コンポーネントの再利用、実現間近か?(下)
〜一部試験運用に着手するシティグループ
2001/6/6
May 18, 2001 Internetweek By
JEFFREY SCHWARTZ
*この記事は全2回連載の2回目です。前回記事はこちら
CitiMortageには課題がある。同社のIT部門の幹部は、Javaとコードの再利用により親会社にとってのモデルとなるようなシステムを構築できると信じている。
シティグループが6カ月前にある企業を買収したため、CitiMortageは6つの異なる組織とインターフェイスを持つことになった。「それを単一のローン・システムへ統合するには、Javaで構築したブラウザ・ベースが最適だと考えている」とPreble氏は説明する。
Javaのコンポーネントを開発して組み込むことで、単一のローン・システムの構築を狙っている。さらに、システムのJavaコンポーネントは、企業内の他の組織にも利用できるようにするという。
例えば、シティバンク系のある会社は、ローン手数料の一部を変更しようとしていた。そこでその会社は、CitiMortageのクレジット・スコアリング機能とクレジットカード認証機能のコンポーネントを利用して実現したという。
最終的に全コンポーネントが新しい単一システム用へと進化するには数年かかるが、Preble氏によれば、最初の主要コンポーネント――顧客からのローン申し込みに対し、同社独自の基準に基づき合格/不合格を決める意思決定エンジン――は、数カ月後には動作する予定という。
CitiMortageの経験は、「今回は小規模だったが、再利用が生産性向上に貢献するものであることを証明している」とPreble氏。すでに6つのJavaコンポーネントが検索可能なリポジトリに格納されており、最低でも1度は再使用されたという(最高のものでは6度使用されている)。Preble氏の部署では、開発にかかるコストは、最低でも年間10%削減するという目標を掲げている。将来的には、費用の面では数百万ドル規模の削減をもたらし、日数の面では数カ月や数年かかっていた新しいアプリケーションや機能の導入が、数週間あるいは数日で実現すると見ている。
CitiMortageがJavaのコンポーネント保管に用いているリポジトリはFlashline.comの「Component Manager for Java2 Enterprise Edition」のコンポーネントだ。このリポジトリはコンポーネントの機能別に検索が可能であるだけではなく、オブジェクトが入手可能になると自動的に開発者に電子メールで知らせてくれる機能もある。
CitiMortageをはじめ、金融各社はJavaのコンポーネントの再利用に積極的だ。だが全体を見渡すとそうでもない。Gartner GroupのアナリストMichael Blechar氏によれば、フォーチュン500社のうちオブジェクトベースのソフトウェアのレポジトリの構築を進めているのは、わずか5%に過ぎないという。また、機能の拡張が実現できるシステムは3分の1程度という。「顧客にしろサービスにしろ、誰かが役割を定義したら全員がその変更に同意しなければならない。そしてその変更は、影響があると推定できるすべての個所で確認できる変更でなければならない」
現在、シティグループ以外にコンポーネントの再利用に取り組むことを発表している企業には、ゴールドマン・サックス、チャールズ・シュワブ、そして自治体には米ジョージア州がある。ジョージア州はComponentSourceと協力して取り組みに着手した。同社はJ2EEとマイクロソフトのCOM(Common Object Model)のコンポーネントのライブラリを提供するベンダーだ。
ジョージア州では、オンラインのマーケットプレイスを構築し、州の機関の開発者が自由にコンポーネントを検索して購入できるようにする。最終的な目標は、このマーケットプレイスが各州のCIOで形成する国立機関の一部であるNational Software Component Exchangeを介して他の州へ拡張することだという。
「システムに着目すれば、50州で行われていることの約80%が同じようなことだ」とジョージア州のCIO、Larry Singer氏は言う。同氏は州や機関の間には文化的な障害があることを認め、「その面での多大な変更が必要だ」と述べた。
*この記事は一部編集しています。
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