インテルがInfiniBandの最新動向をアップデート

2001/9/15

 InfiniBandとは、サーバのCPUとI/O専用端末間のI/O機能をオフロードすることにより、サーバ間のトランザクション速度を高速化させる新技術。現在、Peripheral Component Interconnect(PCI) I/O接続と呼ばれるバスアーキテクチャが主流であるが、将来はこれにとってかわる技術といわれている。

 このInfiniBandに関する規格を策定しているのがInfiniBandトレード・アソシエーション。同組織は、1999年9月Future I/OとNGIOが統合して設立された独立した業界団体。創設メンバーは、米コンパックコンピュータ、米ヒューレッド・パッカード、米インテル、米サン・マイクロシステムズ、米デルコンピュータ、米IBM、米マイクロソフトと業界を代表する7社だ。現在、iDCやクラスタリング、インターネット・コンピューティング環境でのチャネル・ベースやスイッチ・ファブリック入出力(I/O)に関し、業界内の合意の獲得や開発の促進などを行っている。

インテルのInfiniBandへの取り組みを強調するアリソン・クライン氏

 今回、InfiniBandトレード・アソシエーションの一員である米インテル アドバンスド・コンポーネント事業部のインダストリアル・マーケティングマネージャのアリソン・クライン(Allyson Klein)氏と、米Lane 15 Softwareのテクニカル・リレーションシップ・マネージャのブラッド・ベントン(Brad Benton)氏が来日し、InfiniBand アーキテクチャのサーバ向けチャネル・ベースやスイッチ・ファブリックの動向について語った。

 なぜI/Oが問題になるのだろうか。CPUのパフォーマンスは、ムーアの法則によると12〜18カ月ごとに2倍となり、I/Oバスの帯域は3年ごとに倍増するといわれている。しかし、I/Oバスの能力は、すでに限界が見えている。そこで、CPUとI/Oバスに見合ったサーバ・システムのパフォーマンスを実現するため、誕生した技術がInfiniBandというわけだ。

 InfiniBandの利点には、拡張性、パフォーマンス、可用性などがある。中でも拡張性に関しては、数千ノードまで拡張が可能となるほか、統一規格によりクラスタリングの相互接続を実現する。これにより、サーバ・グループ単位でのクラスタリングと管理が可能となる。クラスタリングでこのような規格が策定されるのは業界初という。

 InfiniBandトレード・アソシエーションでは、昨年10月に基本仕様1.0をリリースし、今年6月に最初のプラグ・フェスタを開催した。現在プロトタイプが完成しており、2002年よりソリューションを提供する見通しだ。すでに同技術に対応すると表明したベンダは、ストレージベンダを含め60社ほどあるという。

 一方、インテルのInfiniBandへの取り組みとしては、InfiniBandビルディング・ブロック(チャネル・アダプタ、スイッチ、ソフトウェア)の提供がある。

 同社では、2000年第4四半期にInfiniBand製品のサンプル出荷を、2001年第1四半期に製品開発キット(PDK)を提供し、同社やユーザーが検証を行った。インテル・デベロッパ・フォーラム(IDF)では、85ノードでのデモを実施した。

 今後、同社は、2002年上半期にインテル-InfiniBandアーキテクチャ・ベースのファブリックを供給する。そして、InfiniBandアーキテクチャと3GIO(インテルの次世代I/O技術の1つ:Third Generation I/O)による、パラレルからシリアルへの移行の目標は、2004年としている。

 また、ユタ州にあるInfiniBandソフトウェア最適化ラボに加え、新たに、相互運用性検証ラボをオレゴン州ポートランドに開設する予定もある。

 「今後、InfiniBandテクノロジは、インテル・アーキテクチャ・サーバに、より高い拡張性とパフォーマンスを実現する。インテルは、InfiniBandソリューションをいち早く提供していく」と、アリソン・クライン氏は語った。

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