連載
PCメンテナンス&リペア・ガイド 2. 増設ハードディスクが接続可能かチェック 林田純将 |
IDEケーブルのコネクタの空きを確認する
IDE対応のドライブを利用するには、ドライブとマザーボード上のIDEコネクタとの間を、IDEケーブルで接続する。一般的にマザーボード上には、2個のIDEコネクタ(つまり2系統のIDEインターフェイス)が用意されており、それぞれのコネクタに2個ずつIDEドライブを接続できる。
マザーボード上のIDEコネクタ | ||||||
通常はこのように2個のIDEコネクタが、マザーボード上に装備されている。PCによっては、マザーボード上に3個以上のIDEコネクタが実装されていることもあるが、例外的だ。メモリ・ソケットやフロッピードライブ用コネクタなどの近くに配置されていることが多い。 | ||||||
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従って、基本的にIDEドライブは4つしか接続できない*1。CD-R/RWドライブやDVD-ROMドライブなどを増設し、すでに4台のIDEドライブが接続されている場合は、たとえ3.5インチ・ドライブ・ベイに空きがあったとしても、IDEハードディスクの増設はできないことになる。そのため、自分のPCにIDEドライブがいくつ搭載されているか、チェックすることも必要だ。IDEドライブの台数は、IDEケーブルにつながっているドライブをチェックすればすぐに分かる。
*1 5台以上のIDEドライブを利用するには、PCI対応のIDEインターフェイス・カードを装着してIDEインターフェイスの数を増やす、といった作業が必要になる。 |
Dimension 4100の場合、プライマリIDEに標準装備のハードディスクが1台、またセカンダリIDEにはDVD-ROMドライブとZipドライブの2台が接続されている。従って、増設用IDEハードディスクは、プライマリIDE側のIDEケーブルの空きコネクタに接続すれば良さそうだ。
「プライマリ/セカンダリ」「マスタ/スレーブ」とは?
ここで、IDEドライブを増設する際に必ず耳にする用語について、説明しておこう。
上の写真のように、マザーボード上にある2個のIDEインターフェイスは、「プライマリIDE(1番目のIDE)」と「セカンダリIDE(2番目のIDE)」と呼ばれる。起動時には、プライマリIDEに接続されたIDEドライブからBIOSやOSに認識され、その次にセカンダリIDE側が認識される。
1本のIDEケーブルに接続される2台のIDEドライブにも、区別がある。それが「マスタ」と「スレーブ」だ。1台だけ接続する際、IDEドライブはマスタに設定する必要がある(「シングル」に設定するIDEドライブもあるが、基本的に同じ)。また2台接続する場合は、一方をマスタ、もう一方をスレーブに設定する必要がある。認識される順番はマスタ→スレーブとなる。スレーブだけを単体で接続することは許されない(動作してしまうこともあるが、不具合が生じる可能性もある)。
IDEインターフェイス | IDEドライブ | 認識される順序 | 一般的に接続されるIDEドライブ |
プライマリIDE | マスタ | 1 | 1台目のIDEハードディスク(OSブート用) |
スレーブ | 2 | 増設用IDEハードディスク | |
セカンダリIDE | マスタ | 3 | 1台目のCD/DVD-ROMドライブ(ATAPI対応) |
スレーブ | 4 | 増設用ATAPIドライブ | |
各IDEインターフェイスと「マスタ」「スレーブ」の関係 | |||
ここに記した「一般的に接続されるIDEドライブ」は原則であって、例えばセカンダリIDEにIDEハードディスクを接続しても構わない。しかし、ATAPIドライブ(CD-ROMドライブなど)がIDEハードディスクより前に認識されるような順番で接続するのは避けるべきだ。 |
IDEドライブの接続順序には要注意
2台以上のハードディスクを接続した場合、原則的にプライマリIDEのマスタからOSのブートが始まる(BIOSによっては、ほかのハードディスクからブートするよう設定できることもある)。そのため、接続するIDEインターフェイスやマスタ/スレーブの設定を間違えると、OSが起動できないという深刻な事態を招く。また、特にWindows 9x環境では、ハードディスクの接続順序が変わると、各パーティションに対するドライブ名の割り当てが変化してしまい、その結果アプリケーションが起動できなくなることもある。
