エミュレーション (emulation)
「emulation」は「真似」、「模倣」という意味。コンピュータ関連では、本来のハードウェアやソフトウェアと同じ機能を、別のハードウェアやソフトウェアが「真似る」ことを指してこう呼ぶ。エミュレーションを行うソフトウェアやハードウェア・システムはエミュレータと呼ばれる。
例えば、IBMのメインフレーム・コンピュータ用として広く普及した3270端末をエミュレートするPC用の拡張カードが販売されている。この3270エミュレータ・カードをPC互換機に装着することで、3270端末として振る舞うことが可能になる。この場合3270エミュレータは、3270端末とホスト・コンピュータとの間でやり取りされるプロトコルをエミュレートし、ホスト・コンピュータから見ると、それがあたかも3270端末であるこのように振る舞う。最近では、PCの性能が大幅に向上したことから、高価なハードウェアに代わってソフトウェアでこれをエミュレートするものなどが増えてきている。
コンピュータ関連のハードウェア/ソフトウェアでは、非営利の標準化組織が規定したものではなく、特定の製品が広く普及したことによって、これが事実上の標準仕様となる、いわゆる業界標準(デファクト・スタンダード)が確立されることがある。しかしこの業界標準は、あくまで一私企業が製造した製品が結果的に標準的になったものであり、仕様などは正式には公開されないことがほとんどである。このため業界標準となった製品と対抗する製品を製造するメーカーは、仕様を独自に分析して、それらと同じように機能する(エミュレーションする)と同時に、元の製品にはない機能拡張を行ったり、元の製品よりも高速に処理できるようにしたり、販売価格を低下させたりして差別化を行い、市場競争を繰り広げる。このような製品は一般に「互換製品」などと呼ばれる。
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