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SyncToyツールで手軽にバックアップを行う

解説をスキップして操作方法を読む

デジタルアドバンテージ 中塚 寛幸
2005/09/10
2008/03/18 更新
 
対象OS
Windows XP
Windows Server 2003
Windows Vista
エクスプローラやXCOPYコマンドでのバックアップは、手作業が多く手間がかかる。
Windows OSに付属するNTBACKUPでは、フォルダの同期を取る用途では利用できない。
無償で提供されているSyncToyツールを利用すると、5種類のバックアップ・モードを使って、簡単にバックアップが行える。
 
解説

 ネットワーク上での共同作業やデジタル・カメラで撮影した写真のデータなど、大量のファイルやフォルダが日々更新されていく状況で、バックアップを取るのはとても手間がかかる。エクスプローラでのドラッグ操作、XCOPYコマンド、NTBACKUP(Windows OS付属の標準バックアップ・ツール)、有償であればサード・パーティによるバックアップ製品を利用する方法がオーソドックスだろう。

 上に挙げた無償で利用できる方法は、エクスプローラであれば手作業が増えること、XCOPYであればコマンド・プロンプト上で操作する必要があること、NTBACKUPであればバックアップを1つのアーカイブ・ファイルにまとめてしまうため取り扱いが面倒、といった不便がある。

 削除やリネームの反映といった細かい変更を反映できること、スケジュール実行できること、操作手順が簡単であること、再度実行する際に自動化できること、といった条件でバックアップ作業を行いたい。そんな場合には、マイクロソフトが2005年8月23日にPowerToysに追加した「SyncToy」を使おう。ダウンロードするにはWindows Genuine Advantageの承認が必要となるが、無償で利用できる。

 SyncToyをインストールして実行するには、.NET Frameworkがインストールされている必要がある。あらかじめ.NET Frameworkをインストールし、Windows Updateなどで修正パッチを適用しておこう。


操作方法

 まず、SyncToyのインストール・パッケージを以下のサイトからダウンロードする。SyncToyが動作するためには.NET Framework ver.1.1.4311以上がインストールされている必要がある。インストーラを起動すると自動的にチェックされ、.NET Frameworkがインストールされていない、あるいはバージョンが低い場合には、.NET Frameworkのダウンロード・サイトがWebブラウザで開くので、そこからインストールする。

■SyncToy Ver.2.0ベータ版について【2008年3月追記】
  SyncToyの正式版はVer.1.4であるが、2007年10月に大幅に機能を向上させたVer.2.0のベータ版がリリースされた。Ver.1.4で何らかの問題が発生するようならば、Ver.2.0を使用してみてもよいかもしれない(手元では、環境によってはSyncToy Ver.1.4がエラーで途中終了する場合があった)。ただしまだベータ版なので、その点には十分注意して利用していただきたい。

フォルダ・ペアを作成してコピーする

 インストールが完了したら、[スタート]メニューの[プログラム]−[SyncToy]を起動する。SyncToyでは、一般的なバックアップ・ツールでのバックアップ・セットに相当する「Folder Pair(フォルダ・ペア)」単位で処理を行う。フォルダ・ペアは2つのフォルダと動作モードなどの設定情報で構成される。SyncToyはこのフォルダ・ペアに対して、Synchronize(同期)やEcho(エコー)といった5種類のモードでコピーする。一度作成したフォルダ・ペアは何度でも使用でき、動作モードの変更なども可能だ。エクスプローラを使った単純なコピーや、XCOPYの/Dオプション(ファイルが更新されていれば上書きコピーするオプション)を使ったコピーと比べると、ファイルの削除/リネーム機能(コピー元ファイルが削除/リネームされた場合に、コピー先のファイルも同様に削除/リネームする機能)が利用できるところが便利だ。

 初回起動時には、コピー対象となる2つのフォルダをフォルダ・ペアとして設定するウィザードが表示される。

SyncToy初回起動画面
SyncToyを初めて起動すると、フォルダ・ペアを作成するウィザード形式の画面が表示される。
  ここをクリックする。

 すると次のようなウィザード形式のフォルダ・ペア作成画面へと進む。

フォルダ・ペアの作成
SyncToyでのコピー処理を行う2つのフォルダを設定する。基本的には[Left Folder(左フォルダ)]がコピー元、[Right Folder(右フォルダ)]がコピー先となる。
  ここをクリックし、フォルダ名を指定する。
  ここをクリックする。
 
※注意 SyncToyは英語版のソフトウェアであるため、日本語フォルダ/ファイル名が通らない可能性がある(手元で試した限りでは、日本語のフォルダ/ファイル名を使用しても正しく動作した)。また、SyncToyではドライブ・レターもフォルダを示すアイコンで表示されるが、それを直接Left Folder/Right Folderに設定すると、エラーとなる場合があったので注意していただきたい。

 コピー先であるRight Folderに対しても同様のフォルダ指定を行うと、コピーするモードを設定する画面が表示される。SyncToyでは、フォルダ・ペアについての処理を何度も行うことが前提として設計されている。そのため、最初にコピーした後で起こった変更について、次に処理する際にどのように操作するのかを設定する必要がある。指定できるモードには、およそ以下のような意味を持つ5種類がある。動作モードについての詳しい解説は、英語のヘルプをご覧いただきたい。

