KM中核製品を発表し“ナレッジインフラ”を提唱するロータス
2001/6/13
6月12日、ロータスは都内でナレッジマネジメントに関するカンファレンス「Lotus Discovery Conference」を開催した。同日、戦略の中核をなす新製品「ロータス Knowledge Discovery System R1.0」を発表、“知の時代を拓く”というビジョンのもと、この分野のリーディング・ベンダーの地位を狙う。
記者会見での安田社長「ナレッジマネジメント成功の鍵を握るのは、適切な情報が適切な人に伝わっているか、適切な人とコンタクトがとれているか」 |
同社代表取締役社長 安田誠氏は、同社の製品「Sametime」を使用し、ビデオによる基調講演を行った。
「初期の製品「1-2-3」から、いかにしてナレッジを経営資源として利用するかを追求してきた」と、安田社長は同社が創業以来、この分野にコミットしてきたことを強調する。「ナレッジはPCからネットワークへとその場所を移行し、現在は“マス・ストレージ”にある」と安田社長、蓄えられた大量のナレッジをうまく管理・活用することは、会社の知的資源を知ることにもつながるのだという。
続けて、ナレッジマネジメント分野における同社のコンセプト、“ナレッジ・インフラ”について説明した。“ナレッジ・インフラ”とは、業務インフラを中核にコンテンツ(情報や知識)、ディスカバリ(アクセスする、取り出す)、コラボレーション(チームでのコンテンツの活用、協業)の3つの要素が連動するシステム。コンテンツでは「ノーツ/ドミノ」、ディスカバリでは「K-station」、コラボレーションでは「Sametime」や「QuickPlace」といった製品を提供してきた。「ナレッジ・インフラを構築し、サイクルを回すこと(ナレッジ・サイクル)でナレッジを増殖する(=相乗効果を得る)ことが大切」(安田社長)。
会場内の別の部屋にいる安田社長の声と画像が京都にあるサーバを経由して会場に届く。「技術的にはかなりのところまで実現できてきた」と安田社長 |
同社ではナレッジインフラを構成する製品を提供してきた。次の段階であるナレッジサイクルに進めるため、安田社長は2つの提案をする。ナレッジインフラを日常業務で活用するためのeラーニング・ソリューションと、ナレッジインフラを管理するツールだ。eラーニングでは「Mindspan」ソリューションをすでに提供している。管理を実現する製品がこの日発表した新製品を含むソリューション「Kowledge Discovery System」となる。
この「Kowledge Discovery System」は、ナレッジマネジメント・ポータル「K-station」と分類・検索エンジン「Lotus Discovery Server」の2製品から構成され、前者はすでに提供を開始している。
後者の「Lotus Discovery Server」は、体系化されたナレッジの検索・閲覧、特定の情報を持つ文書や人の検出、自動分類支援の3つを実現する。具体的には、検索マップ「k-map」で知識の体系的分類を行い、「エキスパティーズロケータ(専門知識ロケータ)」で各情報ソースからある専門分野に関連のある社内の人や文書を特定できる。
同梱の「Sametime」「QuickPlace」と連動すれば、自分の知りたい分野の専門家を探し出して在席を確認し、チャットで問題を解決するようなことが可能になる。
スコット・クーパー氏 |
これらの機能を統合するエンドユーザーの作業環境となるのが「K-station」だ。ユーザーは好みのポータル画面をドラッグ&ドロップで作成できる。
同社はコードネーム“Raven(レイブン)”として、3年前にナレッジマネジメント戦略を提唱した。新製品はこのプロジェクトのコアの製品となる。来日した米ロータス・ディベロップメント ナレッジマネジメント担当上級副社長 スコット・クーパー(Scott Cooper)氏は、「価値の創造は、廊下での立ち話で偶発的に起こっていた。それを技術により意図的に起こるようにする」と同社のビジョンを語った。
「ロータス Knowledge Discovery System R1.0」は6月28日に出荷を開始する。価格は1ユーザーあたり5万6500円。
(編集局 末岡洋子)
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