Googleのさまざまなサービスを使いこなすコツをグーグル担当者に聞くインタビュー。初回はいま注目のAndroidについて
さまざまなGoogleのサービスを使いこなすコツをグーグルの担当者に聞くインタビュー特集。第1回は、日本Androidの会のメンバー(嶋 是一氏と中村 秀樹氏と安生 真氏(株式会社ケイブ))3人が、Androidアプリケーション開発のコツを聞くため、グーグル日本法人のオフィスを訪ね、ゲームアプリケーションを通して効率よく描画するためのノウハウについて聞いた。
その結果、T-Mobile G1(以下、G1)を用いた場合、2D描画であってもOpenGL ES(※1)を用いたAPIを利用するのが良いことが判明した。これは、驚くべき事実だ。このことは、機種に特化したチューニングを行うことで、よりデバイスの性能をフル活用したアプリケーション開発ができる可能性を示したといえる。
※1:OpenGL ES(OpenGL for Embedded Systems)
OpenGLの携帯情報端末や組み込み向けのOpenGLのサブセット。OpenGLは、一般的に普及しているグラフィックスプログラミング用のC/C++のAPIのこと
Androidについて話したのは、グーグル デベロッパー アドボケイト(特に、Android関連)のChris Pruett氏(以下、プルエット氏)。2007年に米グーグルに入社、2008年に来日、2009年にデベロッパーアドボケイトとなり、現在国内のAndroid技術関連の取りまとめをしている。以前はゲームを開発していたとのことで、その興味からゲームに適したAndroidアプリケーションの作成方法を探っているらしい。プルエット氏は、その課程で作成したという、Android描画評価アプリケーション「SpriteMethodTest」を紹介しながら、ゲームアプリケーション用の描画速度を改善する手法を解説した。
「Googler(グーグルに勤務している社員の総称)」にとって、このような興味で作成したサンプルアプリケーションを公開するのは一般的なことなのか聞いてみた。
「グーグルでは、いろいろなアプリケーションを作っていて役立つものは公開したいと思っている。そもそも社内には『Eat your own dog food』の文化がある。つまり、ないモノは自分たちで作り出し、自分たちで作ったものを使ってみるという文化だ。そして作ったものを共有して便利にしていく。ちなみに私は、Android用の『ミーティング予定返事アプリケーション』を開発してみた。実際、社員で共有して使っている。ただ外部に出すとなると、Googlerには高い品質を期待されてしまう。そのため、ソースコードの公開については現在検討中」(プルエット氏)
Androidを社員のインフラとして自分たちのソフト(食べ物)を作り出す文化はグーグル的だと思う。とはいえ、さすがにソースコードについては、何でも自由に公開できるというわけではないらしい。結果として、インタビュー後の3月28日にGoogle Codeの「apps-for-android」にてSpriteMethodTestのソースコードが公開された(図1)。
「グーグル入社以前6年くらいはゲームソフトウェア製作の会社にいた。普通のアプリケーション開発より、ゲームは難しい。なぜなら、考慮すべき点がコードの中身だけではなく、デバイス(ハードウェア)にまで及ぶためだ。多くの人にAndroidゲームを作ってもらいたいので、私の研究で分かったことを知らせたい。ちなみに、今回の研究の成果を用いて評価アプリとは別にちょっとしたゲームも作っていて(図2)、夏ぐらいにリリースしたい。だけど、こだわり始めるといつ終わるか分からないけどね」(プルエット氏)
次ページからはインタビューの結果として、プルエット氏の研究成果を筆者から紹介しよう。
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