[事例研究] 東海大学短期大学部(高輪) 情報・ネットワーク学科

3.データ交換とバックアップにはパケット・ライトのCD-RWメディアを活用


デジタルアドバンテージ
2001/06/08


 今述べたとおり、クライアントPCのローカル・ディスクには数十ギガバイトの作業領域があるが、これは一時的にしか利用できない。永続的に保存したいデータには、ネットワーク上の自分用のフォルダを利用できるが、こちらはサイズ制限が64Mbytesと少ない。64Mbytesというサイズは、デジタル・ビデオどころか、今やデジタルスチル・カメラのデータですら満足に保存できる容量とは言えない。またファイル・サーバ上の各自のフォルダは、当該ユーザーだけが読み書きでき、他のユーザーは読み出しすら禁止されている。このためネットワーク・フォルダを利用して、学生同士がデータを交換することはできない。

コンピュータ・ルーム
授業で使うのはもちろん、授業で使っていないときには、自由にコンピュータ・ルームを使うことができる(写真はこの自由時間に撮影したもの)。電子メールやWebブラウジング、タッチタイピング練習からゲームまで、学生が自主的に、楽しみながら情報環境に触れていた。

 64Mbytesを超えるデータを保存したり、学生同士でデータ交換を行ったりするには、各クライアントPCに装備されたCD-R/RWドライブを使用する。これなら500Mbytes超のデータを記録して持ち運んだり、友人とやり取りしたりできる。この際基本的には、CD-RWメディアを利用し、あらかじめインストールされているUDFパケット・ライト・ドライバ(Adaptec Easy CD Creatorに含まれるDirect CD)を経由して、パケット・ライトを行う。この方法なら、CD-Rのようにプレマスタリングを行うことなく、あたかも大容量フロッピーのような感覚でCD-RWを利用することが可能だ。CD-RWメディアにパケット・ライトでデータを書き込むには、あらかじめメディアをパケット・ライト用にフォーマットしておく必要があるが、初心者でも間違いなく使えるように、事務用品などを販売する学内の購買部において、フォーマット済みのCD-RWメディアだけを販売している。「入学したばかりの学生には、まだまだコンピュータに初めて触れるというレベルの人が少なくありません。こうした学生でも確実に使えるように、フォーマット済みのCD-RWメディアだけを購買部で販売することにしました。一方、自分でメディアを購入できるようなPCに詳しい学生については、CD-Rをマスタリング形式で焼くなり、CD-RWを利用するなり、自由にさせています」(東海短大高輪 高見澤氏)

電子メールはExchange Serverを利用、IMAPでのリモート・アクセスも可能に

 メール・サーバには、Windows 2000 Server+Exchange 2000 Serverを搭載した専用サーバを用意している。クライアント側では、Outlook 2000を利用し、Exchangeインターフェイスでサーバにアクセスする設定にして、受信メールなどは常にメール・サーバ側で管理・保存するようにしている。これにより、どのクライアントPC上のOutlook 2000からアクセスしても、自分の受信ボックスが再現されるというわけだ。またe-STARにはWindows 2000のRAS機能を利用したリモート・アクセス・ポイントも用意されており、学生が自宅から学校にダイヤルアップして、学内のメール・サーバにあるメールをチェックすることも可能にしている(この場合は、アクセス方式としてはIMAPを利用する)。

実践力を身に付けるための充実したソフトウェア環境

 e-STARのクライアントPCには、講義などで使用するアプリケーション・ソフトウェア一式がインストールされている。Microsoft Office 2000(Word、Excel、PowerPoint、Access、Outlook)を始め、ソフトウェア開発環境のMicrosoft Visual Studio、Borland Turbo Pascal/Delphi、Web関連デザイン・ツールのMacromedia Dreamweaver 4/Director 6.0/Flash 5、CGツールのエクスツールズShade Debut 4/LightWave 3D 6.0、音楽編集ツールのRoland Cakewalk HomeStudio 9、プロフェッショナルDTP/Webデザイン・ツールのAdobe Photoshop 5.0LE/Illustrator 9.02など、そうそうたる顔ぶれが揃う。「アプリケーションの選択基準は、世の中で標準的に使われているかどうかということです。ITプロフェッショナルの即戦力として活躍するには、各分野の主流・標準となっているアプリケーションに触れておく必要があるからです」(東海短大高輪 高見澤氏)

ICカード学生証
東海短大高輪では、学生に自由に使ってもらうということと、教育機関としての責任を両立させるために、クライアント認証用のICカードを導入した。

 このうち特にマイクロソフト製品については、「Campus Agreement(キャンパス・アグリーメント、以下CAと略)」と呼ばれる高等教育機関向けのライセンス・プログラムを教職員・学生の全学で契約して、学校内だけでなく、教職員・学生が個人で所有するPCを自宅で使用する際にも同じソフトウェアをインストールして利用できるようにしている。このCAは、PC 1台ごとにライセンスするという従来の方式ではなく、その学校に所属する人に対してソフトウェアのライセンスを許諾し、同時にCAの中に含まれるソフトウェアに関して、任意のバージョンの使用が許諾されるという方式をとる。このため、ライセンスを与えられた「人」が使用するPCに任意のバージョンのソフトウェアをインストールして使えることが認められている。また契約期間中に学生が卒業した場合には、その時点で手持ちのPCにインストールされているソフトウェアをそのまま継続使用することが可能である。「CAの導入により、煩雑なライセンス管理をマシンごとに行う必要から解放されるので、管理にかかる負担が大幅に軽減されました。また契約期間中にソフトウェアがバージョンアップした場合でも、追加予算を組まなくてもそれらを利用可能という点も、教育機関にとっては大きな魅力です。一方、学生側からすれば、学校で使っているバージョンを常に自己所有のPCでも利用可能というメリットがあります」(東海短大高輪 高見澤氏)

 マイクロソフトの担当者によれば、国内の高等教育機関で200校以上、学生数では数十万という規模でこのライセンスが利用されているという。


 INDEX
  [事例研究]東海大学短期大学部(高輪校舎) 情報・ネットワーク学科
    1.近未来情報環境「e-STAR」とは?
    2.100Mbpsの超高速インターネット接続を早期導入できたのには幸運も
  3.データ交換とバックアップにはパケット・ライトのCD-RWメディアを活用
    4.ICカードで本人認証を確実にし、代わりにPCを自由に使わせる
 
事例研究

 



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