ネットワーク機器市場、2005年には76%増の6000億円規模に

2001/9/1

 ガートナー ジャパン データクエスト部門は、日本ネットワーク機器市場に関する予測を発表した。これによると日本ネットワーク機器市場(ルータ、LANスイッチ、共有メディアハブ)は、年率6.4%の成長により2005年までに約6000億円の規模に達する見込みという。

 最も成長が見込まれるのが、LANスイッチ市場。ガートナー ジャパンでは、2000年の1686億円に対し、2005年には76.3%増の2973億円に達すると予測している。出荷の中心は、100Mbpsおよび1000Mbps イーサネット・スイッチで、インターネット・インフラの増強や次世代ネットワークの構築などの需要が成長を牽引するとしている。

 ルータも、2000年に立ちあがったサービス・プロバイダ向けのサービス・プロビジョニング・ルータ市場が、インターネット・バックボーンのコアおよびエッジ両分野での堅調な需要から拡大。ルータ市場は、金額ベースでは2000年の1690億円から、2005年には75.5%増の2966億円、台数ベースでは75万8000台に対し53.0%増の116万台に達する見込みとしている。

 景気下落が伝えられる米国では、その原因としてITを中心にしたハイテクの不振が挙げられる。中でも通信・ネットワーク市場は、リセッション(景気後退)にとどまらず、デプレッション(不況)に入りつつあるという声もあり、シスコ・システムズ、ノーテル・ネットワークス、ルーセント・テクノロジーなどの大手通信・ネットワーク各社も大規模なリストラに迫られている。こうした業績悪化は、それまでの好景気によって支えられた通信インフラへの過剰な設備投資への反動とされている。

 その点、IT化の遅れが叫ばれている日本は事情が異なるといえる。ガートナー データクエストでも、日本ネットワーク機器市場の成長は次世代ネットワークの普及がカギを握るとし、これらのインフラ整備が迅速に進めば、経済全体の環境が多少悪化してもネットワーク機器市場は成長基調を保つことができると分析している。問題は、このデフレ&不況下で投資する主体があるかという点だが、各種調査を見た感触では、日本企業のIT化への投資意欲は十分に高いように思われる。現段階の日本では通信インフラ整備に投資を行っても過剰投資とはならないだろう。e-Japan構想を進める日本政府に対しても、景気対策としてのITへ十分な予算配分が期待される。

(編集局 鈴木崇)

[関連リンク]
日本ガートナー
「ビジネスにおけるIT革命の効果に関する調査」
日本労働機構の発表資料

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