Windows TIPS
[System Environment] |
proxy.pacファイル用にIIS 6.0のMIMEタイプを追加する
→ 解説をスキップして操作方法を読む
デジタルアドバンテージ 打越 浩幸
2007/06/01 |
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対象ソフトウェア |
IIS 6.0(Windows Server 2003) |
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IIS 6.0のWebサーバでは、あらかじめ登録されたファイル・タイプしかアクセスできない。 |
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WebブラウザのProxy(プロキシ)を設定する構成ファイル(proxy.pacなど)を利用するためには、.pacファイルに対するMIMEタイプを追加定義する。 |
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MIMEタイプは、IIS 6.0全体とWebサイトごとのどちらでも設定できる。 |
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Webサーバの用途として、一般的なHTMLや画像、映像、音声などのコンテンツを公開するだけではなく、特殊な形式のデータ・ファイルをクライアントに配布したい場合がある。例えばTIPS「WebブラウザのProxy設定を行うための4つの方法 - WPADのススメ -」では、(Internet Explorerなどの)Webブラウザのネットワーク設定(Proxy設定)を設定するために、JavaScriptで記述された自動構成スクリプト・ファイルを利用する方法を紹介した。ここで利用する構成スクリプトを例えばproxy.pacというファイル名で保存しておき、Webサーバ上に配置しておけば(例「http://192.168.0.11/proxy.pac」などとしてアクセスできるようにしておく)、Webブラウザはこのファイルを取得してそのProxy設定に従って動作する。またWPADというメカニズムを使って、このproxy.pacファイルの配置情報を通知すれば、クライアント側では何も操作する必要なく、管理の手間を削減できる。
このようなproxy.pacファイル(もしくはwpad.datというファイル名でもよい。詳細は先のTIPS参照)を配布する場合、Windows Server 2000のIIS 5.0ならば、特に何も設定する必要はなかった(デフォルトで、任意のファイル・タイプのアクセスが許可されていた)。IISで管理しているWebサイトのルートにproxy.pacというファイルを置いておけば、クライアントはそのファイルを自動的にダウンロードできる。
だがWindows Server 2003のIIS 6.0ではセキュリティのため、デフォルトでは、.pacや.datという拡張子を持つファイルは自動ダウンロードできなくなっている。
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IIS 6.0でproxy.pacファイルをアクセスしたところ |
IIS 6.0では、あらかじめ定義されている拡張子以外のファイルはアクセスできなくなっている。 |
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IIS 6.0のWebサーバのルートに配置したproxy.pacファイルをアクセスしてみる。 |
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ファイルが見つからないというエラーになっている。 |
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これを解決するには、Webサーバに対して、新しく「MIMEタイプ」を設定すればよい。MIMEとは、(電子メールや)Webサーバで配布するコンテンツのフォーマットを規定する規則のことである。
proxy.pacといった.pacファイルを、Webサーバ経由でアクセスできるようにするためには、IIS 6.0のサーバ設定を変更して、.pacファイルに対するMIMEのエントリを新規追加すればよい。この場合、Webサーバ全体(IIS 6.0が動作しているコンピュータ全体)に対してMIMEタイプを追加する方法と、(IIS 6.0で管理しているうちの)特定のWebサイトのみで追加する方法の2種類がある。以下では、IIS 6.0全体に対する追加方法を解説する。
まずIISの[スタート]メニューの[すべてのプログラム]-[管理ツール]-[インターネット インフォメーション サービス (IIS) マネージャ]を起動し、サーバ名を右クリックして、ポップアップ・メニューから[プロパティ]を選択する。
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サーバのプロパティの表示 |
MIMEタイプを追加するには、まずサーバのプロパティを表示させる。 |
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サーバ名を右クリックする。 |
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これを選択する。 |
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表示されたプロパティ・ダイアログで、今度は[MIMEの種類]ボタンをクリックする。
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MIMEタイプを編集する。 |
このダイアログで、サーバ全体のMIMEタイプを編集する。 |
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これをクリックする。 |
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すると登録されているMIMEタイプの一覧が表示されるので、新たにタイプを追加する。
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登録されているMIMEタイプの一覧 |
ファイルの拡張子ごとに、どのような内容のファイルであるかが登録されている。例えば.aiffファイルはオーディオ・ファイルであると登録されている。 |
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現在登録されているMIMEタイプの一覧。 |
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これをクリックして、新しいMIMEタイプを追加する。 |
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[新規作成]ボタンをクリックすると次のようなダイアログが表示されるので、ファイル拡張子とデータのタイプを指定する。.pacファイルを許可する場合は、[拡張子]に「.pac」、[MIMEの種類]に「application/x-ns-proxy-autoconfig」と入力する。
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MIMEタイプの指定 |
ファイルの拡張子ごとにタイプを指定する。 |
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ファイルの拡張子。先頭のピリオドも指定すること。同じ拡張子を持つファイルはすべて許可される(a.pacは許可するが、b.pacは許可しないといった指定はできない)。 |
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MIMEタイプ。ここで指定する文字列は規格で決まっている。 |
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ここでは.pacタイプに対して新規登録したが、例えば任意のバイナリ・ファイルをアクセス可能にしたければ(IIS 5.0のデフォルト状態)、次のように、「*」と「application/octet-stream」と指定してもよい。proxy.pacは、どちらで定義されていても機能するようである。
拡張子 |
登録するMIMEタイプ |
用途 |
.pac |
application/x-ns-proxy-autoconfig |
Proxy(Webサーバのプロキシ)構成ファイル |
* |
application/octet-stream |
一般バイナリ。どのようなファイルでも許可されるので、使用する場合は注意する |
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登録するMIMEタイプの例 |
正式には上側だが、下側のように登録して、任意のバイナリ・ファイルを許可してもよい。 |
エントリを登録後、IISのタスクを再起動させると、今度は.pacファイルへアクセスできるようになっているはずである。Webブラウザで「http://10.20.2.10/proxy.pac」などとしてアクセスできるか確認しておこう。
なお以上の操作は、IIS 6.0全体のMIMEタイプを設定する方法であるが、Webサイトごとに個別に設定することもできる。そのためには、まず特定のWebサイトを選んで[プロパティ]ダイアログを表示させ、[HTTPヘッダー]タブにある[MIMEの種類]ボタンをクリックして、新しいMIMEタイプを追加定義する。セキュリティなどの面から考えると、この方法でルートWebサイトに対してのみ、.pacファイル用のMIMEタイプを定義するのが望ましいだろう。
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