XMLデータベース製品カタログ 2003
〜ネイティブXMLデータベース編〜
2003/9/26
紹介する製品 NeoCore XMS Tamino Sonic XIS EsTerra XSS Apache Xindice |
Sonic XIS |
■統合的な製品ラインアップが魅力的なオールラウンドソリューション
「Sonic XIS(eXtensible Information Server)」は、米プログレス ソフトウェア・コーポレーション(PSC)の子会社であるソニック ソフトウェア コーポレーションが開発を行い、同社日本法人のプログレス ソフトウェア株式会社が国内市場への展開、コンサルティングを行うネイティブXMLデータベースサーバである。
Sonic XISのアーキテクチャ |
■柔軟なデータ運用と高いパフォーマンスを保証するSonic XISデータサーバ(XMLデータストア)
オブジェクトデータベース(OODB)のノウハウに基づくXMLデータストア。XML文書を「DOMツリー(オブジェクト)に展開した形式」でメモリ上で管理するため、処理のたびに再変換・パースする必要がないのが大きな特徴である(XMLパーシステンス)。ノードを個々の独立したオブジェクトとして格納することから、追加・更新・削除などの処理に際しても部分木(ノード)単位の柔軟な処理が可能であり、高いパフォーマンスの実現を支える。
アプリケーションにインパクトを与えることなく自由にデータ構造を変更できるのも、オブジェクトデータベースならではの特性といえよう(ダイナミックモデリング)。この特性ゆえに、開発者はシステム設計時点でデータ構造を完全にフィックスさせる必要がない。上流工程ではっきりしているデータ構造やハードウェアスペックでシステムを構築し、下流工程で要件に変動が発生したタイミングであらためてデータ構造の再編を行えばよい(クイックスタート&スパイラル開発)。
データ構造の変更は容易 |
■スパイラル開発を支える立役者、分散XMLキャッシュ
分散XMLキャッシュ(Cache Forward)は、米国で特許技術を取得したSonic XISの中核的なアーキテクチャの1つもある。従来、データキャッシュといった場合、どのようなアーキテクチャが考えられただろうか。下記図のように、データベース層にキャッシュを持った場合、いかにアプリケーション層を多重化したとしても、データベース層がスケーラビリティ上のボトルネックとならざるを得ないのだ。すなわち、システム全体のスケーラビリティはデータベースを有するマシンスペックに依存する。
しかし、Sonic XISの分散XMLキャッシュ機構は、アプリケーション層にXMLキャッシュを分散させることができる。Sonic XIS側にはただ分散したキャッシュを集中管理する管理プロセスが存在するのみだ。これによって、最初は小さなハードウェアでシステムを立ち上げておき、データ量やシステムの規模が大きくなってきた場合には、XMLキャッシュによってデータを複数のマシンに分散させればよい。つまり、後々のマシン拡張を気にすることなく、システムのスモールスタートが可能となるのだ。
ただ、このように書くと、分散されたキャッシュデータ間の不整合は生じないのか、と不思議に思われる方もいるかもしれない。しかし、これは無用な心配だ。あるXMLキャッシュ(メモリ)上のデータが更新された場合、更新された情報はSonic XIS管理プロセスを介して、分散されたほかのキャッシュにも通知される。次に、更新されたデータが参照された場合には、古いデータは直ちに破棄されSonic XIS本体からデータの再読み込みが行われる。
このようにキャッシュ・メモリ主体の操作が行われるため、トランザクション処理に際してコミット時間が短縮できるというのも、分散キャッシュの大きな特徴といえよう。
Sonic XISの分散XMLキャッシュ機構 |
■豊富に用意されたツール群
もちろん、Sonic XISを構成するのは上記のようなコア・サービスばかりではない。Sonic XISの運用・保守性を裏付けする、ビジュアルな対話型ツールの存在はSonic XISを語るうえでは看過できない重要な要素といえよう。
DXE Manager
DXE Managerは、XMLデータストアやXML文書自体の管理をはじめ、アクセス権、ユーザー権限、分散キャッシュを集中的に管理するためのWindowsアプリケーションベースの対話型インターフェイスである。Microsoftエクスプローラに似たUIを提供し、視覚的にデータ資産を管理することができる。
Stylus Studio
今回取り上げたネイティブXMLデータベースベンダの中で唯一自社製の統合開発環境を提供するのが、このSonic XISである。Stylus Studioを利用することで、XMLアプリケーションを1つのツールで一元的に管理できる。ツール単体としても、米国で数々のアワードを獲得しており、すでに定評あるツールと思って間違いないだろう。以下に、Stylus Studioに含まれるいくつかのコンポーネントについて簡単に紹介しておく。
