NTFS (NT filesystem)
【エヌ・ティー・ファイルシステム】
別名
・NTFSファイルシステム (NTFS filesystem) 【エヌ・ティー・エフ・エス・ファイルシステム】
Windows NTのために開発された新しいファイル・システム。MS-DOSやWindows 9xで利用されている従来のFATファイル・システムと比べると、堅牢性やセキュリティ、パフォーマンスなどに優れ、Windows NT/2000/XPにおける標準的なファイル・システムとして利用されている。
NTFS以前には、DOSやWindowsで利用できるファイル・システムとしてはFATファイル・システムしかなかったが、Windows NTが求める機能や性能、信頼性などに欠けていたため、新たにNTFSが開発された。NTFSは次のような特徴を持つ。
■大容量ディスク/ファイルのサポート
NTFSでは、1ボリュームのサイズは最大で2の32乗セクタまでなので(理論的には2の64乗セクタおよび2の64乗クラスタまで可能)、ボリュームの最大サイズは2Tbytesまで利用できる。またファイル・サイズの最大は2の64乗まで利用できる(FAT16ファイル・システムでは2の32乗=4Gbytesまで)。
■RAID構成による性能/耐障害性の向上
ディスクをRAID0(ストライプ・ボリューム)、RAID1(ミラー・ボリューム)、RAID5(パリティ付きストライプ・ボリューム)構成にして、アクセス性能や耐障害性を向上させることができる。ただしRAID5を利用するためには、Windows NT ServerもしくはWindows 2000 Serverが必要。
■トランザクション・ログによるジャーナリング・ファイル・システム
ファイルの更新や作成処理の途中で電源断などの障害が発生した場合は、ファイル・システムへ行った適用のログ(トランザクション・ログ)に基づいてその処理をロールバックし(元に戻し)、ファイル・システムに不整合が起こらないようにしている。FATファイル・システムでは、このような障害が発生すると、FATの内容が壊れたり、未使用クラスタの情報が間違って記録されたりして、ファイル・システムにダメージを受けることがあるが、NTFSではその影響は最小限に抑えられる(注意:ジャーナリング機能は、書き込んだデータが失われるのを防ぐのではなく、あくまでもファイル・システムの不整合が起こらないようにするのが目的)。
■B+ツリーによるディレクトリ・エントリの記録
ディレクトリ・エントリに対するファイル名の記録はB+ツリー構造を使っているので、単一のディレクトリに多数のエントリが存在していても、検索やアクセスが高速である(FATでは、エントリ数が増えると、それに比例してアクセス時間が増える)。ファイル名はすべてUnicode文字列で格納されているので、複数の言語バージョンが混在する環境でも相互運用性が高い。
■ACLに基づいたセキュリティ制御
NTFSでは、各ファイルやディレクトリごとにACL(アクセス制御リスト)を設定し、ユーザーやグループに対してアクセス権の設定(読み出し、書き込み、走査、作成、削除などの許可/不許可の設定)や、監視の設定(ファイルを読み書きしたことなどを監視する)を行うことができる。
■複数のデータストリーム
NTFSでは、1つのファイルの中に複数のストリームを格納することができる。これにより、例えばMacintosh向けファイル・サービスで利用されるデータ・フォークとリソース・フォークを単一のファイルに格納することができる。
■ディスク・クォータ機能
NTFS上のファイルやディレクトリにはそれぞれ所有者が設定されるが、これを使って、各ユーザーごとのディスクの使用量を把握し、あらかじめ設定されたサイズ以上の利用を制限することができる。
■圧縮機能
ファイルやフォルダ、ボリューム全体の内容を圧縮して、ディスクの容量を見かけ上増やすことができる。圧縮は個々のファイルやフォルダごとに設定できるので、ユーザーや目的に応じてきめ細かく圧縮機能を適用することができる。
■暗号化
Windows 2000のNTFSでは、ファイルやフォルダの内容を暗号化してディスクに記録することにより、例えばディスク・ドライブそのものが盗難にあったとしても、その内容を読み出せなくするEFS(Encrypting File System)の機能が追加された。
■リパース(再解析)ポイント機能
NTFSサブシステムの機能を拡張するリパース・ポイントにより、フォルダやボリュームのマウント機能(複数のボリュームを1つのツリーにまとめる機能)を実現している。
■スパース(疎な)ファイルのサポート
ある種のアプリケーション(データベースなど)では、ファイルのほとんどの部分が無記録状態(空)になっていて、実際にデータが記録されている部分が非常に少ないという場合がある。このようなファイルをスパース(疎な)ファイルといい、NTFSでは、実際にデータが記録されていない部分に対してはファイル・クラスタを割り当てないようにできる。これにより、無駄なクラスタを割り当てることなく、スパース・ファイルを効率よくサポートすることができる。
■分散リンク・トラッキング・サービス
あるローカル・コンピュータやドメイン内で、NTFS上のファイルを移動したり、名前を変更したりしたことを外部から追跡するサービス。これにより、ローカル・マシンやドメイン内のNTFS間でファイルを移動させたりしても、OLEのリンク先やショートカットのリンク先が検索され、正しく移動先を指すように自動的に修正が行われる。
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