「ソーシャル」の現在が分かる厳選9講演
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2月13〜17日の5日間、国内では初となるソーシャルメディアの世界的イベント「Social Media Week Tokyo」(主催:サイバー・コミュニケーションズ)が開催された。
「Socila Media Week」は、2009年2月に米国ニューヨークでスタートして以来、年に2回、2月と9月に世界各国の大都市で同時に行われている。時代とともに大きく変貌しつつあるソーシャルメディアの現在を切り取り、マーケットを創造・啓蒙するイベントとして知られている。講師陣には、ソーシャルメディア業界の旬な著名人が多数名前を連ねており、マーケティング関係者だけではなく、世界中のネットユーザーにとって刺激的な5日間となったことだろう。
本稿では、Social Media Week Tokyoで行われた数多くのセッションの中から、「ソーシャル」の現在を解説した9つのセッションに参加したので、その概要をお届けしたい。
- 「バルス」に驚愕!? ソーシャル“メディア”日米比較
- “プラットフォーム”化するソーシャルメディアの行方
- 「誰もが主役になれる」mixiのソーシャル“インフラ”
- ソーシャル“ゲーム”は日本のITを救うのか
- 本当にコワイ“炎上”、その火消し対策は
- レシピでソーシャル“メディア事業”に参戦した楽天
- いいね!より売り上げを増やすソーシャル“コマース”
- 成功事例に学ぶソーシャル“マーケティング”のあり方
- IT技術者の想いをカタチにしたソーシャル“グッド”
【1】「バルス」に驚愕!? ソーシャル“メディア”日米比較
btrax CEO ブランドン片山ヒル氏 |
「ソーシャルメディアとは、2つ以上の生命体がかかわって、何かしらの相互関係を生み出すもの。人とかかわる=ソーシャライズであり、引きこもりとは逆の概念」
シリコンバレーでブランディング/マーケティング事業を展開するbtraxでCEOを務めるブランドン片山ヒル氏は「シリコンバレー発これからのソーシャルトレンドと日本の現状」と題されたセッションで、ソーシャルメディアをこう定義した。
ちなみに片山氏によれば「SNSは和製英語に近い。海外で『SNS』といっても、ほとんど通じないので「ソーシャルメディア」というようにした方がいい」とのこと。
日米双方のソーシャルメディア事情に詳しい片山氏だが、まず米国におけるソーシャルメディアの立ち位置について「すでに日常生活に不可欠なものであり、若者だけではなく、シニア層にも浸透してきている」と紹介、ここまで普及した最大の理由に「パーティ好き」という米国人の特徴を挙げる。
米国人が大好きな伝説のロックバンドKISSの世界は「毎晩ロックンロール、毎日パーティ」、これがソーシャルメディアで実現した!?(片山氏の講演資料より) |
「米国人は自己表現、自己主張が好きなので、それを実現するツールであるソーシャルメディアが受け入れられるのは必然。そして米国人にとってのパーティは週末は必ず、平日もほぼ毎日、どこかで行われているカジュアルなイベント。そこで人と人がつながり、ビジネスの話が始まる。パーティ=ソーシャライズであり、これがオンラインで実現したのがソーシャルメディア」(片山氏)
一方で、日本におけるソーシャルメディアの普及状況を片山氏はどう見ているのだろうか。「ソーシャルメディアは確実に普及しつつあるが、米国と大きく違うのは『ネットメディアと、それ以外』と日常的に分類されていること。日本では新聞やテレビなどオフラインの情報源から情報を得やすいが、アメリカは田舎が多く、日本ほど人口が都市部に密集していない。そのため、ソーシャルメディアを使ってつながることがより重要になる」(片山氏)
米国における年代別ソーシャルメディア利用率。若年層が高いのは当然として、高年齢層の数値も年々上昇している(片山氏の講演資料より) |
また、日本特有の興味深い現象として同氏が挙げるのがTwitterと日本人の相性の良さだ。2011年12月、テレビで放映されたアニメ映画「天空の城ラピュタ」の終盤、「バルス」とツイート(つぶやき)した人も多いだろう。このときの秒間ツイート数は2万5088件。ツィッター社は、この数字を世界新記録として認定している。「ビヨンセもスーパーボウルも、バルスにはかなわなかったという事実にツィッター社も非常に驚いた」と片山氏。
さらに「Twitterは日本語で表現するのに非常に適している。同じ内容を英語で表現しようとすると、3倍以上の文字数が必要」と指摘、140字という限られた文字数で情報を伝えるには、英語より日本語が向いているとしている。
Twitterで日本語と同じ内容を英語で表現しようとするのは、かなり大変な作業(片山氏の講演資料より) |
さらに最近話題になることが多いソーシャルメディアとプライバシーの関係について片山氏は「現在は自己表現とプライバシーのはざまで苦しむ過渡期」と語り、そういった中にあっても、米国は自己表現を、日本はプライバシー保護を、それぞれ重視していると分析する。
「米国人が実名/実プロフィールを公開するのは、匿名で陰口を叩かれることが少ないから。また、友達になる垣根が低く、日本のように“友達の友達”や“親友”などのカテゴリ分けはほとんどない。米国人にとって最も重要なプライバシーは社会保障番号と未成年者の情報。この2つの情報の取り扱いに関しては非常に厳しいが、それ以外は日本と比べると緩いかもしれない」(片山氏)
2つ以上の生命体がかかわることで新しい相互作用を生み出すソーシャルメディアだからこそ、プラスの側面だけではなくマイナスの影響も生じる。それは米国も日本も変わりない。しかし、「ソーシャルメディアは広がることがあっても、縮退することはない」と片山氏はいう。
2012年のソーシャルメディアの姿を「Everyone/Everywhere/Realtime/Global」と表現した片山氏だが、今後はよりオープンでフラットな方向に発展していくと展望する。「リアルタイムやリアルロケーションのつながりがますます重要視されるようになり、PCやモバイルデバイスだけではなく、家や車などとの融合も進む」とのこと。人と人だけではなく、人とモノを、そしてモノとモノをつなげる触媒にソーシャルメディアは進化しようとしている。
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INDEX | ||
Social Media Week Tokyoまとめレポート 嫌いな人も知らないと損する9つの「ソーシャル」のカタチ |
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Page1 「ソーシャル」の現在が分かる厳選9講演 【1】「バルス」に驚愕!? ソーシャル“メディア”日米比較 |
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Page2 【2】“プラットフォーム”化するソーシャルメディアの行方 【3】「誰もが主役になれる」mixiのソーシャル“インフラ” |
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Page3 【4】ソーシャル“ゲーム”は日本のITを救うのか 【5】本当にコワイ“炎上”、その火消し対策は |
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Page4 【6】レシピでソーシャル“メディア事業”に参戦した楽天 【7】いいね!より売り上げを増やすソーシャル“コマース” |
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Page5 【8】成功事例に学ぶソーシャル“マーケティング”のあり方 【9】IT技術者の想いをカタチにしたソーシャル“グッド” |
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