PtoPベンダーの課題は価値の証明
2001/2/17
(02/12/01, 9:04 p.m. ET) By Antone Gonsalves, TechWeb
News
音楽ファイル交換サイトのNapsterで有名になったピア・ツー・ピア(PtoP)技術を販売するベンチャー各社は企業システムに対応できるとしているが、企業側ではどうなのだろうか?
Web経由でのファイルおよび処理能力の共有を可能にする分散コンピューティングプラットフォームを手に入れた多くのベンダーが2月14日から17日まで、カリフォルニア州サンフランシスコに集合し、O'Reilly Peer-2-Peer Conferenceで各社の技術をデモンストレーション中だ。
だが、このカンファレンスはIT部門よりもベンダー各社の関心を呼ぶものと思われる。技術調査会社、Curridの社長、Cheryl Currid氏は、「平均的なITマネジャーはPtoPが自分たちに何をもたらすのかを完全に把握しきれていない」と語る。
しかし、これを勢いが付いていないと解釈すべきではない。業界大手のIntelでは、22社のメンバーからなる業界の企業連合を率いてPtoPの業界標準の草案作成を進めているし、将来有望な技術に資金提供するベンチャーキャピタルはいくらでもある。
エンタープライズにとっての懸念はセキュリティ
エンタープライズ市場に入り込むためには、ベンダー各社が自分たちの技術はセキュリティに対処していることを証明する必要があるだろう。セキュリティはIT部門にとって最大の懸念事項だからだ。
「これらのPtoPアプリケーションに組み込まれているセキュリティに関する知識を少しでも深めてもらえれば、この懸念な問題は解消するだろう。業界は問題に取り組み、うまく対処している」(Currid氏)
たとえば、Intelは先日、ピア・デジタル署名、セキュアストレージ、認証、そして暗号技術をサポートするAPIを含んだ「Peer-to-Peer Trusted Library」と呼ばれるセキュリティソフトウェアコードを公開した。
多くのPtoP製品は、認証を通じて情報へのアクセスをコントロールしたりデータを暗号化するネットワーク運用ツールをユーザーに提供している。さらに、多くのPtoPネットワークは社内ファイアウォールの内部で構築されている。
これまでのところ、同技術の最も有力な使用方法としては、インスタントメッセージング(IM)やチャットなどのコラボレーション機能を含むデスクトップユーザー間のファイル共有や、ビデオ編集や科学分野の数理計算といった膨大な処理能力を必要とするアプリケーションの実行に休眠状態のPCを活用する機能などがある。
工夫を凝らしたベンチャー企業のPtpP製品
専門家によると、利用可能なコンピューティングリソースの有効利用や、コラボレーションで実現する使いやすさをもっと活用すれば、大企業はPtoP導入で最大の投資利益率(ROI)を実現するという。大半のPtoPソフトウェアでは、ITの介入を必要とすることなく小規模チームの共同作業を実現するが、これは、よりパワフルだが複雑なLotus Notesのような製品では不可能だ。
O'Reillyカンファレンスに集まる若手企業の1つに、Lotus NotesのクリエーターであるRay Ozzie氏が設立し、マサチューセッツ州ビバリーに本社を置く、コラボレーションソフトウェアメーカーのGroove Networksがある。
ほかの参加社には、Roku Technologies、Ikimbo、Entropia、およびConsilientの若手各社がある。これらはすべて非公開企業だ。
Rokuは、ユーザーが自分のPCをインターネット上でリンクし、電子メールのやり取りやMicrosoft Officeのファイルを共有して作業を進められるようにする「Roku Access」を開発している。月末に出荷予定の「Roku Share」では、Rokuが「キューブ」と呼ぶフォルダライクなアタッチメントにユーザーがドキュメントを収集し、そのアタッチメントを電子メールでほかの人々に送信できるようになる。Roku ShareにはAccess用のプラグインかスタンドアロン製品がある。同社の社長兼CEO、Chuck Ennis氏によると、AccessはHewlett-Packard(HP)がライセンスして社内ポータルソフトウェアに組み込んでおり、3COMではこれをブロードバンド製品に添付して配布しているという。
Consilientは、まだ名前の決まっていないファイル共有アプリケーションを初春に発売する。このコラボレーションソフトウェアは、グループプロジェクトで発生してくる小規模で柔軟な作業をターゲットにしている。PCにインストールされた「Personal Peer」を使えば、ユーザーがドキュメントを収集し、これらを「サイトレット」と呼ばれるファイルにパッケージングして、これをネットワーク上のだれにでも渡すことができるという。ほかの機能としては、サーバ上に読み込まれ、バックエンドのERPアプリケーションとネットワークを統合し、請求したビジネス関連ドキュメントをユーザーに公開する前にサイトレットに自動的に登録してくれる「Metro Peer」がある。Metro Peerはさらに、IT部門にデータのアクセスコントロールも提供する。Consilientは、同社の製品を試験およびサイトライセンスで販売するが、価格はまだ明らかになっていない。
Ikimboは、オンラインチャット、IM(インスタントメッセージング)、そしてファイル共有を実現する「Omniprise」を開発している。創業者兼会長のJamey Harvey氏によると、同社のカスタマーにはコンサルタント会社のPricewaterhouseCoopersなどがあるという。Ikimboは、Omnipriseのホスティング料金として、1カ月平均8000ドルを設定しており、ライセンス料金は1本で平均10万〜20万ドルとなっている。
Entropiaの技術は、処理に対する要求の高いアプリケーションの処理を、多くの中小企業にとって手が届かない大型の中央コンピュータを使うのではなくPC全体に分散できるようにしてくれる。Entropiaは、1万3000〜1万4000台のコンピュータがつながる同社のネットワークを各社が利用できるようにしてくれる「Entropia 2000」と、組織内に導入される「Entropia 2000 Enterprise Server」の2つの製品を販売している。同社は、Webサイトのテスト、生命科学(ライフ・サイエンス)、そしてビデオゲームや映画製作といったデジタルメディアの3つの業界をターゲットにしている。
[英文記事]
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[関連リンク]
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