベルの監視をしているので(だからlibpcapが必要)、別にそこで接続をうんぬんということはない。
telnet targethost 7000 |
または、
telnet targethost 9000 |
というコマンドでも、knockコマンドの代わりになる。
ポートをノックしたら、knockdを動かしているマシン上の/var/log/knockd.logにログが記録されるのでチェックしてみよう。また、/tmp/hogelogと/tmp/mogelogもチェックして、IPアドレスが記録されているかどうかをチェックしてみよう。
なお、knockdは、パケットヘッダのフラグ設定もできる。ある程度慣れてきたらそのような使い方を実施することで、よりセキュアなものにすることも可能だ。ただし、複雑なフラグのパターンを設定した場合には、knockコマンドでは対処しきれないので、送出するパケットに含まれるTCPヘッダ中のフラグを任意に設定可能なコマンド(例:hping2)などを使う必要がある。
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