女子部部長が伝授! Androidアプリデザインのコツ
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──デザインする際の簡単で楽な方法を教えてください!お話を聞いていると、作り込める個所がたくさんあるので、実際のデザインの現場での作業量は多いんじゃないかなと思うんですけど。そういうときに便利なツールとかありますか?
実はね、そこがネックで。いまだこれというデザインツールが広まってないんですよね。
だから、Photoshopでばらばらにデザインしていくしかないんですよね。初期のWebページを作るときの状態と一緒。「HTMLをメモ帳を使って手でコーディングします」みたいな。だから「デザインのコツ」といっても、コツといえるコツはまだ出てきてはいません。
──うーん、なるほど。では、「ここは抑えておきたい」というようなポイントはありますか?
一番気を付けたいポイントは、dipかなあ。例えば、iPhoneの場合、iPhone 3/3GSとiPhone 4対応の画像サイズ2種類で済みますよね。
Androidの場合、スクリーンサイズがまちまちで、しかも解像度も変わるので、ピクセル指定じゃなくて、dip(Density-independent pixel)で作るんですね。これは、デバイスの解像度によって、ピクセルを相対で計算してくれる単位です。「pixels = dips * (density / 160)」で計算します。dipでなくピクセルで指定してしまうと、他の端末でどこに表示されるか予想もできません。
ただ、dipで作っても、若干機種によってサイズは変わっちゃうんですよ。「取りあえず、20dipくらいにしてみようか?」「でかいー!」「もうちょっと小さくしてみようか?」「ちっちゃーっ!」って(笑)。
とはいえ、各機種に対応できるように相対指定できるのが、dip指定しかないんですよ。だからdipに慣れるっていうのはAndroidデザイナの課題ですね。dipを制するものはAndroidデザインを制する!
矢野さん所有のAndroid端末「Xperia」 |
それから、色について。
これまたディスプレイによって全然色が変わるんで、そこも気を付けたいですね。豆知識ですが、黒の場合、有機ELだと結構電池消費するとかね。白は消費しないんですよ!
まあ、このようなポイントもあるんですが、仕事としていくつか制作していく中で、バランス感覚というか、もっと大きいくくりの中で、デザイナの動き方というのはだんだん見えてきていますね。
★ Androidアプリのデザインのポイント |
従来の携帯サイト制作のように、各機種の表示の違いは、まだまだ健在のようです。ただし、dipのような共通単位が出てきたことで、以前よりかは楽になっているかもしれません。 |
Androidアプリ制作を成功に導く鍵は、デザイナの動き方
──「デザイナの動き方」とは何ですか?
モノにもよりますがAndroidアプリの開発ってすごい少人数で作るんです。多分、iPhoneアプリもそうだと思いますが。
開発担当1人で、後はビジュアル素材を作る人が2人いれば、3人とかでもできちゃったりしますよね。で、取りあえず、「せーの! どーん!」という感じでスタートすると、Androidだけの都合なのか、たまたま私が会った人がそうなのかは分からないんだけど、開発者主導でプロジェクトが始まると、勝手に機能を増やしたりするんですよね。
──あー分かります。それ(笑)。良かれと思って、というやつですよね?
そうそう、良かれと思って(笑)。「え、それなんかそれ変わってない!? 」となると、UIが途中で破たんしちゃうんですよね。そうすると、手戻りが多く、かなりの修正になっちゃうんですよ。そうならないように作るには、画面遷移図とか機能要求とかを、デザイナ主体で最初に決めて、そして気を悪くされないような感じで、開発者の暴走を食い止めるしかない(笑)。
そこから、「それ便利だねー、でもこの次にしようか」みたいな感じで、うまく回していく。というわけで、PM(プロジェクトマネージャ・進行管理者の略)はデザイナが担った方が、開発がスムーズに進むんですよね。
──ビジュアル以外にも、デザイナとして動かなければいけないのですね!
やっぱり制作だけじゃなくアプリ全体を客観視できるデザイナの方が、開発者にもアドバイスしやすいと思いますしね。
それに、普通のアプリの開発と違って、PMさんを入れる規模の大きなプロジェクトなんてめったにないわけですよ。そしたら誰かが、その役割をやらなくてはならなくて。だから、一番良いのはデザイナですよ。
もちろん、インフォメーションアーキテクトのセンスもないといけないですね。アプリの画面遷移図ってほんとに難しくって。破たんさせないようにしなきゃーってなると、「ここで、こーやって、こーやって、あれ、これだめだな」ってやっていて、やっぱり時間かかります。なので、実際の現場では、ビジュアルデザインよりも、設計能力のあるデザイナがベストですよ!
