ソーシャルゲームに生かすFlash Lite制作テク
ソーシャルゲームに生かすFlash Lite制作テク(終)

Flash Liteで嘆かないための3つのコーディングTips


山崎 基央
2010/12/20

【3】RubyやPHPとの連携を考えた変数定義・お約束

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 最後に、Flash Lite 1.1をソーシャルゲームで使用する際のサーバ側の処理を実装するLL言語(RubyPHPなど)との変数の連携について解説します。

 そもそも、Flash Lite 1.1にはloadVariablesが備わっているので、HTTPなどを使った外部ファイルの読み込みが最初から可能なのです。しかし、それらの動的通信を行うことは、めったにありません。

 これはなぜかというと、簡単な話で「初回起動時に実行できない」という致命的な欠陥を持っているからです。もう少し分かりやすくいうと「ボタン操作をしない限りloadVariablesが実行されることがなく、変数をFlashに読み込むことができない」ということです。

 この制限によって、ほとんどのソーシャルゲームでは変数は動的に読み込むことをしません。これは、操作フローが1段階深くなることを意味しています。しかし、ソーシャルゲームでは手間を増やすこと極力手間を増やさないように気を付けています。実際にフローを書いてみましょう。

  • loadVariablesを用いた例
    遷移元HTML(ゲーム開始ボタン押下)⇒インタラクティブFlash起動⇒pushEnter(変数読み込み)⇒ゲーム開始
  • LL言語側で変数埋め込みを行った場合
    遷移元HTML(ゲーム開始ボタン押下)⇒インタラクティブFlash起動⇒ゲーム開始

 そのうえ、現実的な問題として、Flash Lite 1.1には文字列操作のメソッドがsubStringとlengthしかないので、パースする手間が大きく、毎回実装するのは非現実的だと筆者は考えています。

 さて、Flash側で受け取りたい変数を用意するときに大切なことは、以下の3点です。

  1. 右辺に置く
  2. 定義しかしない
  3. 何かを参照させない

 これは、どれも同じことをいっています。例えば、変数「sample_num」にLL言語側から「123」という文字列を入れたい場合、Flashでは、以下のように書きます。

 後者の図では、Flashで使用するsampleNumに対して「sample_num」という変数を代入している例ですが、sample_numはどこにも定義されていないので、このままだと当然sampleNumにはnullが入っています。ですので、変数定義一覧を、技術者の方と共有することが大切です。

 Rubyでは、キャメル記法が推奨されないらしいので、基本的に筆者は「 _ 」(アンダースコア)でつなぐ変数をLL言語側に渡しています。

 Flashでは、好みの書き方で構わないと思いますが、余裕のあるときはキャメル記法、容量が厳しいときはsnumなどと略すこともあります。

 Flash Lite 1.1には型がないので、intであれ、floatであれ、Stringであれ、なんでも用意された変数に入れることができます。

 例えば、sample_numに、先ほどの「123」を代入すると、以下のようになります。

num = sample_num + 1;

⇒numは124になる

num = sample_num add "1";

⇒numは"1231"(文字列の連結には「add」を使う)

 型として一番近いものは、Object型ですが、あまり気にしなくてもいいでしょう。

いまさらFlash Lite 1.1を使うということ

 本連載は、今回で最後になります。お付き合いいただいた読者の皆さん、ありがとうございました。

 できることが少ないから、といって表現の幅を狭く考えるのではなく、まず発想ありきのいつもの皆さんのクリエイティブな精神で、Flash Lite 1.1に触れていただければと思います。この連載が、より一層面白く、楽しいソーシャルゲーム/アプリやモバイルWebサイトを作るための1つの小さなきっかけになれば幸せです。

 これから「AIR for Android」「Packager for iPhone」「Flash Lite 4.0」など新しいテクノロジーがどんどん出てきています。いずれにせよ、Flashとモバイルという手のひらの上の動的コンテンツは、きっと作っていて楽しいはずです。また、どんな技術に進化しても、Flash Lite 1.1のような小さなきっかけから生まれているということを再認識できた良い時期なのではないかと筆者は思っています。

 もちろん筆者もFlashを使い続けるつもりなので、次は手のひらの上のコンテンツでお会いできることを楽しみにしております。

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山崎 基央(やまざき のりお)
1982年和歌山県生まれ
RIA UIデベロッパ/デザイナ、ソーシャルアプリFlashエンジニア

RIAのBtoBの仕事に携わっているときに「もっと人と身近にふれあいたい!」と、コンシューマーに転向。フリーランス。企画・設計から、モックアップ作成やインターフェイスの設計・実装までを幅広く担当

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 INDEX
ソーシャルゲームに生かすFlash Lite制作テク(終) 
Flash Liteで嘆かないための3つのコーディングTips
  Page1
Flash Lite 1.1のないない尽くしを嘆かないで
【1】レイヤを使ったスクリプトの可読性の向上
  Page2
【2】callメソッドをfunction的に使う
Page3
【3】RubyやPHPとの連携を考えた変数定義・お約束
いまさらFlash Lite 1.1を使うということ

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