Windows TIPS
[Office Master]
  Windows TIPS TOPへ
Windows TIPS全リストへ

Excelのユーザー定義関数で既存のワークシート関数を利用する

解説をスキップして操作方法を読む

山田 祥寛
2005/01/15
 
対象ソフトウェア
Excel 2000
Excel 2002
Excel 2003
Excelのユーザー定義関数で既存のワークシート関数の機能を改良したい場合、一からロジックを構築するのは無駄だし、不要なバグの原因にもなる。
ユーザー定義関数から標準のワークシート関数を参照することで、差分のロジックのみを記述すれば済むようになるので、より簡単にユーザー定義関数を作成できる。
 
解説

 Windows TIPS「Excelでユーザー定義のワークシート関数を追加する」「ユーザー定義関数で任意のセル範囲の値を取得する」「Excelのユーザー定義関数で複数の結果値を返す」などでも紹介したように、ExcelではVBA(Visual Basic for Application)を利用することで、カスタムのワークシート関数(ユーザー定義関数)を作成できる。

 ユーザー定義関数は、標準のワークシート関数では賄いきれない個々人の要件を柔軟に定義できるという意味で貴重なものであるが、実は、一からまったく新しい機能を構築しなければならないというケースはそれほどに多くはないはずだ。というのも、Excelにはデフォルトで数百にも及ぶワークシート関数が用意されており、表計算で必要な機能を満遍なくサポートしているからだ。多くのケースでは、これらデフォルトのワークシート関数を駆使する(または、応用する)だけで十分に要件は満たすことができるはずなのである。

 つまり、ユーザー定義関数を作成する場合にも、常に一からロジックを組み立てる必要はないということだ。わざわざいまある機能を自前で構築するのは大きな無駄であるし、そもそも無用なバグの原因にもなる。いままで使い込まれた機能がすでに存在するならば、なるべくそれらを利用することを考えるべきだろう。

 そこで本TIPSでは、ユーザー定義関数(正確には、ユーザー定義関数の実体であるFunctionプロシージャ)から既存のワークシート関数を呼び出す方法を紹介する。この方法を用いることで、ユーザー定義関数では標準のワークシート関数に対して追加/変更したい差分のロジックだけを記述すれば済むようになるので、より簡単にユーザー定義関数を作成できる。


操作方法

 本稿では、Windows TIPS「Excelのユーザー定義関数で複数の結果値を返す」でも紹介したSumAvg関数を、ワークシート関数を引用しつつ書き換えてみることにしたい。

 このTIPSでも紹介したように、SumAvg関数は、指定されたセル範囲に含まれる値に関して、合計値と平均値とを返すユーザー定義関数だ。しかし、合計値/平均値ともに、これを算出するための関数は、単体ではすでに標準のワークシート関数として用意されている。よくご存じであろうSum関数とAverage関数だ。ここでは、これらの関数を、ユーザー定義関数を定義したFunctionプロシージャから実際に呼び出してみることにしよう。先のTIPSで紹介したコードは、以下のように書き換えることができる。

Function SumAvg(範囲 As Range)
  Dim result(1) As Double
  result(0) = WorksheetFunction.Sum(範囲)
  result(1) = WorksheetFunction.Average(範囲)
  SumAvg = result
End Function

 ワークシート関数を呼び出すには、一般的に以下の書式で行うことが可能だ。

WorksheetFunction.ワークシート関数(引数,....)

 ワークシート関数の頭にWorksheetFunctionオブジェクトを指定するだけなので、ワークシート上で利用する場合とほとんど同じ要領で使用できることがお分かりになるはずだ。

 別稿で紹介したのと同じ要領でSumAvg関数を実行してみると、確かに横並びのセルに、それぞれセル範囲の合計値と平均値とが返されているのが確認できるはずだ。

 ただしVBA上でワークシート関数を利用する場合、1点だけ注意しなければならないことがある。それはセル範囲の渡し方だ。ワークシート上では、セル範囲を「セルA:セルB」の形式で指定する。例えば次のようにする。

Sum(A1:A10)

 しかし、VBA上ではこのような指定はできない。これは、Windows TIPS「ユーザー定義関数で任意のセル範囲の値を取得する」でも紹介したように、セル範囲はあくまで内部的にはRangeオブジェクトとして認識されるものだからだ。「セルA:セルB」の形式で指定しても、VBA上では単なる文字列としてしか認識されない。よって、上の例ならば、VBA上では以下のように記述する必要がある。End of Article

WorksheetFunction.Sum(Range("A1:A10"))
 
関連記事
  Windows TIPS:Excelでユーザー定義のワークシート関数を追加する(Windows Server Insider)
  Windows TIPS:ユーザー定義関数で任意のセル範囲の値を取得する(Windows Server Insider)
  Windows TIPS:Excelのユーザー定義関数で複数の結果値を返す(Windows Server Insider)
 
「Windows TIPS」


Windows Server Insider フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Windows Server Insider 記事ランキング

本日 月間