Insider's Eye

将来はパッケージ販売から「購読サービス」ビジネスへと移行する

―― スティーブ・バルマー CEOが語るMicrosoft .NET戦略の長期展望とロードマップ ――

デジタルアドバンテージ 小川 誉久
2000/06/27


スティーブ・バルマー 米Microsoft最高経営責任者
Microsoftは、パッケージ ソフトウェアの販売会社から、ネットワーク サービスの提供会社へとゆっくり時間をかけて転身する、と語る。

 6月22日に米ワシントン州レドモンドで開催されたForum 2000において、米Microsoft社の最高経営責任者(CEO)であるスティーブ・バルマー氏は、Microsoft .NET(マイクロソフト・ドット・ネット)プラットフォームにおいてMicrosoftが目指す将来の姿について語った(このスティーブ・バルマー氏のスピーチに先駆けて行われたビル・ゲイツ氏のキーノート スピーチについては別稿の「Insider's Eye:米Microsoft、新世代インターネット戦略を発表」を参照)。

.NETはASPにヒントを得た新たなネットワーク サービス

 この半年間バルマー氏は、ビル・ゲイツ氏とともに、Microsoftが将来進むべき道を模索し続けてきた。そして3週間前にバルマー氏は、ノルウェーの10社のASP企業と会ったとき、それまで自分とビル・ゲイツ氏が.NETについて検討してきたことが交錯し、これこそが第3世代インターネットの姿だと確信したという。

  別稿のビル・ゲイツ氏のスピーチにもあるとおり、Microsoft .NET自体は、広範にわたる遠大な構想であり、現時点で実体をつかむのは難しい。バルマー氏の言葉を借りれば、「.NETは、環境でもあり、プログラミング プラットフォームでもある。そしてこれは、インターネットを次世代のプラットフォームとして機能させることを支援する」ということになる。

  個別具体的な施策は今後次第に明らかになっていくとして、長期的な視点に立ったMicrosoft .NETのゴールは、現在のASPにヒントを得たネットワーク サービスにあるようだ。バルマー氏は、現在のビジネスを突然方針転換したりするものではないと丁寧に前置きしたうえで、「現在開発を進めているテクノロジは、最終的には購読サービス(subscription service)になると考えている。ただしこれは急激な移行を意味するのではなく、私たちが考える長期的な移行の方向性を示すものだ」と語った。

Microsoft .NETのロードマップ

 Microsoft .NETの第一歩としては、新しいプログラミング モデルをサポートしたVisual Studio 7とサーバ インフラストラクチャを提供するBizTalkサーバを発表する。ここで言う.NETサポートの目玉は、XMLサポート指している。このうちVisual Studio 7については、この夏にも数万人規模の開発者向けにプレビューを開始し、その後12カ月以内に製品を出荷する。BizTalkサーバについては年内出荷予定だという。

 第2弾となるのが2001年に出荷を予定しているWindows.NET Version.1である。これはWindows OSの1バージョンとして出荷される予定だが、ビル・ゲイツ氏も強調しているとおり、このVer.1では、.NETの完全な実装がなされるわけではない。「Windows.NET (Ver.1)は、(新しい)ユーザー インターフェイス要素やプログラミング モデルの要素をWindows製品に初めて組み込むという点で意義が大きい」とバルマー氏。

  当初Windows.NETは、クライアント向けに実装されるが、将来的にはサーバ レベルの実装も行われる。「さらに1年以上の時間が必要だろうが、Visual StudioやBizTalkで切り開いたインフラストラクチャの要素をサーバに実装したWindows.NETサーバも登場することになる」とバルマー氏は語る。

コンペティターは誰か?

 Microsoft .NET戦略を進める上でのコンペティター(競争相手)は誰なのか? バルマー氏は「.NETに相当するような戦略を公表している競争相手はいない」と断言する。SunやOracle、IBMはどうか? バルマー氏はGnutellaやNapster(中央のサーバにコンテンツを置くことなく、クライアント間でのデータ交換を可能にするソフトウェア。詳細はIT Business Reviewの「音楽業界を震撼させるNapsterの可能性」を参照)の急激な普及を挙げながら、「これらクライアント側インテリジェンスの恩恵に預かるソフトウェアの台頭を見るにつけ、Oracleは特にそうであるし、Sunにしろ、おそらくIBMにしても、中央のサーバにすべてのインテリジェンスを負わせようとする中央集権システムに目を奪われすぎている」と述べた。

  確かにここ最近は、PCサーバやPCクライアントによる水平分散システムがTCOの観点から見て不利だという反動と、インターネット/イントラネットを舞台とするEコマースなどの普及により、大型計算機時代の中央集権型システムに先祖帰りしつつある局面もあった。これに対しMicrosoftは、「Digital Nervous System」や「The Business Internet」というスローガンを掲げて、自社製品を利用したソリューション ビジネスに力を入れていた。

 この意味でMicrosoft .NETは、OracleやSun、IBMが得意とする中央集権型システムに対するMicrosoftの再度の挑戦と見ることもできるかもしれない。End of Article

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  関連リンク
  Microsoft .NET Webサイト(米Microsoft)
  米Microsoftのニュースリリース[米Microsofのニュースリリースの和訳](マイクロソフト)
  スティーブ・バルマー氏のキーノート スピーチの内容(米Microsoft)
  音楽業界を震撼させるNapsterの可能性(@IT IT Business Review)
     
 「Insider's Eye」


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