高性能・低価格が特徴、IBMの新UNIXハイエンド・サーバ
2001/10/5
「最新にして最強の製品」と小出氏 |
日本アイ・ビー・エムは10月4日、UNIXハイエンド・サーバ「IBM eserver pSeries 690 モデル681」を発表した。プロセッサに最新の「POWER4」を搭載し、メインフレーム級の可用性を低価格(最小構成で8195万8400円〜)で実現した。11月より限定的に出荷を開始し、本格的な出荷は12月14日を予定している。
新製品のコードネーム名は“Regatta H”。日本におけるUNIXハイエンド・サーバ市場では、対前年比40%の成長率で伸びているという同社、新製品投入で、現在首位の富士通やサン・マイクロシステムズとの競争を優位に運びたいところで、「Regattaは競合他社の2倍の性能を2分の1の価格で提供する。Regattaでシェア50%を獲得し、(UNIXサーバの)覇権争いに終止符を打つ」(同社 理事・システム製品事業担当 小出伸一氏)と意気込みは高い。pSeries 690は、最新OS「AIX 5L」を搭載し、同社のメインフレーム「zSeries」のサーバ技術を踏襲した製品。主な特徴は、動作周波数1.3GHzの最新プロセッサ「POWER4」を最大32個搭載、パーティショニング技術「LPAR」の採用、「eLiza(イライザ)」プロジェクトから誕生した自己修復機能の取り込みの3つ。
MCM(Multi-Chip-Module) |
「POWER4」は、銅配線とシリコン・オン・インシュレータ(SOI)を採用、1.7億以上のトタンジスタを搭載した。1チップ上に2つの1GHzプロセッサとレベル2キャッシュを統合することで、プロセッサとレベル2のキャッシュ間の伝送速度を毎秒100GBと高速化できる。新製品のPOWER4プロセッサは、1チップに2個実装し、8ウェイのSMP構成が可能な1個のMCM(Multi-Chip-Module)上に4個のチップを搭載した。MCMは最大で4個、合計32ウェイまで拡張できる(写真)。
パーティショニングには、同社のUNIXサーバとしては初めて論理区画技術のLPARを採用した。LPARとはシステムを複数のパーティションに論理的に分割し、CPU、メモリ、ディスク装置などを各パーティションに割り当てる機能。最小単位での分割が可能なため柔軟性に富み、必要なリソースの割り当てがダイナミックに行えるという。AIXに加え、Linuxパーティションもサポートした。
「IBM eserver pSeries 690 モデル681」 通称はRegatta |
自己修復機能は、サーバにインテリジェンスを持たせる同社の開発プロジェクト「eLiza(イライザ)」(「IT業界のトカゲを目指す?IBM」参照)の成果の1つ。「他社のUNIXサーバは稼働中保守を重視し、2重化を行っているが、IBMでは、システムを止めないことに主眼を置いた」(同社 Webサーバー製品事業部 事業部長 東上征司氏)と違いを強調する。事前に複数カ所に設置したエラーチェッカーから、システム稼働中にエラー情報を発生時に受信し(「FFDC(First Failure Data Capture)」機能)、対処する(「Repat Guard」機能)などの、自己修復機能を持つ。そのほか、障害発生時に障害部分を自動的に分離/切り離す「動的縮退機能」なども備え、CPUのみならず、メモリやキャッシュ、PCIバスまでサポートする。これらの自己修復機能によりシステムのダウンタイムは従来の3分の1まで軽減されるという。
pSeries 690の主な仕様は以下の通り。
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