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こんなにある!
北米で話題のFlash動画アプリケーションサービス


須賀正明
ベンチャーキャピタリスト
2007/4/5


ビデオ制作編集サイト(第3世代)

 

 ビデオカメラで撮影したビデオをアップロードして共有するところから一歩進み、編集やリミックスを可能にしさらにほかのユーザーと共有することを目的としたサイト。

 フルFlashのほかFlash+Ajaxを利用しているサイトもありますが、ブラウザだけでビデオの編集ができるようになるなんてAdobe Premierを最初に開発した人は夢にも思わなかったでしょう。

 デスクトップ版アプリケーションに比較してしまうと機能は制限されていますが、一般ユーザーが利用する分にはどれも十分なレベルまで達しています。むしろシンプルで使いやすいかもしれません。

ブラウザからドラッグ&ドロップでビデオがアップロードできる

 イェール大学の卒業生3人が立ち上げたスタートアップ。専用のソフトウェアをダウンロードする必要はありますが、ブラウザからドラッグ&ドロップでビデオがアップロードできるのは非常に使い勝手がいい感じです。eBayやTypePad、 Blogger.comへのビデオコンテンツのパブリッシュが簡単にできるのが特徴です。eBayで『商品写真の代わりにビデオを』というのをプッシュしています。

 ビデオファイルのアップロード以外にも、デスクトップにつないだビデオカメラやWebカメラから直接キャプチャできたり、携帯で撮影されたビデオをメールで送ってアップロードするという方法をサポートし、差別化をはかっています。

 もともとコンピュータビデオのコースを教えていた3人。学生が一番授業についてこられないところがエンコードであることを体感し、コンピュータに抵抗のない学生でもこんなに迷うんだから、一般のユーザーはもっと大変だろう、という発想の下ビデオ変換のビジネスを立ち上げたところから始まっている会社だけに、何も考えずにいろんなデバイスからビデオがキャプチャできるようになっている点では秀逸です。

 唯一の難点はクライアントアプリケーションをダウンロードしなければならない点。ビデオをアップロードする際にどんなフォーマットでもFlashビデオ(FLV)へと変換してくれるんですが、このエンコーディングがサーバーサイドで行われているのではなく、クライアントサイドで行われています。

 従ってWindowsならIE、OSXならSafariとブラウザが限定されてしまっています。もちろん閲覧はクロスプラットフォームが実現されています。Half.comの設立者でもある、Josh Kopelmanの運営するFirst Round Capitalから資金提供を受けています。Six Apartとのディールをクローズして次のシリーズのファンディングを交渉中らしいです。

ビデオだけでなく、写真や音楽をリミックスできる

 100MBまでという制限はあるものの、ユーザーインターフェイスはきれいにできていて、なかなかデザインも美しい。ビデオとオーディオの再生部分はFlash Playerですが周りはAjaxを採用したビデオエディティング機能を提供していて、ビデオだけでなく、写真や音楽をリミックスできるようになっています。自分がアップロードしたコンテンツだけでなく、ほかのユーザーがアップした映像、写真、音楽、トランジション、エフェクトを取り入れてリミックスすることができるようになっていたり、完成した作品をブログで公開できたり、タグ付けができたりするところも Web2.0系を取り入れたコンセプトです。

 eyespotの運営会社はConcept Communicationsというテクノロジー系に特化した広告代理店です。最近、MP3.com、Lindows(Linspire)やGizmo Projectのファウンダーでもある Michael Robertsonから投資を得ています。Michael Robertsonといえば、最近は Ajaxに夢中なようで、jajxLaunch.comを立ち上げ、MS Word 互換のワードプロセッサー ajaxWrite.com やグラフやチャートが作成できるajaxSketch.comなどを次々にリリースしています。eyespot.comへの投資はその一環のようです。

Yahoo!に買収されたビデオ共有サイト

 Yahoo!に買収され一躍有名に。このサイトも、eyespotなどと並んでビデオの編集機能やミキシング機能に力を入れているサイト。ビデオの編集はブラウザから、Flashベースのアプリケーションで行います。

 タイトルが入れられたり、豊富なトランジションやエフェクトが用意されているだけでなく、写真やMP3などの素材ともミキシングできるところが特徴。ほかのユーザーが作ったビデオを自分でリミックスできるという点もなかなかCreative Commons的な発想で面白い。今回見た中では今後のコンテンツの広がりが最も面白そうなビデオ共有サイトでした。ファウンダーは元MacromediaのFlashデベロッパー、Ryan Cunningham。

Webカメラからメッセージを録画し相手にビデオメッセージが送れる

 ビデオメッセージが送れるサイト。Webカメラからメッセージを録画し相手に送る仕組み。ビデオそのものがメールで送られるわけではなくサイトにやって来てメッセージを開封するタイプで、グリーティングカードと同じコンセプト。

 映像の録画、再生がFlash Playerのみなので、ブラウザ(ブロードバンド)とWebカメラがあればクライアントソフトウェアのインストールなしに誰でも使えるというお手軽さを売りにしています。自分の親に孫のビデオをインターネットで送ることを考えるとFlash以外では本当に無理な気がしてきます。

 写真、イラスト、映像コンテンツをマッシュアップしてビデオを作成してくれるサイト。AdobeがPhotobucketでしかリリースしなかったフルFlashビデオ編集ツールで話題になったサイト。Alexaのランキングでも世界で53位とかなり高いトラフィックを記録しています。もちろん完成したビデオはBlogger、MySpace、Bebo、FacebookなどのSNSへ投稿することができます。
YouTube、FlickrなどUGCからビデオを作成

 PhotoBucketと同じく、さまざまなUGCからビデオを作成するサイト。アップロードした写真、映像コンテンツに加えて音楽(MP3)、テキスト、YouTube、Flickrも使えます。生成される映像はFlashフォーマットです。

 そのほかにもビデオ共有変形タイプとして、ZOOPA、Brickfishなど企業スポンサーを募り、あるテーマに沿ってユーザーに広告を作成してもらい、それを共有して人気を競うサイトも登場しています。才能を認められたいアマチュア・セミプロデザイナーやプロデューサーと、一般コンシューマーからの情報発信でブランドイメージを向上させたい企業の思惑をマッチングさせるマーケットプレースとしての役割を果たしています。

 一コンシューマーからの映像コンテンツを取り上げるのはリスクが高いかもしれませんが、この手法のシチズン(市民)マーケティングはパワフルで好感度が高いだけになかなか魅力的なコンセプトです。

企業スポンサーを募り、あるテーマに沿ってユーザーに広告を作成してもらう仕組み
アマチュア・セミプロデザイナーやプロデューサーと、企業の思惑をマッチング



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 INDEX
こんなにある!北米で話題のビデオアグリゲーション・編集サイト
  Page1<オンラインビデオサイトの3タイプとは?>
  Page2<UGC的ビデオ共有サイト(第1世代)>
  Page3<アグリゲーションサイト(第2世代)>
Page4<ビデオ制作編集サイト(第3世代)>
  Page5<北米に比べて、UGCの受け入れがまだ少数派の日本>



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「Webインターフェイスの新しい手法」「画期的なWebアプリケーションの仕組み」であるとして開発者たちの人気を集めるAjaxとは何なのか、その真実を見極めてみよう
最終更新 2005/8/2


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