■ 【3】複数アプリが同時に起動できる
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例えば、「Private trainer」というAndroidアプリがあります。このアプリを企画する際、「フル機能を考えると、GPSロガー的な機能が必要ではないか?」という意見が挙がりました。
ただ、「GPSロガー」というアプリは定番ジャンルで、すでに競合がいくつもあり、それらとの機能競争は激しくなります。また、地図上のログ表示は、PCサイトとの連携なども当然のように必要です。そして、こうした機能を搭載したアプリはすでにユーザーを獲得しているため、「似た機能を実装して、わざわざ競合する必要はない」と判断しました。
Androidを所持していて、すでにトレーニングに使用しているユーザーのことを考えると、乗り換えを狙うよりも同時に使ってもらう方が賢いですし、このアプリのメインコンセプトはペースメーカーなので、GPSロガーやログ表示に特化したものと競争することでアプリが分かってもらいにくくなると考えました。
Androidアプリの作成事例「Private trainer」(トレーニング向けにペースメーカーを提供するアプリ。目標タイムを設定すると、そのタイムで移動するマーカーを表示して目標が分かる) |
もしAndroidでアプリが単体起動しかできなかったら、フル機能でリリースするしかなく、打ち出したかったペースメーカーという機能が埋もれてしまいます。また、ユーザーのニーズは「これは欲しいけど 、これは要らない」などと細かく分かれるため対応することが難しくなってしまいます。
「Private trainer」は、「複数起動が可能」というAndroidの特性があったからこそ、生まれたアプリといえます。
■ 【4】何度でも掲載される新着リスト。Android Marketの特性を生かす
4つ目の特徴は、リリース時に知っていた方がよいAndroid Marketの特徴です。この特徴として「AndroidにはiPhoneのような“アプリの審査”がない」ことが挙げられますが、ご存じの方も多いと思いますので、ここでは割愛します。
Android Market |
ほかの特徴として、「アプリをバージョンアップした場合、再度新着リストに表示される」というものもあります。
オープンなマーケットの弊害として、「アプリ数があまりにも多いため、アピールの場が少ない」「お勧めになるかPCサイト上で紹介されない限り、端末利用者の目に留まることもなくなってしまう」などがあります。しかしAndroidでは、バージョンアップ時に新着リストに表示されるため、再びアピールができます。どのため、バージョンアップの内容もアプリの説明に書いておくといいでしょう。以前に使うのを止めてしまったユーザーが、またインストールしてくれるかもしれません。
要注意! Androidの落とし穴を意識するべし
一方で、Androidだからこそ注意しなければいけない点もいくつかあります。
■ Androidはマルチタスク動作が“前提”
先に「Androidはマルチタスク」と書きましたが、使う人も「アプリはマルチタスクで動くものだ」という前提で認識する必要があります。シンプルなアプリで問題は起きにくいのですが、長時間動作させたい場合など、途中で別のアプリが起動して、再びアプリに戻ってきてもちゃんと動作することが求められます。
iPhoneアプリなどの作成と違う点は、負荷が掛かり過ぎたときにOS上でサービスの再起動が行われるなど、アプリ外から管理されることです。この問題を回避するには、サービスの実装や動作確認の複雑化など手間が掛かりますが、根気強く作成していけば、確実にユーザビリティ(使い勝手)が向上していくので、ぜひやっていきましょう。
■ バッテリ消費への影響
特に、ウィジェットのような長時間動作するものは、更新の間隔に気を付けないと、どんどん電池を消費していきます。処理内容にもよりますが、1時間に1度くらいが現実的なのではないでしょうか。GPSなどセンサーを使う場合は、特に注意が必要です。
読んでおくと役に立つ! Androidアプリ制作時の情報源
これからAndroidアプリ作成を始める方のために、いくつかの参考になるサイトを紹介します。
Google Group内にいくつかAndroidアプリ作成のためのGroupがあります。
そのほか日本語の情報は以下を参考にしてみてください。
Androidの信条は「欲しい機能がなければ作れ」
Androidの機能を日本の一般的な携帯端末と比べると、ありそうでない機能と思うものがいくつかあります。ですので、日本のいろいろな方向に特化している携帯端末を見慣れていると、Androidに足りないものに気が付くでしょう。そういった機能がないのは不便ですが、ないなら作ってしまえるのがAndroidです。
そういった意味で少し違った日本の携帯端末を使っていた皆さんには、アイデアが思い付きやすいチャンスともいえるのです。
また、iPhoneに比べると、「デザイン性にこだわったアプリがまだ少ない」という点も重要です。機能的にはすでにあるのだけれど、もっと良いものが欲しいときは、デザイナとプログラマのコラボが重要になってくるでしょう。
著者プロフィール 日高 一明(ひだか かずあき) 面白法人カヤック 閃光部 Flashデベロッパ。貧乏ゆすりプロダクト「YUREX」のアプリ開発、TOYOTAの「デコクレ」など自社サービス、クライアントワークと幅広く制作に携わる。第6回TIAA(東京インタラクティブ・アド・アワード)アド部門 入賞を受賞。 |
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いまこそ知っておきたい「Androidアプリ」とは 今日から始める! Androidケータイアプリ作成の基礎 |
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Page1 Androidアプリ作成を始めるには何が必要なの? |
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Page2 Androidアプリは2種類ある Androidアプリの4つの利点 |
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