「IBMフォーラム2001」開催
eビジネスインフラ構築へ、IBMから3つの提案
2001/3/8
日本アイ・ビー・エムでは3月7日より3日間、千葉・幕張にて「IBMフォーラム2001」を開催中だ。会期中、会場では同社と約130社のパートナー企業がeビジネス関連ソリューションの展示を行い、400を超えるセミナーが開かれる。
「キーワードはインテグレーション(統合)とeビジネスインフラの構築」とトンプソン氏 |
eビジネス、第2章へ
3月7日のオープニングを飾る基調講演では、米IBMから副会長 ジョン・トンプソン氏が「次世代e-ビジネスの展望」と題し、eビジネスの現状と展望、技術、構築の際の着目点を語った。
“eビジネス”という言葉をIBMが初めて用いたのは1998年。その後3年の間、言葉を取り巻く状況は常に変化し続けてきた。インターネットの広まりとともに吹き荒れたドットコム旋風、2000年はこのブームが一気に収束に向かった。そして21世紀を迎えた今、「雑音が消えて現実に戻りつつある」とトンプソン氏は語る。収益や売上が軽視される“ニューエコノミー”へ疑問の声が向けられる中、リアルビジネスの電子化が注目を浴びている。それはつまり、「新しいテクノロジーを社会やビジネスに組み込むことなのだ」とトンプソン氏は主張する。テクノロジーは道具にすぎないということだ。
IBMでは“e-ビジネスは第2章へ”をキャッチに、ポイントではなく全社的にeビジネスの実装を行う必要性があることをアピールしている。トンプソン氏もeビジネスの第2ステージは「アプリケーション統合」とし、エンド・ツー・エンドのプロセスが必要と述べた。この段階ではトランザクションの増大やデータ容量の増加などが予想されるが、ミドルウェア、ストレージなど、対応する技術は揃いつつある。トンプソン氏によれば、「難しいのは個人の意識改革」という。
効率よく次世代eビジネス・システムを構築するためには
eビジネスの構築――このテーマに対し、トンプソン氏は3つ提言した。「PCだけではない、パーベイシブ時代に備えたシステム構成」「eビジネス対応のインフラ整備」「アウトソーシングの活用」。2点目と3点目について触れると、eビジネスに対応するインフラ(=基盤)とは、トランザクション、Webサーバ、ミドルウェア、ストレージ、そして、EC、ERPやSCMなどのアプリケーションが統合したものだという。常に変化するeビジネスのプラットフォームはオープン性が命だ。さらに拡張性、可用性、セキュリティの要素が加わることになる。
大歳社長「スピードとサイクルタイムの短縮が競争力となる」 |
アウトソーシングに関して、トンプソン氏は“eソーシング”という言葉を引用した。導入・実装期間を短縮し、構築コストを削減する、これまでのアウトソーシングの未来形が“eソーシング”なのだという。代表的なものがWebホスティングやASP、最近ではストレージのアウトソーシング動向も見られるという。例として、オフィス文具販売のアスクルを挙げる。アスクルは、Webの運用管理をIBMに一括してアウトソーシングし、売上を倍増させているという。IBMでは今後、水道や電気のようにオン・デマンドでのユーティリティ・サービスとしてアウトソーシング利用が増えて行くと予測しており、同社のeServer群を設置したeビジネスセンターを開設するという。
技術について、IBMでは、価格性能比を向上させるプロセッサ、大容量に耐えうるストレージ、ワイヤレス環境での接続性、コンポーネントの再利用などの分野で研究・開発に投資しているという。また、米インテルやNECらと共同でオープンソースラボを開設する(2000年9月1日付け記事参照)など、Linuxへの熱心な取り組みが知られているが、「eビジネスのクリティカルなオープンスタンダードになる」として、Linux関連には2001年も10億ドル以上の投資を行うという。
同セミナーは過去3年間、IBMが開催してきた「IBM総合フェア」を一新したもの。同社代表取締役社長 大歳卓麻氏によれば、今回は「ソリューションにフォーカスをあて、仕組みを理解してもらう“静かな空間”を目指した」という。そのため、新聞や雑誌での告知は一切行わず、直接経営者層に案内状を送った。「規模は半減し、内容(=セミナー)は倍増させた」という大歳社長の言葉通り、展示会場では説明員と来場者の熱心な対話風景が多く見られた。
展示会場ではLinuxOS搭載の“Linuxウォッチ“が日本初登場した(2000年夏、米で開催されたLinux Worldで発表された)。左はLEDディスプレイを使用し740dpiでの表示を実現する | Linuxウォッチはbluetoothモジュールを搭載、無線通信により、PC画面の切り替え、音声を合成し読み上げる、といった操作が可能 |
(編集局 末岡洋子)
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日本IBM
「IBMフォーラム2001」
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