Insider's Eye Windows Server 2003 Service Pack 2の概要 ―― 修正プログラムが中心だが、一部新機能追加もあり ―― デジタルアドバンテージ 打越 浩幸 |
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2007年3月27日、サーバOSであるWindows Server 2003向けの最新の更新プログラム集、Windows Server 2003 Service Pack 2(以下Windows Server 2003 SP2、または単に「SP2」と表記)の日本語版がリリースされた。2年前にリリースされたService Pack 1や、1年前に発表されたWindows Server 2003 R2とは違い、修正プログラムがメインで、新機能はそう多くない。ここではSP2について簡単にまとめておく。
Windows Server 2003 SP2に関する情報
SP2に関する情報は以下のページにまとめられているので、まずはこれらの情報をよく調べ、SP2の導入に備えていただきたい。
- Windows Server 2003 Service Pack 2 に関する情報(マイクロソフトTechnetサイト)
- Windows Server 2003 Service Pack 2 のReadmeファイル
- Windows Server 2003 SP2 よく寄せられる質問
SP2の実行プログラム(.EXEファイル)は以下のリンクからダウンロードできる。サイズはエディションにもよるが、370M〜500Mbytes程度である。
- 日本語版Windows Server 2003 Service Pack 2 (32bit x86)
- 日本語版Windows Server 2003 Service Pack 2 for x64 Editions
- 日本語版Windows Server 2003 Service Pack 2 for Itanium-based Systems
- 日本語版Service Pack 2 for Windows XP Professional, x64 Edition
これ以外にも、CD-Rに書き込んで利用するための.ISOファイルも配布されているので、多数のコンピュータに適用するなら、CD-ROMメディアでも用意しておくとよいだろう。CD-ROMイメージ版には、SP2の実行ファイル(WINDOWSSERVER2003-KB914961-SP2-X86-JPN.EXEなど)のほか、SP2に対応したサポート・ツールの更新版(\SUPPORT\TOOLSフォルダ)なども収録されている(32bit x86版以外は上記のページを参照)。
SP2のサポート・ツールやsysprepツールが必要な場合は、以下のリンクからもダウンロードできる。
自動更新によるSPの配布をブロックする
ダウンロード・センターから入手する以外にも、Windows UpdateやMicrosoft UpdateでもすでにSP2は適用できる。2007年6月12日(SP2公開の3カ月後)からは自動更新で配布が始まる予定である。そのため、この日以降は、管理者が知らないうちにSP2がインストールされてしまう可能性がある。マイクロソフトによれば、使用許諾書に同意しない限りSP2が自動でインストールされることはないとのことだが、管理者以外のユーザーが同意してインストールを進めてしまう危険性は0%ではない。これを防ぐためにはSP2のインストールをブロックするツールを利用するとよい。
このページから以下のツールをダウンロードしてレジストリを設定すると(もしくはグループ・ポリシーを設定すると)、Windows Update/Microsoft Update/自動更新によるSP2の適用をブロック(阻止)できる。例えばユーザーや管理者がMicrosoft Updateを実行しても、Windows Server 2003 SP2は推奨される更新のリストには表示されなくなる(当然だが、SP2のCD-ROMを使ってインストールするといった操作はブロックできない)。
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このツールでは、最終的には以下のレジストリを設定して、SP2の自動配布とインストールをブロックしている。ツールの詳しい使い方については上記のダウンロード・ページの説明や、関連TIPS記事(SP1でもSP2でも方法は同じ)を参照していただきたい。ただしこのツールを使って設定しても、(SP2公開の1年後である)2008年3月13日までしかブロックできず、それを過ぎるとWindows Update/Microsoft Update/自動更新によるWindows Server 2003 SP2の適用が可能になる。
項目 | 内容 |
キー | HKEY_LOCAL_MACHINEの \Software\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate |
値の名前 | DoNotAllowSP |
型 | REG_DWORD |
値の内容 | 1 → SP2の自動更新による適用をブロックする 0 → ブロックしない(0にするか、この値そのものを削除する) |
Windows Update/Microsoft Update/自動更新によるSP2の適用をブロックするレジストリ設定 |
SP2のインストール
SP2のインストール対象のプラットフォームは次のとおりである(SP1が適用済みかどうかは関係なく、SP2をインストールできる)。
- Windows Server 2003の全エディション(32bit x86)
- Windows Server 2003のItaniumベースのエディション
- Windows Server 2003 x64の全エディション
- Windows Server 2003 R2の全エディション
- Windows Compute Cluster Server 2003
- Windows Small Business Server 2003 R2の全エディション
