.NET Enterprise ServersのXML度を探る
新野淳一
編集局
2000/12/12
各サーバのXML機能概要 |
マイクロソフトの「.NET Enterprise Servers」は、同社にとって初めてXML機能を本格的に実装したサーバ群だ。同社は、「.NET戦略」がまだNGWS(Next Generation Windows Services)と呼ばれていたころから、XMLを製品に取り入れていくことを明言してきた。それがついに実際の製品として登場してきたわけだ。
この記事では、マイクロソフトのサーバ群がどのようなXML機能を備え、XMLによってどのようなサービスを実現しようとしているのかについて解説していく。XMLを切り口にして、同社が提供しようとするソリューション、そしてサーバ戦略の一部が見えてくるだろう。
まずは、.NET Enterprise Serversを構成するそれぞれのサーバ製品が、どのようなXML機能を持つのか、表にまとめてみた。
製品名 | 主なXML関連機能 |
Windows 2000 Server | Internet Information Server、Message Queue Server、Transaction Serverなどを内蔵。BizTalk ServerやSQL Serverと連携した、XML文書やSOAPのHTTPなどによる通信 |
BizTalk Server 2000 | XML文書を取引先とやりとりするためのフローの定義などを行う「BizTalkオーケストレーション・サービス」。データをXML文書に変換したり、フォーマットのチェックなどを行う「BizTalkメッセージング・サービス」 |
SQL Server 2000 | 検索結果をXML文書化する「FOR XML」。データにスキーマ定義を当てはめて、XML文書化する「XMLビュー」。XML文書をテーブルに直接格納する「OpenXML」など |
Exchange 2000 Server
|
BizTalk Serverと連携した、SMTP経由でのメッセージの受信。Web Storage Systemのプロパティ情報 |
Commerce Server 2000 | XML形式によるカタログ情報の交換 |
Host Integration Server 2000 | BizTalk Serverと連携した「XML-to-Host統合」 |
Internet Security & Acceleration Server 2000 |
データの送受信にセキュアな環境を提供 |
Application Center 2000 | 内部で、ロードバランス用の情報交換にXML文書形式を採用 |
ところで、マイクロソフトのサーバ群は「BackOffice」と呼ばれていたはずだ。しかし「.NET戦略」のもとでは、サーバ群は企業のバックオフィスで働くのではなく、インターネット上でサービスを提供する役目をも負うことになっている。そうした事情から、新バージョンからは「.NET Enterprise Servers」という名称が使われることになったのだと推測される。
.NET Enterprise Serversの中で、SQL Server 2000とExchange Server 2000はすでに出荷が開始されている。今後、それ以外の製品も順次出荷が予定されているし、コードネーム「Tahoe」と呼ばれる文書管理サーバ、コードネーム「Airstream」と呼ばれるモバイルデバイス向けサーバなど、今後もいくつかの製品がさらに加わる予定だ。
では次のページから、各サーバのXML機能をチェックしていくことにしよう。
筆者注 この記事は、筆者自身がマイクロソフトへの取材や関連情報、ベータ版の情報などを集めて記事としてまとめたものであり、マイクロソフトの公式情報ではありません。記事の執筆にあたり、情報の正確さについては注意を払い、またマイクロソフトからは情報提供などのご協力をいただきました。しかし、万が一この記事に間違いがあった場合、その責任は筆者にあります。 この記事の末尾にはマイクロソフトと@ITによる共同アンケートが用意されています。本記事は、このアンケートとは独立して企画・執筆されたものであることを、お断りしておきます。 |
「BizTalk Server 2000」 |
Index | |
.NET Enterprise ServersとXMLの関係 | |
各サーバのXML機能概要 | |
BizTalk
Server 2000 BizTalkオーケストレーション・サービス BizTalkメッセージング・サービス |
|
SQL Server
2000 FOR XML句 XMLビュー URLクエリ OpenXML |
|
Exchange、Commerce、そのほかのサーバ Exchange 2000 Server Commerce Server 2000 Host Integration Server 2000 Internet Security & Acceleration Server 2000 Application Center 2000 Windows 2000 今後どんなXML機能が追加されるか? |
|
- QAフレームワーク:仕様ガイドラインが勧告に昇格 (2005/10/21)
データベースの急速なXML対応に後押しされてか、9月に入って「XQuery」や「XPath」に関係したドラフトが一気に11本も更新された - XML勧告を記述するXMLspecとは何か (2005/10/12)
「XML 1.0勧告」はXMLspec DTDで記述され、XSLTによって生成されている。これはXMLが本当に役立っている具体的な証である - 文字符号化方式にまつわるジレンマ (2005/9/13)
文字符号化方式(UTF-8、シフトJISなど)を自動検出するには、ニワトリと卵の関係にあるジレンマを解消する仕組みが必要となる - XMLキー管理仕様(XKMS 2.0)が勧告に昇格 (2005/8/16)
セキュリティ関連のXML仕様に進展あり。また、日本発の新しいXMLソフトウェアアーキテクチャ「xfy technology」の詳細も紹介する
|
|