[Interview]
「SOAPやWSDLは選択肢の1つに過ぎない」とシルバーストリーム

2001/7/27

 アプリケーション・サーバをはじめとしたeビジネス・プラットフォームのベンダ、米シルバーストリームは、XML、SOAP、UDDI、WSDLがセットになって語られる“Webサービス・ブーム”に少し難色を示している。もっと柔軟に考えていいと思うからだ。他社に先駆けすでにWebサービスを実現できる製品を持つ同社は、「パワーポイントのプレゼンテーション資料だけではないWebサービスの実績を持つ」と自信を見せる。

 同社の日本の総販売元テクマトリックスが7月27日に都内で開催する「xCommerce レガシーインテグレーションセミナー」に合わせて来日した、米シルバーストリーム eビジネス・インテグレーション部門 バイスプレジデント兼ゼネラル・マネージャ フレッド・ホラハン(Fred Holahan)氏に、同社のWebサービス戦略および製品について話を聞いた。

フレッド・ホラハン氏

――シルバーストリームの考えるWebサービスとは何か?
 一言でいえば、XMLのインターフェイスを持つ共有可能なビジネス機能の集合体。
 レガシーシステムやERP、データベースなどのバックエンドシステムを統合して、XMLというシンプルなインターフェイスを持たせて、情報の要求や受け取りを行う。

 Webサービスの処理パターンとしては、1対Nの直結型と、複数のパートナーが接続したBtoB型の2種類が考えられる。前者では、ユーザーがある特定のサービスを指定して使う。後者は動的なパターンで、ユーザーは登録されているサービスのなかから必要なサービスを見つけ、利用する。

――Webサービス機能をどのように実現し、カスタマーに提供していくのか?
 現在、Webサービスの開発ばかりが話題になっているが、その後、実装し管理することが重要。安全で信頼性・拡張性があり、高パフォーマンスなプラットフォームが必要だ。われわれは3つの製品でWebサービスの開発から実装・管理までを実現する。

 まず土台となるのがJ2EE準拠アプリケーション・サーバの「SilverStream Application Server」。Webサービスの実行や管理をつかさどる部分だ。その上に「xCommerce」と「ePortal」の2製品が載る。xCommerceはBtoBを実現するXML統合サーバで、Webサービスを作る部分。ePortalはポータル・ソリューションに必要なコンテンツ管理やプロファイリングといった機能を持つフレームワーク。Webサービスを消化する部分にあたる。

 xCommerceとePortalは、Javaのフレームワークなので、他社のJ2EE準拠のアプリケーション・サーバ(IBM WebSphere、BEA WebLogic)上でも稼働する。われわれはインフラを提供するベンダ。ユーザーがWebサービスを短期で開発・導入することを助けることをミッションとしているので、顧客を囲い込むつもりはない。顧客にとって選択の幅があることは重要なことだからだ。

 われわれはこれらの製品を1年以上前から市場に投入しており、すでに導入事例もある。米国の保険会社Transamerica Insuranceでは、SilverStream Application Server上で動くxCommerceと他社のポータル・フレームワークを通して、代理店やブローカーがバックエンドシステム(IBMのメインフレーム、UNIXサーバ、オラクル製データベース)と自由に接続して、保険業務アプリケーションを利用できるようにした。導入にかかった期間はわずか4カ月弱。Transameircaでは今後、徐々にユーザーを増やし、今年の末には1万8000の代理店が利用できるようにする。

――他社とどう差別化を図るのか?
 昨年の9月頃から、大手ベンダが一斉に“Webサービス”といい始めたが、われわれはこの言葉が登場する前からいってきた。まずは実績と経験が差別化になる。

 それ以外には、非プログラマーでも利用できる高度なツール、散在したバックエンドシステムの統合力、他のJ2EE準拠のアプリケーション・サーバ上でも動くオープン性。これらにより、既存の投資を無駄にせず、リスクを最小限にしたタイム・ツー・マーケットを実現できる。

――Webサービスを開発するうえで開発者は技術に不安を感じている
 技術者がXMLやSOAPといった新しい技術を完全に信頼しているとは言えないのは事実。まだ様子見の段階だろう。いくつかの事例が出てきて、クリティカル・マス(普及に必要な量)に達するのは今年の末頃ではないだろうか。

 ただ、Webサービスそのものは、今ある技術で開発できる。SOAPやUDDI、WSDLがセットのようにいわれているが、レガシーシステムとSOAPは親和性があまりないように、それぞれのシステムにあった実装方法がある。SOAPやUDDIなどは、個人的にはすばらしい技術だと思っているが、あくまでも選択肢の1つだ。

(編集局 末岡洋子)

[関連リンク]
米シルバーストリーム
テクマトリックス
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