- Windows XP Professional x64 Edition
なおWindows Server 2003やWindows Server 2003 SP1にSP2をインストールしても、Windows Server 2003 R2 SP2相当にはならない(つまりSP2には、Windows Server 2003 R2で提供される機能拡張は含まれていない)。
CD-ROMからインストールするか、ネットワークの共有ポイント上に置いたSP2のバイナリからインストールするかでで異なるが、SP2のインストールには約1〜3Gbytesの空きディスク・スペースが必要である。詳細については以下のページなどを参照していただきたい。
またベースとなるWindows Server 2003/Windows Server 2003 R2などにSP2を適用した統合イメージ・ファイルを作成し、それを使ってSP2を新規インストールすることもできる。このあたりの手順はSP1の時と同じである。ベースのOSイメージに対して、SP2のバイナリを統合モードを使って上書きで展開して、インストール・イメージを作成する。具体的な操作方法については以下のページなどを参照していただきたい。
SP2の更新一覧およびアプリケーションの互換性情報
SP2に含まれる修正点の一覧は以下のページにまとめられている。
2つ目のリストは、SP2に含まれる(月例で発表されている)セキュリティ関連の項目のリストである。これを見ると分かるように、SP2には少なくとも2007年1月分までのセキュリティ修正プログラムが含まれている。2007年2月分については、このリストの 英語版 には記載されているほか、SP2を適用したWindows Server 2003でMicrosoft Updateを実行すると2月分のセキュリティ修正プログラムが列挙されないことから、SP2に含まれていると推測される(2007年3月の月例セキュリティ修正プログラムは0件だったので、2月分が最新)。
SP2の新機能
SP2は、基本的には修正プログラムを集積しただけであるが、いくつか新しい機能が導入されている。詳細は以下のサイトなどを参照していただきたい。
- What's New in Windows Server 2003 Service Pack 2
- Windows Server 2003 Service Pack 2データシート
- SP2 Goes Live(Windows Server Division WebLog)
以下に、おもなSP2の機能拡張点を挙げておく。
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新しいWindows展開サービス(Windows Deployment Services:WDS)
従来のRIS(Remote Install Service)に代わる、Windowsシステムを導入するための新しいサービス。Vistaとともに導入された。詳細については連載「Vistaの地平」の「Vistaの展開支援機能」を参照のこと。 -
Scalable Networking Pack(SNP)
ネットワーク処理の改良によるスループットの改善やアプリケーションの効率的なスケーリング。SNPはこれまで単体で配布されてきたが、SP2からは同梱されるようになった。詳細はサポート技術情報「Microsoft Windows Server 2003 Scalable Networking Pack のリリース」を参照していただきたい。 -
Wi-Fi Protected Access 2(WPA2)
ワイヤレス・ネットワークのセキュリティを向上させる、FIPS 140-2準拠の暗号化や認証技術を実装した。 -
MMC 3.0
Windows Server 2003 R2で導入された管理コンソールの新版。コンテキストに応じて適切なタスク・リスト(行うべき操作)やヘルプなどを(MMCコンソールの右側に)表示できる。 -
拡張されたmsconfigコマンド
システムの構成を変更するmsconfig.exeコマンドが拡張され、各種管理ツールを新設された[ツール]タブから起動できるようになった。 -
パフォーマンスの向上
SQL Server 2005や仮想化処理におけるパフォーマンスが向上した。 -
XmlLiteライブラリ
軽量で高速なネイティブXMLパーサー・ライブラリ。これにより、高性能なXMLベースのアプリケーションの構築が可能になる(参考「XmlLite Programmer's Guide[英語]」)。 -
更新された補助ツール
サポート・ツール(Support Tools)や管理者用ツールパック(adminpak.msi)、展開用ツールなどもSP2に合わせてバージョンアップしているので、これらのツールを利用している管理者(特にWindows XP上で利用している場合)は、新しいバージョンのものに更新しておくこと。 -
改良されたACL操作ツールICACLS
ファイルのアクセス制御リスト(ACL)を操作するツールCACLSが改良され、ACLの保存や復元もできるようになった(*1)。
*1 ただし、2007年4月4日の時点で公開されている日本語版SP2に含まれているICACLS.EXEコマンドは破損しているようであり、正しく動作しない。起動しても、意味不明な文字列を表示してすぐに終了してしまう。今後正常に動作するバージョンが提供されるまで待つか、どうしても必要なら、英語版SP2に含まれるICACLS.EXEコマンドを流用するとよい。 参考:スレッド「icacls.exeコマンドが動かない!?」(HotFix Report BBS) |
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以上、Windows Server 2003 SP2について簡単に解説した。Service Packは、基本的には修正プログラムを集積したものとはいえ、いくらか機能も拡張されている。その導入に当たっては、事前に十分テストし、問題がないことが確認できてから導入・展開を進めていただきたい。
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