Javaの先を見据えるWebアプリサーバベンダー

2001/1/18
(01/15/01, 8:34 a.m. ET) By Antone Gonsalves, TechWeb News

 Sun Microsystemsは来週、Javaエンタープライズプラットフォームの最新バージョンを披露する。J2EEはWebアプリケーション開発のスターとなったが、間もなく、インターネット上でビジネスを行う企業のために登場する別の手法とスポットライトを共有することになりそうだ。

J2EEの新バージョン、発表

 JavaのクリエーターであるSunと同社のパートナー各社は1月16日、カリフォルニア州サンフランシスコでメディア関係者やアナリストと会合を開き、その中で利用が可能なサービスや技術を定義する多数の仕様を包含したJavaエンタープライズプラットフォームの「Java 2 Enterprise Edition v1.3」を披露した。これらのサービスには、トランザクション管理やメッセージングのほか、Enterprise JavaBeanコンポーネントモデルやダイナミックWebページ生成のためのJava Server Pagesも含まれている。

 J2EE v1.3は紙の上では完成しており、同プラットフォームのリファレンスインプリメンテーションは2001年6月4〜8日に米サンフランシスコで開催されるJavaOneデベロッパーカンファレンスの呼び物となる。

 この技術に詳しい専門家によれば、最新バージョンの特徴は、JMS(Java Messaging Service)とEJBコンポーネントモデルが統合され、メッセージングミドルウェアを使って異なるプラットフォーム上で動作するEJBアプリケーションとソフトウェアを接続しやすくなることなどだという。

 また、コンテナ管理の持続的有効性の仕様が改善され、EJBとデータベース間のトランザクションを書く際のコーディング量が大幅に削減される。

 J2EEはJavaアプリケーションサーバ構築の際に使用される仕様を定義している。Javaアプリケーションサーバは、EC(電子商取引)アプリケーションをはじめとするビジネスに不可欠である、各種アプリケーションの実行、管理、そして保守に必要なインフラを提供する。

“注目技術はJavaだけではない”とベンダー

 J2EEの来週の披露に協力するアプリケーションサーバベンダー各社は、この技術の重要性を強調するとともに、Web開発の未来には新たに出てくるXMLベースの技術も含まれると見ている。これらの技術は、まとまればアプリケーションをWebサービス(2000年10月13日付け記事「MSとIBMが手を組み推進する「Web Services」とは何か」参照)として公開することにより、Web上で企業各社を結びつける接着剤の役割を果たすようになる。これが実現すれば、基盤のプラットフォームとは関係なくアクセスできるようになる。

 今後発展する技術としては、UDDISOAPWSDL、そしてXAML(Transaction Authority Markup Language)などがある。このうち、SOAP(Simple Object Access Protocol)は既にWWW Consortium(W3C)に提出済みで、ほかの技術はさまざまなベンダーグループによって開発が進んでいるところだが、どのベンダーグループも独立した標準化団体への作業引き渡しを約束している。

 Iona TechnologiesのJ2EE製品担当ディレクター、Simon Pepper氏は、「われわれは自社のアプリケーションサーバ製品が確実にJ2EE標準を満たすよう務めるとともに、今後、どう展開し、新興Webサービスの仕様や技術にどのように取り組むのかを検討しているところだ」と語る。Pepper氏によれば、Ionaでは4月までに自社製品でSOAPをサポートする計画だ。

ISVが牽引するWebサービス

 Bluestone Softwareのエンジニアリング担当上級副社長、Al Smith氏によると、業界内で最も勢いのある話題はWebサービス関連のものだという。「多くのISV(独立系ソフトウェア・ベンダー)はこの方向に進んでいる。市場では、ISVが市場の方向性を予想し、ITの現場を構築する人々はISV各社が始めた方法論に従う傾向が強い」(Smith氏)

 Java開発ベンダーでもあるIBMがXMLベースの新興技術をサポートすることを発表したほか、Microsoftもこの動きに続いた。同社のWebサービスの概念は、「Microsoft.Net」と呼ばれ、JavaではなくXMLとWindowsOSにフォーカスしたMicrosoftのインターネット戦略のコアとなっている(2000年6月24日付け記事「米Microsoft、新世代インターネット戦略を発表 」参照)。

 Giga Information Groupの業界アナリスト、Mike Gilpin氏は、「Webサービスをインプリメントするための機能としては、競合する2種類のスタックが登場するだろう。Microsoft.Netスタックと、J2EEスタックだ。多くの人々は、それぞれの特定の状況に応じて、いずれか一方、そしておそらく両方を使うことになるだろう」と予測する。

 一方、SunのパートナーでJavaライセンシーのOracleは、「Dynamic Services」という同社版のWebサービスを発表したが、これは業界によってサポートされる仕様とは異なる。

 Sunは自社のWebサービス戦略について口を閉ざしているが、Gilpin氏によると、同社はあまりにもJavaにフォーカスしすぎたという。「そのため、Javaは重要ではあるが全体の一部に過ぎない、という大局が同社に見えなくなっている」(Gilpin氏)

 IBMのWebSphereソフトウェアアプリケーション担当ディレクター、Scott Hebner氏は、「実際には、J2EEは、完全な環境の一部に過ぎないにもかかわらず、SunはJ2EEを完全な環境にすることにこだわり過ぎている。XMLやWebサービスのないJ2EEは不完全な環境なのだ」と語った。

 Sunの女性スポークスマンは、SunのWebサービス戦略について語るのは「時期尚早」だとし、同社は2月の初めに発表を行う計画であると加えた。

[英文記事]
Web App Server Vendors Look Beyond Java

[関連リンク]
SunによるJ2EEプレスイベントに関する発表資料

[関連記事]
2001年の展望:Webサービスに希望を託すソフトウェアベンダー各社 (TechWeb/@ITNews)
MSとIBMが手を組み推進する「Web Services」とは何か(@ITNews)
米Microsoft、新世代インターネット戦略を発表 (Windows 2000 Insider)
SOAPの正体、その目論見 (XML eXpert eXchange)
Javaへの規制を緩和するSun (TechWeb/@ITNews)
Webアプリケーションにおける サーバ・サイドJavaの効果的な利用 (Java Solution)
Java Solution FAQ (Java Solution)

Copyright(c) 2000 CMP Media Inc. All rights reserved

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)