[事例研究] 東海大学短期大学部(高輪) 情報・ネットワーク学科

4.ICカードで本人認証を確実にし、代わりにPCを自由に使わせる


デジタルアドバンテージ
2001/06/08


 
リーダに装着されたICカード
クライアントPCにログオンするには、まずICカードをリーダに装着し、ログオン・プロンプトからパスワードを入力する。ログオフ時はICカードを抜くだけで、ログオフ処理とPCのシャットダウン処理が自動的に実行される。

 e-STARのクライアントPCには、ユーザー認証用のICカード・リーダが装備されている。このe-STAR導入にあたり東海短大高輪では、学生証を従来の磁気カードからICカードに切り替えた。「e-STARの大きな目的の1つは、授業などでいやいや使うのではなく、学生が能動的に楽しみながらコンピュータ環境に触れるということですから、なるべく自由に使えるようにしたい。しかしただ自由にさせるというだけでは、教育機関として責任を持った指導ができません。使っている学生は特定するし、ログもとる、代わりにそれ以外は自由に使ってもらう。けれどもこのためには、ユーザー名とパスワードをキーボードから入力するという一般的なユーザー認証方法では不十分と考え、ICカード認証が必要だと判断しました」(東海短大高輪 高見澤氏)

 ログオンしようとする学生は、クライアントPCの電源をオンにし、ログオン・プロンプト画面が表示されたら、ICカード学生証をICカード・リーダに挿入した後、パスワードを入力する。すると入力されたパスワードがICカード内のデータと照合され、それが正しければ(本人であることが確認されたら)、ログオンに成功するというしくみだ。ログオフでは、単にICカードをカード・リーダから取り出すだけでよい。するとログオフ処理が実行され、PCの電源もオフにされる。このICカード・システムは、Windows 2000 Serverで提供される標準のCSP(暗号サービス・プロバイダ)を使用している。ただし、カードの取り出しで自動的に電源をオフにする部分は、富士通が独自に開発した。なおICカードを忘れたり、なくしてしまったりしたときには、カードを再発行するまでの期間だけユーザー名とパスワードによる従来の認証を許可する。

トッパン・フォームズ(株)
営業統括本部 第7営業本部 厚木営業所 所長
小出 文雄

「入学式に学生証が間に合わないというのでは話になりませんから、ICカード学生証の製作には異例の体制で臨みました」
 ICカードの制作は、トッパン・フォームズ(株)が担当した。ICカードは、紙などのようにまとめて複数のカードを印刷するのが困難なうえ、今回はそのICカードが学生証としても使用されるとあって、短期間に異例の体制で製造にあたったという。「通常のカード印刷では、大きな台紙に複数枚分をいっぺんに印刷して、後で型を抜くのですが、ICカードでは、あらかじめICチップが組み込まれ、カットされたカード1枚1枚に印刷していかなければいけません。印刷に手間がかかる一方、大学では3月の終わりごろまで入学試験を行っており、入学式は4月4日でした。実質数日間という納期を守るのは本当に大変でした。いくら時間がないからといって、入学式に学生証が間に合わないのでは話になりませんから」(トッパン・フォームズ 小出氏)

実戦力重視のプログラミング教育

 東海短大高輪のプログラミング教育のユニークなところは、とにかく実戦力養成を念頭に置き、企業の開発現場を強く意識して、開発環境を選択しているところだ。このため基礎的なプログラミング教育ならDelphi(Pascal言語)、プロフェッショナル・プログラミングならVisual Studio(C++言語)、ビジュアル・プログラミングならVisual Basic、ビジネス・システム系ではMicrofocus COBOL(COBOL言語)を採用する。「実戦力を養うためには、やはり第一線の開発の現場で使われている環境に馴れることです。プログラミング教育というと、テキスト・エディタを使ってソースコードを入力し、コマンドラインでコンパイルするという伝統的なスタイルを用いる場合が少なくありませんが、本校では、ソースコードの編集からコンパイル、デバッグに至るまで、あくまで最新の開発環境を使いこなすという点を重視しています」(東海短大高輪 高見澤氏)

最新の情報教育環境を活かしたチャレンジはこれから

 今回取材を行ったのは、e-STARの運用が開始されて1カ月弱が経過した4月末だった。端末室を見学すると、空き教室では多数の学生が思い思いにPCに触れていた。「ログオンの方法など、基本的な操作以外は、特に詳しく使い方を説明したわけではありません。とにかく今は、与えられたおもちゃを無心で使っているという感じです。突拍子もない使い方をしたりしますが、それが元でシステムが壊れたという報告はありません」(東海短大高輪 高見澤氏)

 「e-STARは、やっと器が出来上がったという段階です。これからは、出来上がったシステムをどのように情報教育に役立てられるのか、さまざまな応用を考えていきたいと思います。特に今回、ビデオ・カンファレンシング用として、Exchange 2000 Conferencing Serverを導入しました。まだ学内のクライアント同士での実験的なカンファレンシングしか試していませんが、100Mbpsでの超高速インターネット接続とこの機能を組み合わせれば、遠隔地を結ぶ新しいコミュニケーションが可能になるでしょう。新しい試みにどんどんチャレンジしていこうと思っています」(東海短大高輪 高見澤氏)End of Article


データ
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 INDEX
  [事例研究]東海大学短期大学部(高輪校舎) 情報・ネットワーク学科
    1.近未来情報環境「e-STAR」とは?
    2.100Mbpsの超高速インターネット接続を早期導入できたのには幸運も
    3.データ交換とバックアップにはパケット・ライトのCD-RWメディアを活用
  4.ICカードで本人認証を確実にし、代わりにPCを自由に使わせる
 
事例研究

 



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