産経新聞、紙面をそのままデジタル配信

2001/4/5

デジタル化された紙面をバックに発表を行う同社代表取締役清原武彦社長

 産経新聞社は4月4日、新聞紙面をデジタル化して配信するシステムをサピエンスと共同で開発し、配信サービス事業を8月にも開始すると発表した。コンテンツは「産経新聞」の朝夕刊と「夕刊フジ」の2紙。

 新システム「ニュースビュウ」は新聞紙面をそのままデータ化し、プロバイダを介してブロードバンド回線を通してユーザーへ配信される。同社はこのシステムをシステム開発のサピエンスと共同で開発した。配信サービス会社としては、CATV回線を通しブロードバンド回線のサービスを提供しているアットホームジャパンとAII、光ファイバー回線のISP、有線ブロードネットワークスの3社と契約した。このサービスは、スタート時は無料、その後有料となるが、価格は現在調整中という。課金はページ単位か月額制となる予定。

 「ニュースビュウ」では、印刷前の段階の活字を映像としてとり込み、圧縮するため、多言語に対応が可能。表示された画面は9段階で拡大でき、自由に画面スクロールができる。見開きでの表示や、目次の「インデックス表示ボックス」からページを指定して開くこともできる。関連記事や広告主へのリンクなどを張ることも可能。デモでは、最終項のテレビ・ラジオ欄にある関連会社のフジ・テレビジョンの枠にリンクを用意し、フジテレビのホームページへ飛ばして見せた。

目次を別ボックスで表示し、画面指定できる

 ユーザーは画面をダウンロードするのではなく、サーバーへその都度要求する。過去のデータに関しては、2日を経過すると消去される仕組み。容量は朝刊が30Mbytes、夕刊はその半分程度だという。同社では課金も含め、このシステムのビジネスモデル特許を出願中。

 5月に実験を行い、サービス開始は8月を予定している。販売店との調整のためか、配信エリアに制限がある。産経新聞は近畿圏の一部を除く全国、夕刊フジは首都圏、近畿圏を除く全国、となっている。同社では他紙へも参加を働きかけていくという。

 同社取締役デジタル事業担当の山元強氏は、同社が4年前に地上波を利用した電子新聞の開発に失敗したことに言及しながら、「時代は変わった。目標は“ブロードバンド時代を先取りしたメディア誕生”となること」と意気込みを語った。気になる“紙”との関係については、「紙の新聞がなくなるとは思わない」と読者の傾向は“併読”となることを予想した。

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