モード名
処理方向
処理内容
Synchronize(左右の同期)
左←→右
新規作成/変更/リネーム/削除があったファイルについて、Left FolderとRight Folderで最新状態に更新する
Echo(左から右への反映)
左→右
Left Folderで新規作成/変更/リネーム/削除された場合に、Right Folderに反映する
Subscribe(右からの取得/購読)
左←右
Left FolderとRight Folderに共通して存在するファイルについて、Right Folderでの更新をLeft Folderに反映する
Contribute(左から右への提供/発行)
左→右
Left Folderで新規作成/変更/リネームされたファイルについて、Right Folderに反映する。ただし、削除は行われない
Combine(左右の結合)
左←→右
新規作成/変更があったファイルについて、Left FolderとRight Folderで最新状態に更新する。リネームと削除は行われない
SyncToyの動作モード
5種類のモード名と、Left FolderとRight Folder間でフォルダ内容の変更が行われる方向と処理内容の概要。
 
フォルダ・ペアに対する動作モードを設定する
SyncToyでは、フォルダ・ペアにごとにSyncToyのコピー動作モードを設定できる。5種類のモードによるコピー動作の違いは、ヘルプに詳述されている。
  ここから動作モードを選択する。
  ここをクリックする。

 最後に、フォルダ・ペアに名前を付けてウィザードを終了する。

フォルダ・ペアに名前を付ける
ここまで設定してきたフォルダ・ペアに対して名前を付けると自動的にそのフォルダ・ペアが保存される。SyncToyは複数のフォルダ・ペアを管理するので、フォルダの内容に沿った分かりやすい名前を付けよう。
  ここに名前を入力する。
  ここをクリックしてウィザードを終了する。

 フォルダ・ペアが1つ以上存在すると、SyncToyのメイン画面は次のように変化する。ここからフォルダ・ペアの処理を実行したり、新規作成/削除したりできる。ここでは、リストアップされているフォルダ・ペアを選択して処理を実行してみよう。[Run]ボタンをクリックすると、設定された条件に従ってコピーが実行される。また[Preview]ボタンをクリックすると、実際にコピーする前に各ファイルに対してどのような操作(コピー/リネーム/削除)が行われるかを確認したり、操作のスキップを指定したりできる。

フォルダ・ペアを選択して処理を実行する
左ペインで選択したフォルダ・ペアについて、モードで指定した処理を実行する。またこの画面では、指定したフォルダ・ペアについての設定変更を行える。
  ここにリストアップされている中から同期処理を行うフォルダ・ペアを選択する。すべてのフォルダ・ペアについて処理する場合は、[All Folder Pairs]を選択する。
  動作モードを変更するには、ここをクリックする。
  除外フォルダの指定、削除したファイルをごみ箱に移動、といった詳細設定を行うには、ここをクリックする。設定状況は、の間の[Options for this folder pair]に表示される。
  ここをクリックすると、指定したフォルダ・ペアの処理を予行演習するダイアログが開く。
  で指定したフォルダ・ペアの処理を実行するには、ここをクリックする。

 この画面での[Preview]をクリックすると、フォルダ・ペアに対する処理をプレビュー/微調整できる。

フォルダ・ペアの処理をプレビューする
フォルダ・ペアを選択しておき、[Run]をクリックする前に[Preview]をクリックすると処理内容を確認/微調整できる。
  処理内容の表示。各ファイル/フォルダに対して行われる操作をリストアップする。処理内容には、[Delete](削除)/[Overwrite](上書き)/[Rename](リネーム)/[New](新規ファイルの作成)/[Create Folder](新規フォルダの作成)がある。
  ここをクリックして、処理から除外するファイルを指定できる。
  処理されるファイルやフォルダの数はここで確認できる。
  微調整が済んだら、この[Run]をクリックして実際の処理を実行する。

 SyncToyの実行結果は、画面で確認できるだけでなく、イベント・ログにも記録される。[管理ツール]−[イベント ビューア]を起動し、簡単に確認できる。

SyncToyの動作をイベントで確認する
[管理ツール]−[イベント ビューア]を起動し、[アプリケーション]のツリーを確認しよう。SyncToyが処理を行うと、[ソース]の項目にSyncToyと書かれたイベントが記録されているハズだ。

SyncToyをスケジュール実行する

 SyncToyでのバックアップ作業を自動化するなら、SyncToyをスケジュール実行すればよい。SyncToy自体にはスケジュール実行機能は実装されていないが、タスクに登録することにより、スケジュール実行できる。

 スケジュール実行するタスクに登録するには、[スタート]−[プログラム]−[アクセサリ]−[システム ツール]から[タスク]を開き、[タスク ウィザード]を起動して新規にタスクを追加すればよい。

 追加したタスクでは、ただ単にSyncToyが起動するだけになっている。SyncToyに用意されている「-R」コマンド・オプションを使って、処理を行うフォルダ・ペアを指定すればよい。コマンド・オプションの書式は以下の通り。

SyncToy -R"<フォルダ・ペア名>"

 具体的には、次のように指定する。

SyncToy -R"ScreenShots"

 追加されたタスクを右クリックして表示されるプロパティ画面で、次のように設定すればよい。End of Article

フォルダ・ペアをSyncToyのスケジュールに設定する
[タスク]でウィザードからSyncToyを選択しただけでは、ただ単にSyncToyを起動するだけの処理をスケジューリングしただけだ。そこで、作成したSyncToyのタスクに前述したコマンド・ラインのオプション書式にならって、フォルダ・ペアを実行するオプションを追加する必要がある。
  ここの末尾に「-R"<フォルダ・ペア名>"」を追加する。
  ここをクリックする。タスクを実行するために必要なユーザー権限を設定するダイアログが表示されることがあるので、入力して[OK]をクリックする。
 
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