iPhone/Android開発者が知るべきWindows Phone 7つの特徴

iPhone/Android開発者が知るべき
Windows Phone 7つの特徴


Windows Phone Developer Dayレポート

仲里淳
@nakazato
2011/6/30

【5】アプリストア「Windows Phone Marketplace」

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 Windows Phoneでのアプリは、アプリストアである「Windows Phone Marketplace(以下、Marketplace)」が唯一の入手ルートとなる。AndroidのようにPCからアプリの購入管理ができるWeb版は、Mangoのリリースに合わせて登場する予定だ。基本的に野良アプリは想定されていない。

 アプリの開発者から見た場合、Marketplaceではアプリの販売、試用版の提供、アプリの説明(スクリーンショットなども)、関連アプリの紹介ができる。また、ユーザーからのレビューや評価機能も提供される。

 すでに登録アプリの数は2万を超えたそうだが、毎日160本が新規に追加されており増え続けているという。現在はまだ日本語で提供されていないが、Mangoのリリースに合わせて日本語化される予定だ。

 アプリ開発とビジネスを考えた場合、Marketplaceを通して配布することで「海外もターゲットに入れた販売」「更新と配布の効率化」といったメリットが考えられる。

 アプリ販売価格のうち70%が開発者の取り分で、課金コンテンツを提供することもできる。2011年2月22日時点では、全体の70%が有料アプリとなっており、Mango以降は日本を含む30カ国以上での展開が予定されているという。

【6】開発者コミュニティ「Windows Phone Arch」が発足

 イベントの最後には、開発コミュニティ「Windows Phone Arch」の紹介とそのメンバーを交えたパネルディスカッションが行われた。

 Webサイトは、Windows Phone 7のUIをモチーフにしたデザインとなっている。まだコンテンツといえるものはメンバーリストくらいしかないが、ソーシャルメディアやMSDN内フォーラム(掲示板)へのリンクなどがある。まずはコミュニティのハブを目指すということだろう。

Archのメンバー。代表は蜜葉優氏が務めるほか、マイクロソフトの開発者コミュニティで活躍するMVP(Most Valuable Professional)も名を連ねる

 これまでマイクロソフトの開発者コミュニティで活躍してきた人たちがメンバーの中心だが、国内でリリースされれば、参加者は増えていくだろう。

 パネルディスカッションでは、Archの発足や活動予定について説明した後、実際にWindows Phone 7のアプリを開発して感じたこと、プラットフォームとしての魅力や期待、各自のお気に入り端末の紹介などが行われた。

「Arch(虹)」という名前には、「人と人の架け橋」「Windows Phoneを盛り上げたい」という想いが込められているという

【7】後発の利を生かしたバランス感覚に期待

 「日本での展開は秋ごろ」ということに対して、「やっと来たか」という印象を持つ読者は多いだろう。Windows Mobileの流れを断ち切って、ゼロから立ち上げた新しいモバイルプラットフォームであるため、時間が必要だったことは確かだろう。

 また、すでに展開している国での反応を受けて改善されるMangoこそが、本当の意味でWindows Phoneの立ち上げだと見ることもできる。今回のイベントでも、参加者全員に端末を無償配布するなど(アプリ開発が前提条件で発送は後日)、Mangoにかけるマイクロソフトの意気込みは相当なものだ。

 すでにiPhoneやAndroidが大きな存在感を示し、各キャリアとも夏モデルのプロモーションはスマートフォン一色という状況だ。「日本におけるフィーチャーフォンからスマートフォンへの転換点は、2011年の夏だった」と後になっていわれるのかもしれない。その夏には間に合わなかったものの、年内に製品が投入されるというのは「出遅れ」ではあるものの「遅すぎ」ではないだろう。市場規模が数千万台あり、さらに定期的に買い替え需要があるため、今からでも十分勝負のテーブルに着くことができる。

 秋というのが9月なのか11月なのか分からないが、Windows Phoneに限らず話題に事欠かない時期であることは確かだ。クラウドサービスとiOS 5とともに登場が予定されている次期iPhoneとiPad、ソニー製品や新OSによるAndroidタブレットの攻勢など、開発者にとっても気になるネタがあふれている。そのような時期での投入が吉と出るか凶と出るかは何ともいえないが、来年ではさらに差が開いてしまうことは確かだろう。少なくとも、第3の選択肢として存在を示すことが必要だ。

 ケータイである以上、OSだけでどうにかなるものではなく、開発メーカーの存在やキャリアによる採用次第といったところがどうしてもある。しかしながら、iPhoneやAndroidにも短所や不満点は存在する。当然マイクロソフトは、その点を見極めたうえでバランスの良いプラットフォームを設計するはずだ。後発の利を最大限に発揮することで、Windows Phoneがそれらにはない魅力やメリットをユーザーと開発者に提供してくれることを期待したい。

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3/3  

 INDEX
Windows Phone Developer Dayレポート
iPhone/Android開発者が知るべきWindows Phone 7つの特徴
  Page1
間近に迫るWindows Phoneの日本市場投入
【1】Windows Phone独自のユーザーインターフェイス
  Page2
【2】クラウドと連携する6つのハブ
【3】モバイルのプラットフォームとしての展開
【4】Silverlight・XNAベースのアプリ実行&開発環境
Page3
【5】アプリストア「Windows Phone Marketplace」
【6】開発者コミュニティ「Windows Phone Arch」が発足
【7】後発の利を生かしたバランス感覚に期待


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