特集 2. 家電やネットワーク機器で生き残るRambus |
さて、もし仮にDirect RDRAMがPC用メイン・メモリとして普及する見込みがなくなってしまった場合、Rambusはどうなってしまうのか。まず間違いないと思われるのは、会社としてのRambusは、PC用メイン・メモリの動向にかかわらず、簡単に消え去ったりはしない、ということだ。
PC以外の市場では人気の高いRDRAM
2002年7月2〜3日の2日間、東京・渋谷で「Rambus Developer Forum(RDF) Japan 2002」が開催されたが、会場は大勢の立ち見客も出る盛況ぶりだった。来場者の多くは、PC関連というよりは、日本が得意とする家電製品などのコンシューマ関連企業からの参加者のようであった。
バス幅やチップ数などに関する制約が少ないPCに比べて、これからの成長が期待されるデジタル家電の世界では、本体サイズをなるべく小さくするよう強いられる場合が多く、基板面積を左右するバス幅やチップ数に関する制約が多い。それでいて高性能化が進んでいるため、メモリ・チップには高い性能(広い帯域幅)が求められる。RDRAMなら、8〜16bitの狭いバス幅と1個からのチップ数で、広い帯域幅を実現できるので、こうしたニーズに応えやすい。一方、SDRAM系メモリ・チップで広い帯域幅を得るには、複数個のチップを幅の広いバスに並列接続する必要がある。例えば、あの小さなデジタル・ビデオ・カメラの中に、データ幅128bitで4つないしは8つのDDR SDRAMチップを実装することなど不可能であることは明らかだ。またデジタル家電は、コストに対する要求もPCより厳しく、その点でもチップ数の制約は厳しい。
ソニーの家庭用ゲーム機であるPlayStation 2がRDRAMを採用していることはよく知られた事実だが、RDFの会場ではTexas Instrumentsの映像光学系である「DLP(Digital Light Processing)」が、次世代機にRDRAMを採用する計画であることを明らかにした。DLPは現在、プロジェクタや映画館でのデジタル上映などに採用されているが、Texas Instrumentsは今後DLPのコストダウンを図り、リア・プロジェクション方式の大型テレビとしてCRT(ブラウン管)を置き換えたい、という意欲を示している*5。こうした分野で今後ますますRDRAMが使われるであろうことは、まず間違いないところだ。
*5 余談だが、次世代テレビの映像表示デバイスは液晶やPDP(Plasma Display Panel)だけではないということだ。 |
ネットワーク機器の分野にも食い込み始めたRDRAM
家電分野に加え、RDRAMの採用が増えると期待されている市場の1つがネットワーク機器の分野だ。下表はRDRAMを採用したネットワーク関連製品の一部だが、今後もハイエンドからRDRAMの採用が増えるものと思われる。また、当初はノートPC用のメモリ・モジュールと思われていたSO-RIMM(RDRAM搭載の小型メモリ・モジュール)だが、現在はネットワーク機器にメモリを実装する手段として実用化が始まっている。Rambusが発表した将来の高速シリアル・インターフェイス技術「RaSer(ラザー)」も含め、通信分野でも着実な普及が期待できる。
ベンダ | 製品 |
Cisco Systems | CSS 11500(コンテント・サービス・スイッチ) |
Intel | IXP 2800(ネットワーク・プロセッサ) |
Juniper Networks | T640(インターネット・ルーティング・ノード) |
SwitchCore | CXE-16(16ポート・ギガビット・イーサネット・スイッチ) |
VITESSE Semiconductor | IQ2200(ネットワーク・プロセッサ) |
VITESSE Semiconductor | PaceMaker 2.5(OC-48トラフィック・マネージャ・エンジン) |
RDRAMを採用もしくはRDRAMに対応しているネットワーク関連製品 |
市場に信を問うRambus
元麻布: Intel 850Eチップセットが、すでに流通しているPC800-45メモリをサポートできなかったことについてどうお考えですか。 元麻布: とはいえ、PC1066メモリにはIntelのバリデーション(検証)がありません。 元麻布: 現時点で明らかになっている限り、IntelにはIntel 850Eの後継となるDirect RDRAM対応チップセットの予定がありません。現在のIntel 850EがIntel最後のDirect RDRAM対応チップセットではないか、といわれていることをどうお考えでしょう。 元麻布: PC1066メモリでは、これまでと同じデータ幅16bitのRIMMと32bitのRIMMの両方が登場しそうです。どちらが主流になるのでしょうか? 元麻布: 以前、RDRAMのロードマップには、PCなどコンピュータ用途の多チップ接続を前提に、コストダウンを図る4i構成のRDRAMがありましたが、どうなったのでしょうか。 元麻布: Samsung Electronicsのロードマップには、いまも4i構成のDirect RDRAMが残っていますが。 元麻布: 次世代技術のYellowstoneは非常に高いデータ転送レートを実現していますが、これに競合するような技術はあるのでしょうか。 |
次のページでは、新しいDirect RDRAMのベンチマーク・テストを行い、その結果から、PC用メイン・メモリとしてのRDRAMの将来性について考察してみる。
INDEX | ||
[特集]Rambusは終えんを迎えてしまうのか? | ||
1.RDRAMの高速化に将来を託す | ||
2.家電やネットワーク機器で生き残るRambus | ||
3.RDRAMの将来性を検証する | ||
4.ベンチマーク・テストの詳細結果 | ||
「System Insiderの特集」 |
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