Web制作で学んだ設計のパターンが頭に入っていて、「こういう場合はこう!」って瞬時に判断できる人がいいですね。
例えば、「ヘルプは、ここで、これくらいの深度にあった方がいい!」というような勝ちパターンを知っている人はすごくAndroidアプリをデザインするのに向いていると思います。私の場合は、逆にその勝ちパターンを教えてほしい(笑)。
Androidアプリを作るのは、設計図が得意なデザイナさんで決まり! |
──Androidってデザインから、制作手順までデザイナが一から道を作るみたいな感じなんですね。
そうですね。だから、これからのAndroid制作のデザイナの動きを考えると、フレームワークとかライブラリや、デザインテンプレートみたいなものをデザイナが作って売る商売が熱いんでないかと。
──いいですね。デザイナがバンバン作って売ってもうけられるようになったら。
多分、そこが究極に目指すところで、いま仕込んでいる人はきっとすごくたくさんいるし、実は似たようなことしている人は、もういます。自動でアプリを作る「DOROKURI(ドロクリ)」というツールをタオソフトウェアさんが出しています。
「こことここを選んで、デザインテンプレートを当てたら、もうAndroidの時計アプリができます」「コードを書かずにウィザードだけでできちゃう」みたいな感じで、確かに全然作り方とかを知らない人には便利ですよね。
──いま、Androidの会に参加しているデザイナさんは、どういう方が多いですか?
いまはフリーでやっていらっしゃる方とか、Webのデザインをしている方が多いですね。事業でデザインをやっている人は入ってきていないですね。さすがに、どうやってもうけるか分からないところに、時間割いて入ってくるのは、考えにくいしね。
やっぱり技術者/プログラマ中心の世界なので、デザイナにはとっつきにくいと思います。言っていることも分からないし。それに、いま話したように、まだみんながもうけられる世界ではない。
困ってはないのだけど、もっといろんなデザイナが乗っかってくるような仕掛けが欲しいですね。何らかのきっかけがないといけないとは思っています。
──デザイナがAndroidアプリで成功するにはどうしたらいいのでしょうか?
「胴元」になる戦いなのです。どうやって角を取るかっていうね。その傾向は進むような気がしていて、デザイナは本当に大変だと思います。実は。
Androidのマーケットの世界だと、構造上、開発者しか胴元になれないので、デザイナはそれこそ「遊びだったのね!」「私あなたのためにデザインしたのに!」みたいなことになる可能性は高いと思います。なんぼ画を作っても、単純に下請けから出られない。
それから、先ほどいっていたテンプレートの仕組みが出てくると、グラフィックが要らなくなるので、デザイナはアイデアがなければ、不要になる可能性は高いです。
だから、開発規模が小さいアプリだからこそ、デザイナがプロデューサーとして参加し、技術者を巻き込んで、こっちが回すみたいな感じになれば。マネジメント能力があればいいと思うけど、ただ作るものに対して、まずは価値を向こうに理解してもらって、なおかつ収益構造を考えたりしなくてはならなくって。
結構ね、年寄りくさい話だけど、いま一番気になっていることは、デザイナがどうやってAndroidで売り上げを立てることができるかってことですね。
はっと思い付くのだと、レべニューシェア。だけどレべニューないんですよね、広告とかになってくると。レベニューなかったらシェアできないよね、うーんみたいな(笑)。
だから、デザイナがデザイナ中心で事業を起こすしかないと思うね。
取りあえず、「胴元は私です!」といって宣言してしまわないとだめなのかな。
Androidアプリは、iPhoneよりおばかなものが少ない |
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@ITスマソ開設記念! 女子部部長に聞くAndroidアプリ制作のコツ はじめまして。Androidアプリ開発&デザイン |
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Page2 女子部部長が伝授! Androidアプリデザインのコツ ★ Androidアプリのデザインのポイント Androidアプリ制作を成功に導く鍵は、デザイナの動き方 |
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Page3 Androidアプリは、iPhoneよりおばかなものが少ない ソーシャルサービスを生かしてアプリを面白くする デザイナは欽ちゃんであれ!? |
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