こうしたトラブルを防ぐには、まず、増設するハードディスクは上表の「認識される順序」において、標準搭載のハードディスクより後に認識されるように接続する。そして、増設したハードディスクには基本パーティション(プライマリ・パーティション)ではなく拡張パーティションを設定すればよい。これは、基本パーティションを作成すると、それより接続順序が前のハードディスクにある拡張パーティション(正確には、その内部の論理ドライブ)に割り当てられるドライブ名が後ろにずれてしまうからだ(パーティションの作成については、「5. 最後はBIOSやOSレベルでの設定」に記している)。
もう1つ注意すべきは、IDEハードディスクとATAPIドライブの接続順序だ。ここでいうATAPIドライブとは、IDEハードディスク以外でIDEインターフェイスに接続するドライブ全般を指している。上表の「認識される順序」の先頭から、まずIDEハードディスクをすべて接続し、その後にATAPIドライブを接続する。つまり、IDEハードディスクより前にATAPIドライブが認識されるように設定してはいけない、ということだ。
このATAPIドライブに関する接続順序の規則は、ATAPIの規格が登場した当初に規定されていたもので、現在では必ずしもこの順序を守らなくても、環境(BIOSやOS)次第では動作してしまうこともある。しかし、予期せぬトラブルを防ぐため、この接続順序は守ったほうがよい。
IDEケーブルをドライブに接続できるか確認する
接続順序を考慮すると、Dimension 4100にはプライマリIDEのスレーブとして増設ハードディスクを接続すればよいことになる。
使っていないIDEケーブル上のコネクタ | |||
これはプライマリIDEに接続されているIDEケーブルである。 | |||
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この場合、上の写真のように、プライマリIDEケーブルの空きコネクタに増設ハードディスクを接続すればよさそうだ。ただ、IDEケーブルの最大3個のコネクタには、それぞれ用途がおおまかに決まっているので、以下の写真を参考にして、間違えないようにしよう。
IDEケーブルに付いている3個のコネクタの種類 | ||||||
2本のIDEケーブルは、上が40芯タイプで、下が80芯タイプである。原則として、真ん中のコネクタとそれに近いほうのコネクタ(写真では左端のコネクタ)がドライブ接続用で、遠い方のコネクタ(写真では右端のコネクタ)がマザーボード接続用である。80芯ケーブルの場合、ドライブとマザーボードそれぞれのコネクタが色分けされている。 | ||||||
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とりあえず接続すべきコネクタが決まったら、空いているドライブ・ベイまでIDEケーブル上のコネクタが到達するかどうかチェックしよう。
IDEケーブル上のコネクタがドライブ・ベイに届くか確認しているところ |
このように実際に増設するドライブ・ベイの近くまで、IDEケーブルを寄せてみて、IDEコネクタが届くかどうか確認しよう。 |
増設したIDEドライブをIDEケーブルに接続する際、意外に多いのが、ケーブルの長さが足なくなる場合だ。1本のIDEケーブルに2台のIDEドライブを接続する場合、最初からPCに組み込まれている短めのIDEケーブルでは、増設用3.5インチ・ドライブ・ベイまで届かないことがある。この点もよく確認しておく必要がある。もし、IDEケーブルが短いようであれば、ハードディスク購入時に長さが十分なIDEケーブルも購入する必要がある。
46cmより長いIDEケーブルは使わない方がよい |
次のページでは、増設ハードディスクの電源ケーブルの接続チェックと、IDEハードディスクの「マスタ/スレーブ」の設定を解説する。
INDEX | ||
[連載]PCメンテナンス&リペア・ガイド | ||
第9回 失敗しないハードディスクの増設方法 | ||
1.ドライブ・ベイの状態を確認 | ||
2.増設ハードディスクが接続可能かチェック | ||
3.ジャンパ設定とドライブ・ベイへの取り付け | ||
4.PC本体への取り付けとケーブルの接続 | ||
5.最後はBIOSやOSレベルでの設定 | ||
「PCメンテナンス&リペア・ガイド」 |
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