[Interview]
WebSphereとノーツ/ドミノの統合に一歩踏み出したIBM
2001/9/13
米IBMは、同社のWebSphereで企業向けのポータルサーバを構築するための製品WebSphere Portal Serverとロータスのナレッジマネジメント向けポータルサーバ製品のK-stationの統合を、先月ひっそりと発表した。
「WebSphere Portal Server」は、EIP(Enterprise Information Portal)やBtoB、BtoC、そしてナレッジマネジメントまで、広い分野に対応したポータルを構築するためのプラットフォーム。統合は次期バージョンで行われる予定で、実際の製品として登場するのはまだ先のことになる。来日した同社のテクニカルマーケティング担当エドワード・ハーバー(Edward E.Harbour)氏は、この動きがWebSphereとノーツ/ドミノの統合の具体的な一歩であることを認めた。WebSphereを中心に、WebSphereとノーツ/ドミノとの統合について、そして競合他社に対する戦略などの話を聞いた。
── WebSphere Portal ServerとK-stationの統合は、単なるパッケージレベルの統合なのか、それとも開発レベルで統合されるのか?
ハーバー氏 両方だ。具体的にいうと、パッケージレベルで密に統合される予定であり、1回のインストールですべての機能が導入され、すぐに使い始めることができるようになる。また、技術的にはPortlet(ポータル画面上に表示される、窓にあたる部品)などの技術もK-stationと統合され、最新の機能を備えた製品になる。将来的には両者は1つの製品へと統合されていくことになるだろう。実際の製品出荷はまだ未発表だが、今年の第4四半期か来年あたりになるだろう。
── 今までWebSphereとノーツ/ドミノは統合されると言われてきたが、これはその具体的な一歩と考えていいのか。
ハーバー氏 そのとおり。ただし、今回の統合はK-stationというフロントエンドの部分であり、ノーツ/ドミノを構成するコンポーネントが含まれているわけではない。しかし今後はそうしたコアの部分の統合も進んでいくだろう。
── アプリケーション・サーバのベンダ間で、スピード競争が繰り返されているようだが。
ハーバー氏 確かに現在は、IBMがベンチマークを発表すると次にBEAやオラクルがすぐに対抗する数字を発表する、といった状況だ。特にIBMは技術の多くをオープンソースに提供しているため、その技術を他社が利用してIBMを上回る結果を出す、といったこともある。オープンソースに技術を提供するというのはそういうことだから、それは構わない。現在われわれはまた、次の新しい結果を準備しているところだ。しかし実際のところベンチマークだけではなく、顧客にとってはきちんと動くことの方が大事だろう。
── オラクルは、自社のデータベースとアプリケーションサーバを統合している。この動きをどう思うか?
ハーバー氏 WebSphereはOracleとの組み合わせで稼働させるケースも多いが、どこのデータベースと接続しても、アプリケーションサーバとして非常に高速な動作を実現しており、高い信頼性を備えている。オープンだということが重要なことだと考えている。
── WebSphereの開発ツールであるWebSphere Studioに含まれているツールの開発元であるNetObjectsが事業を停止したが、影響はないか。
ハーバー氏 ない。IBMは製品を引き続き利用する契約を結んでいるし、技術的な蓄積を行ってきた。NetObjectsは引き続き製品に含まれるし、今後にも特に影響はしない。
(編集局 新野淳一)
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