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Stylus Studioの主要コンポーネント |
XConnect
XConnectは70種類以上のデータソースからのデータマッピングを支援するマッピングツールである(有償オプション)。ネイティブXMLデータベースは、それ自体、完結した製品としても十分な威力を発揮するが、実際の運用局面ではレガシーなリレーショナルデータベースやそのほかのデータストアと連携しなければならない局面は少なくない。そのようなときにXConnectはこれらデータストアとのマッピング設定をビジュアルなアイコンのドラッグ&ドロップで行うことができ、単純なマッピングならばプログラムレスで実現することができる。
また、ユーザーアプリケーションからこのコネクティビティ機能を利用したいという場合には、GUIツールとは別に、APIベースのライブラリも用意されており、これを利用することでユーザーカスタムの要件を少ないコーディングで容易に実現することができる。
ビジネス連携を支えるSonic BPM/eCatalog Plus for XIS
Sonic Business Process Manager(Sonic BPM)やSonic eCatalog Plus for XIS(eCatalog)は、Sonic XISのモジュールというよりも、Sonic XISを1つのモジュールとして含む、統合ソリューション製品としての位置付けである。しかし、Sonic XISの魅力の1つは、総合的に用意された製品ラインアップの豊富さでもあるので、最後にこれら代表的な製品群について簡単に紹介しておくことにしたい。
まずSonic BPM。これは、ビジネス連携アプリケーションの開発・運用のためのプラットフォームである。ワークフローエンジンを内部に実装し、ワークフロー定義からワークフローの対象となるビジネスドキュメント、ユーザー情報、タスクなどをすべてXML形式で一元的に管理するのが特徴でもある。ビーコンITから提供されているXuras WorkFlowにも似ているが、こちらはebXMLやBizTalk、RosettaNetなど主要なフォーマットへの変換エンジンや、既存のERP/CRMと連携するためのEAIモジュールを用意している点で、ビジネス連携をより全方位的にサポートする製品に仕上がっているといえるのではないだろうか。
Sonic BPM |
そして、eCatalog Plus。こちらは日本独自で提供されたJavaベースのフレームワーク製品で、XMLデータベースを利用した電子カタログなどのWebアプリケーションを短期間で構築したい場合に利用できる。Sonic XISのダイナミックモデリングを前提とすることで、複雑に階層化された商品カテゴリや商品ごとに異なるデータスキーマの動的な変更を可能とする。
4/6 | EsTerra XSS |
Index | |
XMLデータベース製品カタログ 2003 〜ネイティブXMLデータベース編〜 |
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ネイティブXMLデータベース概要 | |
NeoCore
XMS フルオートインデックスで“超”高速を実現 XRAD開発を可能とする 三井物産株式会社/三井情報開発株式会社 |
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Tamino メインフレームのノウハウを受け継いだ堅牢なデータベースサーバ 株式会社ビーコンIT |
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Sonic XIS 統合的な製品ラインアップが魅力的のオールラウンドソリューション プログレス ソフトウエア株式会社 |
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EsTerra XSS 日本発、日本語環境に最適化されたデータベースサーバ 株式会社メディアフュージョン |
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Apache Xindice Apache Software Foundationから提供されるフリーのネイティブXMLサーバ The Apache Software Foundation |
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