2001年の展望:Webサービスに希望を託すソフトウェアベンダー各社
2000/12/26
(12/21/00, 8:19 a.m ET)By Antone Gonsalves, TechWeb
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ソフトウェア大手各社は未来を目にしている。彼らの未来にはWebサービスが広がっている。
建設機械のオンラインマーケットプレイスであろうと、旅行会社のオンラインサービスを統合する企業のポータルであろうと、次世代のビジネスツールは今後もインターネットの力(そして到達度)を活用し続けるだろう。
足りないものは何だろうか?熱狂的なカスタマーベースや、異種システムとアプリケーションの連携を司る標準だ。
調査会社Giga Information Groupのアナリスト、Mike Gilpin氏によれば、「これまでWebサービスのようなものを持とうと考えたことのなかった人々が急に参入を検討しはじめている」とのことだ。
また、一連のXMLベースの独自スキーマ(UDDIやWSDLにはじまり、XAMLやSOAPまで)の開発が続く一方で、2001年に、本当の標準に少しでも近いものが登場する可能性は低いと見る向きもある。つまり、ベンダー各社が約束する密接に統合されたマルチプラットフォームWebサービスの登場はさらに先になるかもしれないということらしい。
同じくGigaのアナリストであるUttam Narsu氏が言うように、これらはすべて今のところ砂のように非常にもろい状態にあるからだ。それでもNarsu氏は、明らかに形ができつつある、と付け加えた。「来年は、おそらく非常に堅牢な結束が見られるだろう」(Narsu氏)
先行するIBMとMicrosoft
その上、開発途上のこれらの標準を強化することのできる多数の新しい開発ツールも登場しようとしている。そして、おそらく、これらのツールは次世代Webサービスの開発の使命を課せられたプログラマーの作業を楽にしてくれることだろう。
では、どのベンダーが最前線にいるのだろうか?Gigaのアナリスト、Mike Gilpin氏はIBMとMicrosoftを選ぶ。
その理由を、「両社は自分がイメージするWebサービスの核心に最も近い位置にあるから」とGilpin氏はいう。
IBMは、自社のWebサイトで「Web Services Toolkit」という90日間有効の無償試用版を提供している。これはランタイム環境で動作し、Webサービスの設計方法や実行方法を提供してくれる。SOAPメッセージを「MQSeries」(IBMのメッセージングミドルウェア)上へ移行することを支援する機能もある。しかも、Enterprise JavaBeans(Javaベースアプリケーションのコンポーネントモデル)の修正にも利用できる。
このツールキットは、来年前半にIBMの「VisualAge」開発ソフトウェアに組み込まれる予定だ。同社の「WebSphere」アプリケーション・サーバもWebサービスをサポートするという。
一方、Microsoftは11月に、同社初の「Visual Studio.Net」の公開テストバージョンを投入した。このツールを用いると、WebベースのアプリやサービスをWindowsで構築することができる。テストバージョンは無料となっており、最終リリースは来年後半に予定されている。
IBMやMicrosoftは独自に進めているわけではない。両社は今後発展する標準に従っている。その一方で、Oracleは自社の方針に従っている。
標準化の中心となるUDDI、SOAP
現在発売中となっている同社の「Oracle 9i Dynamic Services」ソフトウェアは、同社の8iおよび9iの両データベース上でWebサービスを構築するデベロッパーを支援するという。
だがGilpin氏によると、これにはSOAP技術などとは具体的な関連性はないという。概してOracleは、どちらかといえばこれまでよりも一匹狼的なアプローチをとっている。
Gilpin氏によると、「それでも、これまでの歴史から、カスタマーの需要があればOracleが標準に取り組む可能性は高い」という。
だが、カスタマーの需要に希望を託すのは困難なようだ。専門家によると、企業各社は今のところ、新しいアーキテクチャを導入するための魅力的な根拠を見いだせずにいるという。
現時点では、関心を示しているのは旅行代理店のような企業だけだという。Web上で標準化された形で自社サービスを提供したいと考える業種だ。各社はまた、Gilpin氏によれば「あまり標準化されていない」というメカニズムで、既にある程度は実現している。
その1つがUDDI(Universal Discovery Description and Integration)で、これはWeb上でサービスを見つけ出す手法を定義してくれる。そしてもう1つがWSDL(Web Services Description Language)で、これはサービスとその提供者の記述方法の標準化を試みている。
UDDIの創案者であるMicrosoft、IBM、そしてAribaの各社は、UDDIレジストリを導入している。そして、Oracle、Sun Microsystems、そしてHewlett-Packard(HP)を含むほかの十数社の企業はUDDIを支持し、1年以内に標準化団体に渡される同仕様の開発に参加した。
IBMとMicrosoftは、UDDIコンソーシアムが現在レビューを行っているWSDLにも関与している。同仕様も標準化団体に提出される予定だ。
MicrosoftとIBMが支持するもう1つのスキーマがSOAPだ。これはXMLフォーマットのメッセージを使ってアプリケーションからリクエストを出し、そのリクエストに応答する方法を記述したものだ。SOAPはプラットフォームに依存しないため、アプリケーションがMicrosoftのWindows 2000上で動作していようと、SunのSolarisOS上で動作していようと構わない。
Worldwide Web Consortium(W3C)ではXMLプロトコル作業グループでSOAPの評価を進めているが、関係者によれば、この仕様はこの作業グループにとって重要ではあるが、これが標準となることが保証されているわけではないという。
XAML(Transaction Authority Markup Language)も、HP、IBM、Oracle、そしてSunなどの大手ベンダーが支持を表明している。XAMLは基本的に、アプリの1つが障害を起こした場合に、複数のWebサービスが関連するトランザクションにブレーキをかけてくれるものだ。これにより、完了していないトランザクションの記録が企業システムに残らないことが保証される。
各社では、2001年の半ばまでに公開レビューのために仕様を用意する予定だ。そして、その時点で標準化団体に渡されることになる。
[英文記事]
Outlook
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