IDF開催目前:サーバへのシフトを明らかにするインテル

2001/2/28
(02/25/01, 4:57 p.m ET)By Mark Hachman, TechWeb News

 インテルは、現地時間2月27日、カリフォルニア州サンノゼでIntel Developer Forum(IDF)を開催する。同社はこのカンファレンス中、カスタマーに対し、同社の新しい64bitsアーキテクチャであるItaniumへの移行を促進するものと思われる。

 インテルはこのイベントに、カスタマー、デベロッパー、アナリスト、そしてメディアを招待している。今回のIDFでは、従来の事業であるPC用マイクロプロセッサ事業へのフォーカスを縮小し、マージンで勝るサーバや基幹業務向けコンピューティング技術の事業へのフォーカスを拡大するという同社の方向性を明らかにするだろう。

 同社エンタープライズプラットフォームグループ担当副社長兼ゼネラルマネジャーのMike Fister氏は、「IDFの内容の大部分はデスクトップ関連だが、今年の(プレゼンテーションの)内容の50%はサーバ関連になるだろう。これはわが社におけるサーバとe-ビジネスの両方の状況を示したものだ」と語る。

 インテルは同イベントで、Pentium IIIと4が採用する32bitsアーキテクチャから、新しいアーキテクチャであるItaniumへの移行について、カスタマーにそれぞれ自由に語ってもらうよう促すと思われる。

 情報筋では、出展各社がInfiniband I/Oチップが動作しているデモを行うと見ており、中でもServerWorks社は、「Foster」(Pentium 4のNetBurstバスをベースにして近日中に登場するサーバ向けプロセッサ)用の2/4Wayチップセットについて明らかにするはずだという。

 また、インテルが最大のライバルであるAdvanced Micro Devices(AMD)の行った「HyperTransport」の発表に対して反撃に出ることも予想している。AMDのHyperTransportは、単純にいえばAMDのサーバ市場進出を可能にするチップセット間接続技術として開発されたものだ。これに対し、インテルが同社の開発した補完的なHub Architectureをライセンス向けに公開するというのが観測筋の見方だ。

 だがアナリストの望みは、マイクロプロセッサ関連のインテルの発表を聞き、サーバ市場における同社の未来を示唆する重要な手がかりを収集することだ。 

 Fister氏によると、インテルは2Mbytesのオンチップキャッシュを搭載するPentium III Xeon/900MHzを「間もなく」発表し、Fosterの第2四半期発売を正式に認める予定だという。また同社広報が正式に認めたところによると、700MHzの低消費電力モバイルPentium IIIの発表も行われるという。

 インテルの経営陣は、自社のメモリ戦略を再度明らかにする説明会を開催する。アナリストは、この説明会で、Pentium 4がBrookdaleチップセットを使ってどのように同期メモリと組み合わされるのかがもっと明確になると期待している。

 Fister氏によると、最後に、「前々からわれわれが明らかにしていたように、今から数カ月以内、2001年の前期中」にItanium 64bitsプロセッサ量販を示す「プラットフォーム・ローンチ」を実施する予定だという。だがこれは、この質問がいつなされたかにもよる。アナリストは、Itaniumが早ければ1999年の終わりに市販される予定だったことをちゃんと記録している。

 最初のバージョンである「Merced」は、Fargo BankやMayo Clinicなどをはじめ世界120社のカスタマーに向け、いわゆる“パイロットリリース”の形で試験的に提供された。

次世代Itanium、McKinleyの詳細も焦点に

 次世代Itaniumプロセッサである「McKinley」の詳細についても注目されている。インテルの幹部が先に語ったところによると、同社ではMcKinley(Mercedの後継にあたる64bitsプロセッサ)が、64bitsチップであるMercedの2倍のパフォーマンスを実現すると期待している模様だ。

 カスタマーにとっての問題は、MercedやMcKinleyの64bitsの能力をどのようなアプリケーションが必要とするのかという点と、コストが安く、パフォーマンスがMercedに近いと予想されるFosterとのすみ分けといった点だ。

 一部のカスタマーにとっては、この移行は難しいことではない。Insight64のアナリスト、Nathan Brookwood氏によると、32bitsのアプリケーションは現在、メモリアドレス空間が4Gbytesに制限されているが、ハイエンドのアプリケーションはより多くのアドレス空間を必要とするだろうという。「もっと大きなアドレス空間を必要とする人々はItaniumになびくだろう。もし32bitsアドレス空間でも事実上問題がなければ、Xeonを使い続けるだろう。こちらの方が作業が楽だからだ」(Brookwood氏)

 ヒューレット・パッカード(HP)のUNIXサーバ事業部で製品マーケティングディレクターを務めるJohn Miller氏によると、Mercedの共同設計者であるHPは、Itanium専用にいくつかの未公開製品をリリースするという。同社の既存製品のいくつかはIntelの64bitsチップに変更が可能なものの、MercedにではなくMcKinleyにだけ対応としている。

 Miller氏はItaniumのスケジュールの遅れに関して、「逆に、これはわれわれにとってはありがたかった。ご存じのように、新しいアーキテクチャの登場によるシステムなどの変更は、大企業にとってかなりの負担となる。これは両刃の剣のようなもので、カスタマーのためにも、準備を整え強力な移行プランを用意したい」と語る。「逆に、われわれの計画を再評価ならびに再調査することは不変の課題でもある」(Miller氏)。インテルの幹部は先のプレゼンテーションで、“Itaniumは単なる開発手段であって、実際に収益を上げる製品ではない”との見解を激しく否定している。

 Fister氏は同社にとって初めてとなるサーバ市場への進出について、「ItaniumはPentium Proプロセッサのようなもの。そして、McKinleyはPentium IIに似ているかもしれない。ItaniumよりもMcKinleyの方が出荷量が多くなると仮定するのが妥当だ」と語った。

 だが、Fosterがこの競争での穴馬となるかどうか思いを巡らせているアナリストもいる。MicroDesign Resourcesのアナリスト、Peter Glaskowsky氏だ。「McKinleyとFosterの詳細が知りたい。われわれは、実際のサーバアプリケーションでMcKinleyがFosterを上回るかどうかを調べる必要がある」とGlaskowsky氏は語る。

 同氏はさらに、「Fosterは九分どおりMercedよりも優れたものとなるだろう。そして、もしMcKinleyがFosterを上回ることができないのであれば、(インテルにとって)大きな痛手となる」と加えた。もしそうなれば、遅ければ2004年まで、64bits製品からは収益が上がらないことになり、これでは「インテルのつぎ込んだ10年分の研究開発への投資がまったく回収できなくなることを意味する」からだという。

 2月26日、インテルは900MHzのPentium IIIの生産を2001年3月末までに中止するとカスタマーに発表した。理由は、「Front Side Busが100MHzのチップへの需要は限られている」(同社広報 George Alfs氏)ためという。この発表は予想外だったが、ほとんどのPCメーカーでは影響は少ないとしている。

*この記事は一部編集しています。

[英文記事]
Intel To Talk Servers At Developer Forum

[関連リンク]
インテル

[関連記事]
IDF 2000 Fall Japan] e-Solutionに活路を見いだすインテル (@ITNews)
インテル、ハイエンドサーバー向け新CPUを発表 (@ITNews)
インテルがモバイル向け新プロセッサを発表 (@ITNews)
Itaniumリリースに向けて着々と準備を整えるインテル (@ITNews)
インテルがCrusoe対抗の低消費電力プロセッサを発表 (@ITNews)
インテルがPentium 4を正式発表 (@ITNews)

Copyright(c) 2000 CMP Media Inc. All rights reserved

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)