Webアプリの開発を容易にするMicrosoftのVSA

2001/1/19
(01/16/01, 9:36 a.m. ET) By Barbara Darrow, TechWeb News

 MicrosoftはVisual Basic for Applications(VBA)でポイント&クリックのデスクトップアプリケーション向けプログラミングモデルを先駆けた。今度はそれを、Web上で提供するバックエンドのアプリケーションに対応させたいと考えだ。

容易な操作が売りのVBA

 同社は1月16日、「Visual Studio for Applications」(VSA)を公開し、ベータ版をリリースした。このIDE(Integrated Development Environment)を利用すればISV、インテグレーター、および法人のITの現場で、VSAのプログラムが容易に書けるようになる。(3行程度のコードさえあれば)ユーザーが自分のブラウザを使ってサーバ上で動作する業務ロジックにアクセスできるからだ。そして、デベロッパーズ・ワークベンチを使うことにより、自分の書いたサーバベースのアプリケーションのコードをカスタマイズすることができる。

 過去には、VBAはMicrosoft Excelにバンドルされ、各アプリケーションベンダー各社がライセンスを取得した。VBAがプログラムのカスタマイズが容易に行えるのと同様、VSAでは、デベロッパーがポイント・アンド・クリックで同様のカスタマイズを行えるようにしてくれるという。その上、製品を利用すれば、たとえレガシーなバックエンド・アプリケーションであっても、Web上で利用可能となる。

 Microsoftによれば、完成したアプリケーションが、Webフォンなどの各種ハンドヘルドデバイスから標準のPCまで、さまざまなデバイスで表示できるようコードをチューニングすることが可能だという。

 アプリケーションをさまざまなデバイスに対応させる場合、現在ある選択肢としては、ソースコードをチューニングする(複雑で時間がかかる)、コンサルタントに依頼する、もしくはプラグインを利用するしかない、とVisual Studioのプロダクトマネジャー、Robert Green氏は説明する。また、Visual Studioの技術プロダクトマネジャー、David Edson氏は、「今ある選択肢は、Oracleのアプローチのようにカスタマイズを行わないか、Sunのアプローチのようにソースコードをいじり回すことだけだ」と語った。

 Windowsベースのシステム管理ソフトウェアメーカー、NetIQの製品管理ディレクター、Scott Hollis氏は同ソフトウェアを評価して、次のようにコメントした。「今のところ、弊社はプラットフォーム抜きでバンドルされた別のスクリプト開発・実行プラットフォームを使用している。この方法では、ユーザーフレンドリーでない上、カスタマーも満足していない。われわれでは、さらなる前進としてActiveScriptに移行するが、VSAはさらにその上を行くだろう」(Hollis氏)

 同氏によれば、VSAによる統合で、NetIQソフトウェアのユーザーが一定の条件下で行うべき是正処置を指定するなど、データ収集をカスタマイズできるようになるという。

.NETの足固めを着々と図るMS

 Microsoftでは、VSAを、同社が提案している.Netフレームワークの重要なパーツと位置付けており、評論家がVSAをWindows寄りだと描写するのは確実だ。Microsoftの幹部によれば、実際、ランタイムおよびVB.NetのサーバアプリケーションはWindowsに依存しているが、どのブラウザからでもアクセスすることができ、どのXML言語を使っても外部のアプリケーションと連動が可能だという。ユーザーのブラウザがサーバベースの業務ロジックにリクエストを送り、これがVSAのカスタムコードを読み込むようになってる。彼らによると、このコードはVisual Basic.Netと同じコンパイラによってコンパイルされ、アップデートのためにサーバを落とさずに済むようキャッシングされるという。

 The Meta Groupのアナリスト、Melinda Ballou氏によると、VSAはMicroosftにとってクリティカルなある強みを活用できるという。既存の数百万人のVBデベロッパーが、非常に短期間で作業を開始できるようになるのだ。

 「Microsoftは、標準インタフェースを使うことで複雑なプログラミングに使いやすさを組み込もうと試みている。作業をとにかく迅速にこなす、という点に関しては、VBは知名度が高く、価格も低い。皆が知っていることだ」(Ballou氏)

 Microsoft Programmabilityのプログラムマネジャー、Frank Gocinski氏によれば、MicrosoftはVSAのランタイムにではなく、デベロッパーに対してライセンス料を課金する。その価格設定の詳細はまだ決まっていない。

 同製品の最初のバージョンはVisual Basic.Netをサポートし、2番目以降のバージョンでは、Microsoftが「そのほかの.Net言語」と呼んでいるC #、COBOL、およびFortranをサポートする。

 Javaに関しては、「Sunの参加は大いに歓迎する。われわれには支援の用意もある」とEdson氏は語っている。

[英文記事]
Microsoft's VSA To Ease Web App Development

[関連リンク]
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